カメキチの目
この本はあまりにおもしろく、ためにもなるので、ちょっとだけ続けようと思います。しかし自分なりにセレクトしたところだけの紹介です。
本のいちばん終わりに、「植物の惑星」とあった。
生物の地球がいかに植物の上に成り立っているか。
植物をたいせつにすることが、いかに人間を含む動物をたいせつにすることになるということが書かれていた。
【引用】
「地球に生命が誕生したのは、38億年前のことです。
あるとき、恐るべき進化を遂げた生物が現れます。それが植物の祖先である植物プランクトンです。葉緑体を持つ植物プランクトンは、光合成を行い、二酸化炭素と水からエネルギー源を作りだすのです。
ところが、光合成を行うとどうしても廃棄物が出てしまいます。それが、酸素です。酸素は生き物にとって必要な命の源ですが、もともとは、あらゆるものをさびつかせてしまう毒性物質です。
ところが、酸素の毒で死滅しないばかりか、酸素を体内に取り込んで生命活動を行う生物が進化を遂げました。それが私たち動物の祖先となる動物プランクトンです。酸素は毒性がある代わりに、爆発的なエネルギーを生み出す力があります。…そして豊富な酸素から作られるコラーゲンによって、体を巨大化することができるようになったのです。まさに、SF映画で、放射能のエネルギーで巨大化した怪獣さながらです」
読んでいて、思った。
■「未来社会はどうなるんだろう?」ではなく、
「未来社会は〇〇したい!」と思わなくてはいけないのではないか、と。
■ ・AIやロボットが大手を振り、人間は…
・バイオ技術の発展・進化により、カネさえ出せばどんな面でも優秀な能力が備わり、またそんな人間、自分のコピー人間も可能…
「デザイナーベビー」をいまはおぞましいと感じていても、そういう「科学」の力で生まれた人間も人間(ロボットじゃない)。人権がある(「バイオハラスメント」は許されない)。
そのうち人間社会に溶けこみ、「普通」になるのでしょう。ようするに「慣れる」
(最初は違和感を感じていてもそのうち慣れる)。
イスラエルでは「体外受精」に国家が全額負担し、この国では平均で女性が3人の子どもを産むそうだから、体外受精で生まれた子どもの比率は高いのだろう。もちろん、「デザイナーベビー」は今は論外でも、きちんとした実効性のある「生命倫理」が制定されないと、そのうち(なしくずしに)この世がどうなるかは予想がつく。
[参考] 2018.4.22 朝日デジタルより
イスラエルの女性は平均で3人の子どもを産む。先進国では突出して高い出生率の一因が、世界に類をみない出産奨励策だ。背景には家族を重視するユダヤ人の文化や宗教に加え、悲劇の歴史や政治が絡んでいる。
体外受精の費用、国が全額
地中海に面したイスラエル中部ヘルツェリアの病院は、待合室に生殖補助医療を受ける女性が列をつくっていた。最新の医療機器が並んだ室内で体外受精の作業が行われ、専用のタンクでは受精卵の凍結保存もしている。
イスラエルでは1995年の国民医療保険法制定以来、①女性が45歳までで、②現在のパートナーとの間に2人の子どもを得るまでの間、体外受精の費用が国の保険で全額賄われている。人口880万人に対して体外受精は年間4万件超。100万人あたりの件数は世界一だ。年間に生まれる子どもの5%近くを占めている。
生殖補助医療は半ば国策だ。保健省のミラ・ヒブナーハレル前法律顧問は言う。「第2次大戦中のホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で600万人が犠牲になり、その後の戦争でも多くの命が失われた。ユダヤ人の国家において家族を持つことは最も重要な価値になり、生殖補助医療の超大国になった」。自身の両親もホロコースト生存者だ。
「ここで踏みとどまっておこう」「これまでにしよう」「この先には進んではならない」という態度は人類の叡智として最後に必要ではないか、と今の私は思うのですが。
(2016.9.16~11.6までの14回、「心配してもしかたない?未来のこと」のタイトルで記事(読書感想文)を書いたことあります)。
■ いつかほんとうに原爆や水爆を使った大戦争が勃発し(自国第一主義のトランプアメリカに習中国(あるいはプーチンロシアが対抗し、いまは「貿易」の段階ですが)、一部の国が始めた戦争にすべての国々が「巻きこまれる」。
ますますグローバル化する世界で「巻きこまれる」ことを防ぐ手だてはない。戦争なんかしたくなくても巻きこまれてしまう。
(地球の自然レベルでは、ご承知のようにツバルなど太平洋の島々の国家のなかには、「温暖化」による海面上昇で近い将来、消滅しそうなところがあります)
兵隊だけが戦い、被害をこうむるのはすいぶん過去の話。無抵抗の一般市民に大勢の犠牲が出ているのはシリアなどがよくよく教えてくれています。
逃げるところはないのです。
かくして人類は滅びるかもしれないけれど、その後の何百万、何千万年という時間の流れをえて、ずっと地球を覆っていた放射能を食う(酸素を呼吸することでなく)ことによって進化をとげる生き物があらわれるかもしれない。
■ とどまることのない、「永久運動装置」かのような飽くことなき科学・技術の信奉。
行くつく先が、火星など他の惑星への移住という形の「生存」でも、「戦争」などの形の「滅亡」でも、それがホモサピエンスである私たちの「自然」(「進化」?)であるならば、これはこれで「納得」せざるをえないか…
【引用】
「もし宇宙人が人類を観測したら:
まるで人類は、植物が改変してしまった緑の地球を、生命誕生以前の惑星に戻そうとしているかのようです。それだけでなく、植物が群がった森林を破壊し、不毛の砂漠を広げています。植物が作りだす酸素の供給を絶とうとしているのです」