カメキチの目
ここ4月28日「旅③」で少し触れたホセ・ムヒカさん。
また彼のことを書きたくなった。
というのは、
本来なら前回「物欲」の最後はムヒカさんの言葉でしめようと思っていたのだ。
「(人生は)旅」という文脈とは別に、「物欲」という観点からもムヒカさんの生き方と言葉に感ずることがとても多いから。
ついこの前までウルグアイ大統領だった。
「大統領」という地位も、彼にとっては、自由をこの国に根づかせ、経済的に貧しい国民たちの生活向上を図る一手段に過ぎなかった。
私は信念やポリシーに共感し尊敬する人はいっぱいいるが、大統領という権力者になり、「大統領専用」のいろいろなモノゴトが用意されていても、それを拒否してまで自分を貫き通そうとするホセ・ムヒカさんほど親しみを感じ、尊敬する方を知ったのは初めてだ。
ムヒカ大統領の拒否・「NO」は「わがまま」としてとらえられ、ときにはさまざまな「迷惑」「混乱」につながった。
そのおかげで、「専属」が無用となり、たとえば大統領専用車の運転手さん、大統領邸宅専属のコックさん、掃除する人…などは困り果てた。
身の安全のためのSPさえ要らないと言った。
ネクタイはぜったいにしないし、外国の要人と会うとき、国の儀式のとき、お付きや政府関係者を困らせたらしい。
大統領という一国の政治リーダーにありながらも、その地位に「ありまじき」姿や態度の数々は、ウルグアイの最貧困層の民衆のために戦い続けたゲリラ出身で、12年間も獄中にいたからである。
そのことをウルグアイ民衆は知っているから、彼を熱狂的に支持するのだろう。
きょうが何の日か?いつも細かくていねいに教えてくださるsoftwindさんが、7月18日は『ネルソン・マンデラデー』とブログに書かれていましたが、反アパルトヘイトの闘いで、マンデラさんはなんと27年間も獄中にあったとのこと。
ノーネクタイそれはそれでいいのでしょうが日本みたいに「クールビズ」とやあやあ騒ぐもんではないのです。に象徴される庶民うけのスタイルはとても目立ち、(結果的に。皮肉にも)国際的に彼の名を高めた。
ムヒカさんの言葉はすばらしい。だが、それはネットに詳しいのでそっちに譲るとして、ひとつだけ書かせていただきます。
人生においては、「消費」より「自由な時間」を楽しむことに力点を置きなさい、と強く説く。
私たちはモノを買うとき対価を払う。おカネを払う。
おカネは、労働によって手に入れる。
その労働は時間を換算したものである。
ところで、
労働に費やした時間は自分の人生の時間で、二度とかえっては来ない。
「時の記念日」というのがある。時は金なり [time is money]
「時」はたしかに「カネ」になるのだが、「カネ」は「時」にぜったいにならない。
死神のお迎えの前でいくらカネを積んでも、寿命はのびない。ここでムヒカさんの言っているのは、あくまで「カネのための労働・仕事」です。「物神化」したカネ。