♭ おたずねくださり、ありがとうございます ♯
(人目の方)
化石採掘体験コーナーというのがあった。
子どもひとりにおとなひとりが付きそい、石を割るのだ。私はできなかった。残念でしかたなかった。
(あとで調べ、おとなだけでもできることがわかりました。事前に予約しなければなりません。その気の方はぜひともやってみましょう)
大人気だった。採掘体験に入る前に、担当おねえさんの子ども相手の「お話」があったが、わかりやすいだけでなく、おねえさんの恐竜への愛が感じられた。まわりを見回すと、おとなのほうが大いにうなづき、必死になって聞いていた。
【開始】
手袋にハンマー、たたいた小石が目に跳びこんでケガしないようゴーグルめがねをかけ、出発。「出発」といっても目の前の野外テントに移動するだけだ。
たくさんの小石がばらまかれていた。まるで砂利広場みたい。これぞと思う小石を拾い、ねらいを定め、ハンマーを振る。割る。当たりはめったに出ないくじを引くみたいに、あるかないかの大昔の生き物の遺骸などを探すのだ。
子どもは一生懸命。でも、付きそいの親たちのほうがそれを上回っていた。
(でも)見まもるよりほかなかったオジイやオバアたちのほうが心ではより熱くなっていたと思う(少なくとも、私はそうだった)。
imagine!
〈小石の来歴〉
どんな小石・つぶてにも恐竜に並ぶくらいの時間の積み重ねがあるにちがいない。
ほかでもない、この小石と、ほかでもない自分という人間の、奇跡的な出あい。
〈私の来歴〉
父と母が出あい、わたしがうまれた。 恐竜➡人類➡私
(子どもたちはおとなにならんとわからぬ話だろうが、いつかわかればいい)
それらしい化石を発掘できなかった子どもも、きょうの体験は生涯の思い出になるにちがいない。それが最高のおみやげだけど、もうひとつおみやげがあった。自分が割った小石ひとつをもらえたのだ(イキなことするね。博物館さん)。