カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2020.2.7 『日本文化をよむ』 ③長明と兼好

              カメキチの目

 

  

③ 長明と兼好

方丈記』の鴨長明鎌倉時代初めに没)徒然草』の

吉田兼好室町時代初めに没)

 

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 本を読むまで、人の遁世者の「遁世」という

世の中からの遁れ方に、こんな違いがあったとは

まったく知らなかった。

【引用】 

長明と兼好の「無常」-二人の遁世者

1 遁世のさまざまな形

・無常感という通奏低音

「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。

淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたる例

(ためし)なし。…朝(あした)に死に、夕べに生まるるならひ、

ただ水の泡にぞ似たりける。…」

(長明は「数寄の遁世者」となっていく)

数寄という言葉は、もともとは色好みを意味したが、やがて風流文雅の道に

深く心を寄せることを意味するようになっていった。

2 長明の最後の境地

・中心と周辺

世俗の社会の価値体系は人の行為を縛り、規制し、その秩序のなかに人を取り込む

ことで成り立っているが、人は、周辺へと身を移すことによって、

この規制から逃れ、それまで得ることのできなかった自由を手にする。

周辺へと身を置くことは、単なる消極的な逃避ではなく、

むしろ、それまでの非本来的な生のあり方から脱却し、本来的な在り方へと

立ち戻ろうとする営みにほかならない。

・『一元芳談』鎌倉時代後期の法語集)による遁世

多くの遁世者が「身しづかに心すむ」ということを言うが、

それは後世のことを考えたとき、大きなことではない。言うとしても、名利の心を

超脱してのことである。

それにも拘わらず、多くの人は、趣向を凝らした庵に一人住まいし、

詩歌などを口ずさむことでそれを実現できると思い、

この「心すむ」ということに執心している。

このような見当ちがいの態度に対する強い批判がここ(『一元芳談』)

語られている。

3 兼好の無常観

・遁世者の堕落

平安末から鎌倉時代にかけて、「遁世」は一つの流行現象ともなった。

しかし他方で、その流行は、多くの堕落した形態を生みだした。…

仏道を歩むためにではなく、名を得、利を得るために出家遁世をする人々が

数多く出ることに対してあきれ果て、憤る気もちが「貪世」という言葉に

よく表現されている。

・無常観の変化

兼好は長明と異なって、決して「数寄の遁世者」ではなかった。

(長明の)管弦の道に遊ぶこともまた、執心の一つの形態として意識されていたと

考えられる。

名利を追い求めるだけでなく、風雅に遊び、時を移すこともまた、

大いなる愚行として考えられていたと言える。

しかし、兼好はまなざしを来世のみに向けることをしなかった。

後世のみを頼み、現生を否定するということをしなかった。

むしろいまを生きる意味を見いだそうとした。

そこに兼好の生に対する向きあい方の特徴がある。

 

(※黒字の追加、赤字の強調はこっちでしました)

 

 長明は「管弦の道に遊ぶ」という「数寄」に遁世の

道を見いだしたけれど、兼好は出家し静かに暮らした

 

 違ってはいても、どっちもいいなと思った。

(がこの時代、そもそも「遁世」なんてことが可能な人はごく一部だっただろう。

生きていく、食うのが精いっぱいという人がほとんどだったのでは。

「日本文化をよむ」なんて言っておられる私は、今をありがたいと思わなければ

バチがあたりそう)

 

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 無常(観)は、老いとともに味わいが深まる。

「人生も世界も常ならず…あてになるものごとは

何ひとつない…」という「諦め」諦念ではなく、

「明らめ」だ。

「あてになるものは、老いと死」。だからか、死も

なんというか「親しみ」のようなものが感じられる。

(「死」について、若かったころは反射的に《直接的に》避け嫌うところが

あった。

《けっして好きになったのではないが》老いた今は生と死の間に「無常」が

忍びこみ、それが生と死を取り結んでくれ、避けることがなくなった。

これに私の場合は、もう少しで死んだかも…《障害者にはなったけれど》という

個人的体験が加わっている)

 

 いまの新型コロナウィルスも、おととい逗子市での

崖崩落事故に遭って亡くなった18歳の女子高生の

表現できないほど気の毒なニュースも、人生の無常を

深く感じさせざるを得ない。

 

 

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                           ちりとてちん

 

 

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