カメキチの目
前にも述べたことだが、私の日常生活は変化に乏しい。
だからこそ、ちょっと変わった風景、出来事に出あえばやじ馬根性が発動する。
「これは何だ?」
先日のこと。珍しく用があって、人ひとり歩けるだけの狭い歩道をヨロヨロ進んでいた。
その歩道添いの、たしか以前は現代版あん摩店だった。その前は美容か理容店。店舗の移り変わり(入れ替え?)は早いですね。
その店に、一斉にむこうを向いたお年寄りが2、30人もパイプいすに腰かけておられるではないか。
なにもそこで彼らが休ませてもらっているのではない。
みなさん。まじめで従順な生徒さんみたいに、ある話を聞いていた。なんかの講話であろうか。耳をそばだてたのですが、障害で耳も聞こえにくい私には残念ながら話の中身まではわかりません。
みなさんの注視の先。つまり話しているのは、若い(中年か?どっちでもいい)スーツにネクタイの男。ニコニコと愛想のよいことだ。
対するみなさんというのは、くたびれかかった野球帽にベストのオジイたちと、キンチョーの宣伝に出てきそうなオバサンたち。
ニコニコ顔なんか、講話には似あわない。
なにか“ヒミツ”でもあるのだろうか。“うさん臭さ”がにおった。
そして、オープンなその場には、何人かの若い男性。こちらもニコニコ…。笑顔のスタッフがお年寄りたちを囲んでいる。
既視感。こういうの。どこかでみたことがある。
あるテレビドラマのシーンだ。
「気をつけよう。甘いことばと夜の道」と前のブログに書いたばかりだけど、甘い言葉はなにも選挙のときだけではない。
バクチ・宝くじ・投資・サギ以外、楽にカネが入る手はないと思うのですが…。
気になり、あとでネットで調べたら、どうやらそれは事前に、お年寄り相手にコレコレが激安と「呼び込み」の宣伝をしかけ、カモ(失礼!お年寄り)を集めたらしいです。
つまり、あれは商品購入の宣伝話(でしょう)。
私は、白昼堂々と行われているサギの現場を見た。
呼び込み購入を促す説明会(販売会)自体は「詐欺罪」にはあたらないのでしょうかね。まだ、被害が発生していないし、発生して、被害届が警察に出されていなければサギは成立しないのか…
「オレオレ」とかの詐欺はむこうから巧みにやって来るから、ときには(人によっては)引っかかってしまうこともあろうが、コレは違う。といっても、ダマすという手、詐欺であることは何らかわりませんね。
チョウチョやハチのように、甘い汁に惹かれ、寄っていってはならない。
パイプいすに腰かけてはならない。
私はとくべつ休みたがり屋だから、独り身だったら、ヒョコヒョコ(いや、ヨロヨロ)出かけ、坐っていたかもしれない。