きょ年の10.23の記事で書いた旅のとき、新潟の月岡温泉の「ビードロ館」で「水のみ鳥」を買った。
「ビードロ館」のような店は観光地にはよくあって珍しくはない。が、そこで初めて水のみ鳥を見つけた。私の目はそれに釘づけ。
水のみ鳥をみたという方も多いだろう(私もそう。遠い昔、喫茶店で)。
これです→
「水のみ鳥」というのはウィキペディアによれば、
【引用】 水飲み鳥…は熱力学で作動する熱機関の玩具で、鳥が水場から水を飲む動きを模
倣している。平和鳥、ハッピーバードなど様々な名前で商品化されている…
迷うほど高くはなかったので、買った。
陳列品が最後の一体だというので買ってよかったと得した気もちになっていたのに(店の人には「もう作られていない」と言われました)、帰ってからツレがネットショッピングをみたらたくさんあり、しかも安いと言う。ガッカリさせた。
(でも私は、「月岡温泉で買ったことに意義がある。同じ水のみ鳥ではないのダ」と自分をなぐさめた)
しかし、「最後の一体」はさすがに「陳列品」だけのことがあったらしく、大勢の客に触られて劣化していた。
水につけているうちに、ほどなく嘴・顔の赤いフェルト部分がはげてきた。
顔色・嘴の赤はくすんで見えるし、はげたところは水の吸いが悪くなり、尻の丸くふくれた部分にたまった液体(ジクロロメタン《塩化メチレン》)との絶妙なアンバランスが崩れ、首ふりができなくなった。
しかたがないかとあきらめかけていたら、彼女がいろいろ試行錯誤、工夫を繰りかえし、見事になおしてくれた(「ガッカリ」から「ありがとう」へ)。
不死鳥のようによみがえった。
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たぶん、尻の液体ジクロロメタンが自然劣化・変質しない限り、ピーちゃん(愛称。モノであっても命名するとグッと親しく感じられるのはこっちが「人間」だからですね)の首ふりは半永久的に続くに違いない。
しかし、ずっと動きつづけているのはかわいそうと思い、(生きものではないけど)本物の生きものはみな休み寝るので夕方に水は断ち、しかも嘴などを拭いてたまった水分もとり、首ふりを強制的に止めた。つまり、水のはいった容器を横にやる。
しかし、水に嘴を浸さなくても(拭いても水分はすぐには乾かないので)数時間は首ふりを続ける。
(のちの観察で、「数時間」は室内の気温・湿度が微妙に関係していることがわかりました)
こっちが寝るころには止まってほしい。
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すると、
この前の晩、10時10分に水をのむ格好で静止した(ピーちゃんは下を向いて止まった)。はじめて、止まる瞬間を見た。
(それまでは夜中に止まっていたのです。こんどは水を断ち、嘴の拭き加減がピッタリ当たったわけ)
きわめてゆっくりトロトロ…と、ジクロロメタンの赤い液体がピーちゃんの細くながい首をのぼり、頭のほうが重くてさがり、止まった。
わずかに痙攣したかのようにわかるかわからないくらい振れて静止。動かなくなった。
物理的な原理だとわかっていても、生きもののかっこうをしているので、ちょっと感じるところがあった。