♭ おたずねくださり、ありがとうございます ♯
(人目のかた)
書いているうちにだんだん頭のエネルギー(“考える”という行為がこんなにエネルギーを使うものかと今さらながら知った)がかれ、やがてからっぽとなり、書くことがなくなる。それがふつうだが、たまにそうでないときがある。
この前、ちょっと「戦争」にふれたが、それに刺激され連想した。それを二つ書かせてください。
- いま、『灰色の地平線のかなたで』という児童書(中高校生以上向け)を読んでいる(読書感想文の指定本。館内のポスターで知り、借りた)。第二次大戦中強制収容されたリトアニアの少女の手記(『アンネの日記』みたい)。
はずかしながらリトアニアのことをあまり知らなかった。いまは独立し、ラトビア・エストニアとともにバルト海に接した小さな国家になったが、かってはソ連邦の一員、その構成地域だった。その南には原発事故のベラルーシがあり、ウクライナがある(もちろん、東には広大なロシアが。1917年、そのロシアが周辺諸国をまき込んで初の共産主義国家としてソ連邦を成立させた)。
私が10代終わりから20代はじめという人生でいちばん多感なころは、「反戦」運動が盛んで、それは単に戦争反対だけでなく、人が平等に安心して生きていられるという理想社会をめざしていた(あとになってみれば「夢」と気づいたが、いい夢をみていたと思う)。それには、経済をはじめいろいろ問題はあっても社会主義・共産主義の社会は資本主義よりマシだろうと思っていた。が、あの戦争のときソ連軍は満州へ侵入し、逃げまどう多数の無抵抗の日本の民間人を殺し、女性を強姦したと知って幻滅した。
ソ連は、東は日本、西はドイツと戦わなければならない。この混乱にじょうじてソ連邦を離脱・独立しようとするリトアニアは許せない。そして、ヒトラーのナチスドイツと同じようにスターリンも、ヘドの出そうな極悪非道を行った(具体的にどういう仕打ちをしたか。手記には細かく書かれている)。
極悪非道。もちろん、絶対的な命令系統があり、命令する上の者に反抗はしにくいだろうが、手をくだすのは一人ひとり、生身の兵隊(兵士)、下の者である。どこにでもいる人間。その彼らが平気(「平気」にみえる)でリトアニア人を殺した。
自分も、どこにでもいる人間のひとりだが…。
私が借りた本だが(読むのがたいへん遅いので)、さきに妻が読んだ。読む前後の顔はこんなふうだったぞ。
(おおげさなことを、と笑われようが)いまは「見るべき程の事は見つ…」と言って自害した『平家物語』のなかの平知盛のような気持ちである。
ともかく、人の生きている時間は限られている。だから見るもの・読むものは慎重に選ぼうと思う。
- もう一つは、先に大きく新聞テレビでも取り上げられ、怒りにかられて私もここで書いたO市長Hの慰安婦発言に関して。そのてんまつはご承知のとおりだが、外見がおさまってもコトはなにも変わってはいない。
そもそも「慰安婦制度」は、大日本帝国がさきの戦争に勝つために「発明」したものである。戦争に勝つためには、戦争を続け、効率的に遂行するためには、「八紘一宇(ハッコウイチウ)」なんて精神的な・道徳くさいことばかりいっておられず、なにより兵隊の極限的なストレスを発散させてやらねばならない。肉体的にも兵隊をうまく管理しなければならない。暴力(ビンタ・平手打ち)の野放しはその典型である。そして性的欲望を満たすのもたいせつだと考え、一般の兵隊だれもが利用できる「慰安所」を開設、たくさんの「慰安婦」を「用意」した。
その「慰安婦制度」のようなものが、よその国の軍隊(テロ組織にも)にあるのかないのか知らないが、たいていの戦争で、強姦が起きている。人類も生物。極限の状態、生きるか死ぬか・「自分」の種をあとに残せるか絶えるのか…。本能に身をまかすほかない戦争(軍隊)とはそういうものだろう。
H発言が、戦争・軍隊の隠れた「本質」というべき問題に世間の目を向けさせてくれたのは皮肉である。
さっきの手記にも、いやというほど監視兵のいやらしい目つきが描かれている(ヒトごとではない。私だって同じ目を女性にそそいでいるかもしれない)。
こんなのも折れるのですよ。 妻は孫に折ってやり、彼らに「名人」とたたえられていました。
子どもっていいですよね。ともかく“まっすぐ”です。自分にできないことをする人はスゴイのです。
♦ おしらせ ♦
『言葉のきずな』というドキュメンタリー映画の上映とコミュニケーション・ワークショップがあります。 日時:10月12日(土)上映会
13時~16時30分(開演13時30分)
がる梅湊町83-1)2階大会議室(240席)
入場料:1000円
なお、コミ・ワークは13日(日)10時30分から同じ会場
で(3階に変わります)。
『言葉のきずな』というのは、「ぐるっと一座」の活動をドキュメンタリー映画としてまとめた感動的な作品です。
「ぐるっと一座」というのは、長野県の失語症者や家族、ボランティアで構成された演劇集団でNHKでも放映され反響を呼びました。
ところで、失語症とは? 脳卒中や頭部外傷で話す、聞く、読む、書く、計算するなどのコミュニケーション機能に不便を抱える障害です。