カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2019.12.27 「地域」

        カメキチの目

 

 

 録画していたBS1の『あなたの隣の奇 ~

地域を動かした人々の物語~』をみた。

(移住したくなるほどの魅力的なユニークな取りくみをしている各地の姿

いくつかを紹介した番組)

 

「地域」というと「地方」、「中央」に対して

周囲、「ローカル」という意味あいが含まれるが、

他ならぬその土地でこそ私たちは息をし生きている。

「私が生きる」ということは、具体的なある場所で

生活することだというあたり前の事実を、いまさらの

ように、だがとても新鮮に感じた。

 

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 いくつかの紹介のうち、私は 大分県豊後高田市

鳥取県智頭町が強く印象に残った。

 

 どちらも、地方自治という政治組織のトップ

である市長さん、町長さんの人柄と見識の高さ

活かされた取りくみだった。 

 その取りくみは、地域に眠っている「宝」を発見、

活かすというものだが、住民みんなが地域に誇りを

もち、愛情を感じるまでになるうえで、市長、町長の

果たした役割の大きさを思わざるをえなかった。

 

 

■ 豊後高田市

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                (グーグル画像より)
 ここは「昭和の街」を再現した場所が有名
で、

それが観光名所になり、訪れる客が多いことは

知っていた。

 だけど、一過性の(リピーターがいるにしても)観光客は

あくまでも「お客さん」。

(「昭和」がなくなりはしない。それどころか時代が進むにつれて、ますます輝き

そうだからこれはこれですばらしい観光資源だとは思うけれど)

 

 番組が取りあげたのは「客の呼びこみ」ではなく、

観光を盛りあげたという話ではなく、住人を増やした

という話だった。

「移住」したくなる街づくりというものだった。

 

 移住したくなるほど魅力ある街とは何か?

 

 何年かまえ実施の学力テストで、豊後高田市

子どもたちの成績が他地域に比べてとても低かった。

 それに頭を痛めた市長さんは、子どもたちの学力を

高めるためには学習塾が必要だと考えた。

 しかし、その「学習塾」はいまやいたるところに

うじゃうじゃあるナミの学習塾ではない。

 

 望めば豊後高田の子どもなら誰でも入れる、通える

懇切丁寧な指導がウリの無料の学習塾だ。

 

 しかし、とうてい市の財源ではムリ。 

 で、どうしたかというと、市民の力を借りた。

 ボランティアで子どもたちを教えてくれる市民を

募った。

(市長さんの目論見ではそういう力を貸してくれる住民はわんさといるはず…)

 いるわ、いるわ… 

 

 時間のある人、人や社会の役にたちたい人、

子ども大好きな人たちは大勢いた。

(金銭の報酬はあればあればいいが、なくてもノープレブム!

カネには換算できないたいせつなものが人にはあることを、

この取りくみはあらためて気づかせてくれた。

 

教える側には、単に子どもたちの学力を伸ばすことだけではなく、ここの住人で

あることに誇りを持てることでもあった。

子どもたちは、教えてくれるオジちゃんオバちゃん、オニイさんオネエさんの姿

から勉強以上の、人としていちばんたいせつなものを学んでいる

 

 教育に大きな予算をつぎ込まなくても、

子どもたちの学力は大きく伸びた。

 

 

■ 智頭町

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                   (グーグル画像より)
 ここは中国山地のど真ん中。

 町の多くが森林。

 森。自然ゆたかなこれを利用しない手はないと、

都会から移住してきた若いお母さんの発案、

「森のようちえん」をつくりたいという願いを理解、

支持する町長さんのおかげで実現した。

 町長さんは、自分には思いも考えもつかない

(だって自分は自分という一人の人間の世界を抜けだすことはできない)

すばらしいアイデアを町のみなさん、住民たちから

すくい上げることのたいせつさを力説されていた。

 住民の意見や考え、発案などをきちんと聞き、

聞くだけでなく積極的に実現していくための場を

設けている。

(智頭町では「森のようちえん」だけでなく、さまざまな住民主体の事業、企画が

なされていた)

 

 番組をみ終わって、ため息がでた。

 その晩、夢をみた。

 いつか遠い未来(そのときまで、人類が続いていたらの話ですが)

いまの都道府県や市町村くらいの地域が、いまの国

くらいの力で政治を行うようになればいい。

 

 

 

                          ちりとてちん

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