カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2017.2.2 寿命…⑥老いの生き方

                                                  カメキチの目

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 本では、「時間」の次に、

子どもにとって(「子ども」です)「コンピュータ」がいかによくないかが書かれています。それを本川さんは、

A 情報の収集と発信が容易 B バーチャルな世界 C きわめて速い時間 D 好きなものだけを選んで付き合える

の4点から説明されているのですが、まだ柔らかい脳がそっちの方向に「進む」ことの人間的な危険に警鐘を鳴らされています。

おとなへと成長すれば、自分でモノゴトを判断できるようになり、自分に対して責任もとれます。それまでは、脳が柔らかいうちは、

a 情報にわずらわせられない b リアルを重んじる c ゆっくり d 嫌いでも必要なモノゴトとつき合うこと

がだいじなのではないでしょうか。(詳細はここでは割愛します)

 

                     

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 先に心臓が15億回うてば…といったが、人間の場合は15億回目は41.5歳なのだそうだ。

 確かに40を過ぎれば、個人差はあっても老眼はでるし、髪に白いものがまじるようになるし、こっちは男なので実感はないけど女性は閉経する。閉経とは子どもが産めなくなることだから、生物としての人間の限界(寿命)がこのあたりだと、著者は言われる。

人生は長いほどめでたく、そうありたいものですが、長生きしたいがゆえに自分のことだけ考え(より長く生きるためにはカネが要ると勘違いし、利権とか欲の争いで)人類滅亡となっては、あるいはAIやロボットと人間の関係が逆転したら、元も子もありません。

 

 ふり返って現代人。

 日本の生活をみれば、便利・快適な生活を可能にする社会的基盤(インフラ)が整備されているだけでなく、医療・食糧増産…というさまざまな科学技術の恩恵があって、男性が80.79歳 ・女性が87.05歳という超・長寿命になっている。

 考えれば、これはカネを出してエネルギーを買い、そのエネルギーで「寿命を買っている」ことだと著者は続けて言う。

 GDPと寿命の間には非常にきれいな関係があり、カネ持ちの国ほど長生きなのだそうだ。

「日本は長寿国でバンザーイ」なんて浮かれていてはバチがあたりそう…。

 

 このあと、本川さんはとてもおもしろいことをおっしゃる。

「おばあさんは(おじいさんではありません!)長生きしてよい」と。

 本川説によればこうである。

 女性は子どもを産むのに非常にエネルギー(電機やガスのエネルギーではありません。女体の自然のエネルギー)を費やし、歳がいったら元気な子を産む確率は減り、リスクは高まる。

 だからある年齢で生殖活動は打ちどめ(閉経)にする。 

 かくして「女性は潔い」。

 その潔さに比べ(比べるのはいけないのですが、だからといって、男性が劣っているというのでは決してないです。著者も私も男です男性はダラダラ…。打ち止めがない。

 もっとも、ジイサンになれば、若い同性と競争しても圧倒的に負ける確率が増えるので打ち止めの必要もないのかも、とも。

 ともかく、生物のレベルでも女性の長生きは正当なことらしい。

女の人は仲間づくりがじょうずで、仲間とワイワイがやがや、ストレス発散もうまいだけではないですね。

 

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 ここからが著者の言いたいこと、本の中心である。

けれど、これで本は終わります。

 

 人は老いると、

 そうはなりたくないが、生き物なのだから当然(自然)、体の「保証期間」は切れ、あっちこっちにガタがくる。関節はすり減るし、目はかすみ、耳は遠くなる。ガン細胞>免疫細胞となってガンにもなりやすい。

 しかし…しかしである。

 いいこともある。時間の奴隷、縛りから解放される。

 歳をとればとるほど時の過ぎゆくのをはやく感じるようになるけど、こういう実感こそ時間を「長さ」の尺度だけではかることの無意味をあらわしている。

時間のモノサシは多様。いっぱいあるんです。

「長さ」だけにこだわらない、多様な価値を見いだし、そんな時間を楽しむ。

「仕事」からのリタイア。「隠居」。

 多くのばあい実質の自由な時間の創出は老いてはじめて可能となる。

私は障害を負ったのでかなり早いリタイアとなりました。

とてもじゃないですが、これほど好きに使える時間がないと私にはブログなんてできなかったです。

 

 本川さんは時間の奴隷からの解放と同時に、遺伝子の奴隷からの解放も説く。

 体の『保証期間』切れは、つまるところ遺伝子のはたらき、先に述べた生物の目的である「続く」からの解放である。

 老いて生殖から解放された老人の人生は「おまけ」のようなもの。

 おまけの人生だからといっても、何をやっても許される、とか、トランプ(まだ「年寄り」の範疇に入っていないのかしれませんが)のように自国の、しかも白人いちばんというのはあまりに情けない。志がちっぽけだ。

トランプうんぬんは私の言いぐさ。この本のときはまだ彼は出ていません。

 年寄りは長く生きてきたので、だれでもそれなりのモノを持っている。要するに、自分史を書ける。

 

 著者は最後に、人類が希望を持って生きていけるような世の中、地球にしていくために、歳とった人々が影響を与えられればいいなあと結ばれた。

 それと、

現代日本人は「永遠」という思想を持たなくなったのではと嘆いておられた。これじゃあ、安らかには死ねないと。

 私もそう思う。目先の「好き」「しあわせ」にとらわれ過ぎて、だいじなことを(自分もそうです)忘れている。

 私も安らかに終末を迎えたい。

で、最後に二つのことを願った。

トランプ問題は長続きしないだろうけれど、あんな情動的な人物が権力の中枢にあってなんかが狂い、なんかの拍子で、重要な「間違い」が起きませんように。

AIやロボット、バイオなどの最新技術が望ましい方向に進みますように。

           

                  ちりとてちん

 

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