カメキチの目
障害者であることには、すっかり慣れている。
慣れても、親切にされるのは嬉しい。
でも、親切に慣れるということはない。
一回一回に感動する。
(そんなに感動ばかりしていたらたいへん。疲れると思われるかもしれないが、ご心配いりません。そんなに親切にされるわけではありませんので)
先日、私にとってはリハビリもあり(実際は10年ちかく経ってリハビリもなにもあったもんじゃないとは思います。が、わかりません)旅に行った。
そこの宿で親切に出あったことが忘れられない。
温泉までは階段があった。湯を楽しもうとすれば、そのつど、昇り降りしなくてはいけない。そのつど、杖を脇にはさみ、手すりをつかむ。めんどうなことだ。
ときには浴衣が長(大)すぎて裾を踏むことがある。「オッ、トト…」
ところで
宿のスタッフの方もいろいろだ。部屋案内の女性は、温泉までは階段なので気をつけてくださいとは言われたが、エレベーターのことはなかった。
私は温泉好きなので、なんども浴場に通う。
浴場担当のスタッフは交代で替わる。はじめの方とちがい、次はまわりに目配りのきく方だった。
私が温泉から出てヨロリ、ウロウロしていたら、「お客さま、エレベーターをお使いください」と、エレベーターがあることを教えてくださるばかりでなく、いっしょに乗って目的階まで同行。
「なんとやさしい! ホテルウーマン(いや温泉嬢?)のカガミ」
日本の、世界から賞賛される“おもてなし”を身近に感じた。
(お・も・て・な・し は、なにも東京オリンピックのためにあるのではない。夏は花が少なくサミシイので、ちょうどそのころ咲く花を用意したい、と農水省が関連予算を要求したそうです。ちょうど開催日に咲かせる研究をするという。私は笑えてしかたありませんでした。
確かに日本の科学技術はすばらしく、きっと灰で桜も咲かせよう。
花はいいけれど、「ぼったくり」はここまできたか)
ところでエレベーター。
業務用だった。