カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2018.4.4 老い

                                                  カメキチの目

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 私は「老いて」とか「歳とって」とよく書くが、それは事実、自分が老人と呼ばれる年齢であるからだ。

 老人だと自覚しているからだ。

 いくら気もちのうえでは若いつもりでも、「つもり」である。

 でも、背筋はのばしていたい。

 

好きな現代作家に南木佳士さんという人がいます。

歳がいっしょで、モノゴトへの感じ方に共感をおぼえることが多い(いちおう小説という虚構を描いても、多くの題材は自分の実体験をもとにしており、長く生きておれば「そういうことあるなー」「私もそう感じるなぁ」)。

老いた今は、その「老い」の視点から過去をふり返り、あるいは今現在の心境を表したエッセイを書かれている。

 

最近、『急な青空』というエッセイ集の本を読んだ。

その一つに「五十年」というのがある。

【引用】「…そもそも、人生というなにかがあるわけではなく、降っては湧き、前に立ちはだかったり後から突き飛ばしてきたりする出来事におろおろ対応しいる間に歳とってしまう、そのおぼろげな足跡をふり返って名づければ「人生」と呼べなくもない。そんな漠然としているけれどより真実に近そうな生の認識に到達するまで、最低五十年はかかるということなのだろうか。…」

 

 

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       実際の自分はちびまるこちゃんのお祖父さんのような頭ではありません。

       ゴマ塩頭ですが、髪はもう少しあります。

 歳とると、怒りっぽくなる。

とくに「政治」に対して。

 しかし、ものごとにわずらい、クヨクヨ悩むことが減った。

悩むことが「面倒くさくなって」。

※ 上記は個人的感想です。「感じ方」は人によって大きく異なります。

 

■「怒り」はプラス方向に働けば現状を変えようというエネルギーになりますが「政治」のことは諦め気分。

ときにあまりの無力感にとらわれて、「政治なんかどうでもいい。なるようになるしかない」とヤケクソになります。

が、大人はどうでもいいけれど、政治にかかわれない小さい子どもたち、戦争や飢え、イジメで死ぬ子どもたちを想うと…。 

 

■クヨクヨ…が減った、とはいっても、長く生きてきたから自分の「限界」というものを知り、「問題」があってもその解決が可能かどうかだいたいの予測がつくので初めから「挑戦」するかしないかで悩むことが少なくなった。要は早く「諦める」ようになったということ。

「諦める」というとマイナスのイメージですが、いえいえそんなことはありません。 

 

南木さんの先の本より、もう一つ。別なエッセイよりの【引用】

(南木さんは大きな病院の内科の医者として多くの患者さんの死をみてきた。あるときから《患者ご本人の苦しみ、ご家族の悲しみを受けとめることに限界がき、疲れ果て》精神的な病に長いあいだ冒された)

「…自然なる身体の老いをいかんともしがたい私は、その力関係から一家の主人であるのかどうかさえはっきりしなくなっている。しかしながら、誰の主人にもなれなくなるというのは、それはそれでとても自由なことなのではないかと、またしても自分を慰めている。…」

 年齢を重ねるのは、若さから離れていくことだから、身体は弱っていくし輝きも失せていくからイヤであるが、心のほうは「進化」してゆく。

 心は、肉体の衰えさえゆったりと受け容れてくれる。自らの老いを「納得」させてくれるのだ。

 

「年の功」というけれど、歳とればその時間だけ長く生きていることになる。

 年寄りは誰でも偉いのだ。

たとえ、いわゆる「寝たきり」状態、「痴呆」状態にあっても。

 

 さっき、「進化」といったけれども、(正確に表現すれば)「進んでいる」というより「深くなっている」感じ。

ということは「深化」だ。

 働いているときは生活に忙しく、新聞以外はあまり本を読むことなかったけれど、退職したら自由な時間ができよく読むようになった。

 読書もブログと同じ。新たな世界・未知との遭遇、探検。

ということは「新化」でもある。 

 

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「赤ちゃん」も「少年」も「青年」もやって、いつのまにかジイさんになっていた。

そして、

子どもだったときにははるか遠くの存在に思えたジイさんに、

自分がなった。

誰でも、恐ろしいほどの正確さで、老いるのだ。

 

 

 

               ちりとてちん

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