カメキチの目
いまも昔も、地球のどこでも、人びとは大地や太陽に祈りと感謝を捧げてきた。(地域によって重きはたしょう異なっても)すべての自然をうやまい、尊んできた。
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私は旅ずき人間である。
いくら好きでも、「マチュピチュ」はムリ。で、テレビでの紀行や旅番組でガマンする。
テレビは、地元に詳しいガイドをつけたりサービス満点だから、旅人である俳優さんたちの「レポート」は穴場などの紹介もあって楽しい。
ときにはアドリブもあり、旅人の個性のようなものにもめぐりあえておもしろい。
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先日、NHKBSの『一本の道』という番組で、「アイルランド」をやっていた。
音楽音痴の私でも彼女の透きとおった声と、アイルランドの悠久な自然を想わせるようなメロディには魅せられます。
そしてエンヤ以上に、いまやクリスマスと並ぶくらいお祭り騒ぎになった「ハローウィン」のルーツがある土地。
なんでもアイルランドでは前世紀の初めごろの天候不順でジャガイモがやられ大飢饉になり、大勢のひとがアメリカに移民。
移民先で人々がふるさとアイルランドを懐かしみ、ほそぼそと「ハローウィン」をやったのが元で、そのうちアメリカ流にアレンジされて今のように派手で賑やかなものに変わったとのこと。
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アイルランドは北のほうなので、日本のイメージでいえば(瀬戸内海がよく地中海にたとえられるけれど)日本海側という感じで、じっさい、どんより曇った日が多いようだ。
番組は、ちょっと暗くてさみしそうな空の下を、どこまでも広がり続いている草原の中を一本の道がぬけており、旅人のNHKアナウンサーの若い女性が、「羊のほうが人より多いです」と笑うガイド役の好青年に案内されて歩くというもの。
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私はアイルランドのステキな風景に癒されながら思った。
「どこでも人間はいっしょだなあ」
どこのどんな人種・民族の人も、豊かな実りをもたらしてくれる太陽と天(雨などのもと)、大地をうやまい、先祖を拝んだ。
しかし、
天、太陽は人間が支配できず、すべての生き物にわけへだてがないのに、大地はそうでなかった。
土地の所有をめぐり、人間はどこでもいつでも争った。
自分の土地への愛着が強いということは、そこに根をはり代々いき続けた先祖をうやまうことであり、また日々の生活をささえてくれる大地への感謝である。
だから、それを奪おう、侵そうとする者たちは排除しなければならないし、戦争とはそういうものだったのだろう。
戦いは、遠い昔は避けられない面もあったのだろう。でも、現代はちがう。ぜったいにちがう。
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マチュピチュがあんな高い山のてっぺんにあったのは、敵を一刻も早くみつけ、戦いにそなえるためであったが、アイルランドにはあちこちに敵の攻撃をうけて壊れかかった古城が残されていた。
中学生だった大昔、「国破れて山河あり」という中国・唐代の詩人、杜甫の『春望』からのこの言葉だけ、なぜか半世紀も私の心に生きつづけている。
別に、ちっとも早熟の生意気なガキだったわけではないのに…
倭国が「遣唐使」を中国に派遣していた昔から、杜甫のような人物は世界中にいたのだろうが、戦いは絶えなかった。
いまもシリアで大勢の人が殺されている。
殺されたくない、ふつうの生活を取り戻したくて大勢の難民がとくにヨーロッパ各地に命がけで移り、命を守ったまではよかったが、こんどはそこで「移民問題」として受けとめられている。これ以上はNO!と。
北朝鮮のミサイル。お父さんのころはそれでもノホホンとしましたが、息子に権力が引きつがれ、幼児の全能感の発露みたいな「やりほうだい」に、最近とても心配です。そっちも気になってしかたないのですが、東西冷戦も過去となったのに、なんでアメリカがこんな遠いところまで来て韓国と合同の軍事演習をするのか?
あのバカ息子を挑発するんでしょうか?
(アメリカ・韓国は「北」が先に「挑発」していると言っています。まるで子ども同士のケンカの次元)
アメリカはいつまで日本に基地を置きつづけているのか?
(トランプがアサドの化学兵器使用による子どもの悲惨な姿を見て憤激したのがこんどのアメリカ軍のミサイル砲撃だと「お涙ちょうだい」の茶番劇報道に、やっぱりいの一番に安倍が「わたしはトランプを支持します」と《ソンタクして》言った。
先のイラク戦争の口実とされたフセインの核兵器はけっきょく見つからなかった。アサドのシリア軍に化学兵器は存在するのでしょうか)
前の戦争で沖縄が味わった悲惨を、沖縄も日本全土も戦前の「沖縄」にみたて、日本を「浮沈空母」にみたて、アメリカ本土を守ろうとしているのではないかと、ヒネクレ者の私は勘ぐります。
(まあ、沖縄も日本本土もこれでは「平等」になるのでいいですが)
「戦争」も「基地」も「演習・訓練」もすべては軍需。膨大なカネ、経済が動く。
よくいわれる「軍・産・官の一体」。すべてはこれに尽きるのではないかと、ヒネクレ者の私は勘ぐります。
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アイルランドの風景に癒されているうちに、仏教でいう「業」とか「因果」という、人間の底・奥の奥に住んでいるらしいドロドロした奇怪なモノ、言葉が脳裏をかすめてきた。
さまざまな哲学、キリスト教などの人間観より、ズバリ人間の深いところを突いた、簡潔な言葉に思えた。