カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2018.6.5 『面白くて眠れなくなる進化論』①

                                                  カメキチの目

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また生物の話です。

稲垣さんの植物、生物の本がたいへんおもしろかったので、『面白くて眠れなくなる…』シリーズから、こんどは「進化」についての本を読みました。著者は長谷川英祐さんといいます。

いちばんおもしろいと思ったところだけ二つ書きます。二つとも本の終わりのほうにありました(一般的に、終りのほうというのは著者の述べたかった内容の「まとめ」となっており、その二つの話には強く惹かれた)。

本の初めは進化論について。「進化論といえばダーウィン」といわれるくらいですから、彼の進化論やその後の発展した進化論学説もわかりやすく述べられていました。

 

 終わりの章の題名は、

「君がいないとやっていけない‐共存の力学

 といいます。

 なに! 君(相手)がいないと(私は)やっていけないということか?

(「自立」ということが痛感されました)

 

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  カブトエビの話

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 前の本では植物の「生態」から、

こんどのは生物「進化」の面から、「多様性」の意義が強調されていた。

 その「多様性」は、具体的・現実的には(前に書いたアリとアブラムシの関係。「共存」とはいわないけれど人間とイヌやネコなどペット・ウシやブタなど畜産動物との関係)共存」という形であらわれているということ。

 

 生きもの世界は「食うか食われるか」「生か死」。それは事実である。厳しい自然の掟。

 しかし、食うものは食われるものがいてこその命である。

というなら、「食われるものは食われてこその命。食われることにより食うものを支える命」

【引用】

「捕食‐被食関係がごく普通に見られる自然の中で、多種との共存すなわち「多様性」が、相手の存在を必要とするが故に維持されている。このことは、進化を理解するうえで新しい重要な観点でしょう。…」

 

 そういう「捕食-被食」の関係は、生態系ピラミッドに表わされている(底辺に近づくほど種は増え、量が多くなる)

 量が多いということは、上に位置するものの餌になって、(食べられることによって)彼らの生存を支える。

 ということは、底辺に近い生物たちの多量な存在がその上の生物を支えていることだから、まず彼らが生存し続けなければならない。

 (ピラミッド構造の、自分の上に立つ生物に)食われることだけでなく、つまり「捕食-被食」の関係の他に予測もつかない(「突然」を含む)外的環境の変化にも耐えて生き続けなければならない。

ここでカブトエビが登場します。

 

【引用】

カブトエビの危機管理:

カブトエビが産む卵の中には、一回濡れると孵化するもの、二回濡れると孵化するもの、三回のもの、もっと多いものと様々なものがあるのです。…→このような繁殖戦略を『ベット・ヘッジング(両掛け)戦略』という。…カブトエビは、極めて不安定な環境で適応度を得る効率よりも『長い時間滅びないという戦略』を選んでいることを意味しています。…」

「『直近の世代でいかにたくさん増えるか』という従来の適応度ではなく、『いかに滅びないか』という尺度で進化が起こっているのです」

「このような『リスクマネジメント』の観点は、従来の『進化論』では軽視されてきました。…しかし、カブトエビと同様の戦略は他の生物でも見られます」

  つまり、カブトエビにとってはカブトエビだけではありません)「増え続ける」こともたいせつだが、それ以上に「生存し続ける」ことがたいせつで、種が滅びてはならないのだ。

 その方向、種が滅びない方向で「進化」は起こっているのではないかと著者はいう。

私も著者長谷川さんの話に深くうなずきました。

そして、思いました。

ホモサピエンスである私たちも『滅びない』方向で進化し続けているのだろうか?」「遠い未来の『火星への移住』という話は、(そのときは人間の姿も今より「進化」して変わっているだろうが)『進化』の現われなんだろう」

「そうあってほしい」

 

次回②は、著者のけっこう有名な本 『働かないアリに意義がある』につながる話でとてもおもしろいです。

同じ種でも、その中の「多様性」「共存関係」がいかにたいせつなのかということを痛感させられました。 

 

 

                   ちりとてちん

 

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