カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2018.5.5 『面白くて眠れなくなる植物学』④

                                                  カメキチの目

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もう一つは、植物と人間の関わりです。

タンポポがなくても人間は生存できたでしょうが、米や小麦やトウモロコシがなかったらどうだったのでしょうか。

 

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穀物と人間‐「栽培」「農業」

 米や小麦やトウモロコシといった穀物は、世界の隅々に生きている人類の主食である。

 人類の文明が最初に起きた地域は、ナイル河畔、チグリス・ユーフラテス河畔、インダス河畔、黄河河畔。

 適度に雨が降り、適度に河が氾濫し、大地は肥沃となって、小麦や米が作られた。

 はなれた大陸の中南米のマヤ、アステカ、アンデスなどではトウモロコシが。

元々からいまの「米」「小麦」「トウモロコシ」と同じものが生えていたわけではありません。イネ科のこれらが人の手によってさまざまに改良されてきた。

人間ってスゴイですね。

 

 たしかに「文明」の到達点ではあろうが、学校の勉強が知識の詰めこみばかりでなく、「人が生きてゆく」には何がいちばん基本となるか、「衣食住」足りて「礼」も「文明」も誕生するのだ、と先生が教えてくれれば世界史の授業もおもしろかったのだろうに…といまは思う。

 

 そもそも人類はサルから、そのサルは恐竜が地球上にはびこっていた時代に、恐竜の闊歩に身を縮めていた(恐竜は絶滅しても)ネズミのような哺乳類が生き残って進化したものであるし、遡れば植物に行きつく。

だからといって、植物が動物より遅れている、下等だということではまったくない、ことをこの本で強く感じました。

自然は、上とか下、強いとか弱い…そんな次元の問題じゃないのですね。

【引用】

自然界に区別はない:もともと自然界には明確な区別というものはあまりないのです。しかし、それでは人間が理解できないので、人間はさまざまな区別を作って分類して、理解しています。…

植物の生き方は、人間が考えているよりも、ずっと臨機応変で、自由なのです」

 

 植物は、自然の状態(野生)では環境に何が起きるか(火山の大噴火とか大地震、大津波などの地球自身の大規模活動だけではなく、小惑星や隕石の大衝突など宇宙からの「贈りもの」を含めて)わからない。

 だから、生き延びるための一つの方法として、「ズレる」という戦略をとる。

「一斉」「みんなそろって…」はダメなのだ。

そろう美しさ。「団体美」「集団の美」は見える範囲の限り、「限り」付きでよろしい。

 だから、(動物だってそうですが)「多種多様」なのだ。

【引用】 

種子の戦略「休眠」:野生の植物は、どんなに条件が整っても一斉には芽を出しません。休眠からの覚醒程度は、種子によってさまざまで芽を出したり出さなかったりするのです。

自然界では何が起こるかわかりません。

もし、一斉に芽を出して、何か災害が起こったとしたら、どうでしょうか。その植物の集団は全滅してしまいます。そのため、早く芽を出すものがあったり、のんびりと芽を出すものがあったり、…(シードバンク→休眠)どれかが生き残るような仕組みになっているのです。

シードバンク→「光発芽性」 きれいに草取りをすると、あっという間に雑草が芽を出してきて、かえって雑草が増えてしまうことがあるのは、このためなのです」

 

 でも、「多種多様」は均一ではないので、同品質・大量生産には向かない。

つまり合理的でなく、効率よくないわけです。

 人類が現在のように大発展をとげるためには、多くの人々が飢えてはならない。多くの人々に行きわたる食糧の供給が求められた。

 【引用】

農業の発展と植物の改良:野生植物はばらついている方が有利です。たとえば、一斉に芽を出すと災害があったときに全滅してしまうので、ダラダラと芽を出していました。しかし、栽培植物はそろっていないと困ります。種子をまいたら一斉に芽が出てきてほしいのです。そのため、栽培植物は「そろえる」という方向で改良が進められています」

種子が落ちないムギが歴史を変えた:「野生のムギは、子孫を残すために、種子をばらまきます。しかし、栽培されていムギは種子が落ちる(種子が落ちるのは「脱粒性」)と収穫することができないのです。

野生の植物はすべて脱粒性があります。しかし、少ない確率で、種子の落ちない突然変異が起こることがあります。人類は、この突然変異の株を見出しました。…

種子の落ちない「非脱粒性」の突然変異の発見。これこそが、人類の農業の始まりです」

 

 無限にあるような種類の植物のなかで、人間は「選抜」と「固定」(つまり「選びだし」を続ける)によって植物を栽培し、淘汰してきた。

 

 遠いとおい未来には、人は何を食べているんだろう?

 生存に必要な成分が詰まった食品(薬?)が出まわっている世の中になっているのか?

 それとも人類は進化し、食べなくても生きていけるようになっているのか?(生と死を超越? じゃあ、「生きる」ということはないのかな…)

 

 それともそれとも、人類は消滅しているか?

 

 

                   ちりとてちん

 

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