カメキチの目
入院生活の鮮やかな思い出はいっぱいだが、2番目は、おう吐にしよう。
よく吐いた。
バランス感覚に障害があるので、ヤジロベエができない。
コマは回っているときはバランスとれているのだろうが、私は止まったコマだ。
気分が悪い(ときが多い)。
で、なんかの拍子で吐いてしまう(せっかく栄養・エネルギーを摂っても、もどしてしまうのでむなしい)。
100円ショップで買ったバナナ型のプラ容器を「膿ぼん」(医療言葉)と称し、たえず身のそばに置いた。そこに吐くのである。
ある日は病院で迎えたサイの誕生日。ケーキをおいしくいただいたのに、食べたそばから吐いた。その頃は一晩つきそわなくてもよくなっていたが、帰り道、泣けてしかたなかったと後で聞いた。
それを聞いて私も泣きたくなった。
主治医は脳外科だったが、眼科にも耳鼻科にもかかっていた。
眼科の先生は若い女性だった。そのこととは無関係だが、「(治らないだろうとわかっていても)がんばりましょうね。よくなる可能性をしんじましょう」とやさしく声かけてくれた。やさしさは、現状を受けいれさせる。「治らんでもいい」。私は思った。
耳鼻科のドクターは中年の男性だった。「いくら吐いても死にはせん。そのうち慣れる(おう吐に)」と突き放した。
「チクショウ!」。私は思った。
果たして…
目はいっこうによくならず、おう吐はやんだ。また思った。「チクショウ!」
102 ポケットティシュ入れ
簡単にこんなものが折れるんです。
折り紙じゃちょっと小さいけれど、大きめの油紙や和紙なんかで折れば、実用にたえます。粋ですね。
(そう思うのなら自分で折ればいいのですが、なにぶんチリ紙の出し入れが面倒くさいのででして…)