カメキチの目
最近のNHKドラマは、私にはつまらないのが
多く、あまり観ない。
が、『デジタル・タトゥー』というのはとても
よかった。
書きたいのは物語の紹介ではなく、ドラマの
なかの主人公(弁護士。いわゆる「ヤメ検」。元は熱血検事)の
セリフ。
どこかで聞いたような言葉だったが、ジーンと
きた。
(セリフは正確ではありません)
少年から、「オジサン(主人公)は『いいひと?
わるいひと?』」ときかれ、主人公は答える。
「ぜんぶ良い人も、ぜんぶ悪い人もいないんだよ。
みんなちょっとずつ良い人で、
ちょっとずつ悪い人だよ。
おじさんだってそう」
ちょうど同じころ、朝ドラ『なつぞら』で
こんな場面があった。
新しい作品『わんぱく牛若丸』の制作にあたり、
登場人物のもととなる漫画をアニメーター仲間で
各自の案を示しながら話しあっていたときのこと。
憧れのアニメーターになった主人公は、
「静御前」を母親的なイメージでやさしい顔に描いた。
ところが先輩は(遠い昔の漫画『妖怪人間ベム』の母ベラみたいな)
怖い顔にした。
ここで二人の間に入ったチームリーダーは、
先の「ぜんぶ良い人も、…」に似たようなことを
言った。
つまり、同一人物でも、やさしい顔するときも
あれば怖いときもある。
それが生きている人間だ。
こっちもジーンときた。
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自分自身をふり返ってみる。
自分のことが他人にどう映り、見え、どう思われて
いるかはおおよそのことは推測できてもほんとうの
ところはわからない。
けれども、自分は自分のことがわかる(と言えば、
違うかもしれないが、少なくとも「自分にウソついている、偽っている」
自分は自覚でき、そういう自分に対して責任を負える)。
私も、ちょっとずつ良い人で、ちょっとずつ悪い
人だと思った。
そして、時と場合で
ころころ変わる。
しかたがない、まだ生きているのだから。