カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2020.3.17 宗教、信仰ということ②

            カメキチの目

 

 

 感想を六つ。

(とくに若松英輔さんの言葉に感じることが多かった)

 

【引用】

人間中心ではなく、見えないものへの多層的視座をもつこと

 

日ごろ私たちは世界の「表層」を生きています。

表層とは人間を中心に据えた側面という意味です。

人は表層では無神論者たり得ていても、深層意識においては無神論者たり得ない

のかもしれません。 

 

 

現代は何かを成し遂げた人を評価し、困難の中にある人からは遠ざかる。

しかしそれでは、困難を抱えた人だけに宿っている叡智が感じられなくなる。

こんなに多くの苦労を背負った。だからこそ幸せを感じる。宗教はこうした世界が

あることを教えてくれます。

また、このような宗教的世界観は、私たちを、人間が中心たり得ない場所へと

導いてくれます。…畏怖という感情…

 

祈るとは、人間を超えたものに何かを頼むことに終わるものではありません。

彼方からの声を聞くことです。沈黙の中に無音の声を感じとること

 

(注:赤字の強調はこっちでしたものです)。

 

 若松さんは、別なところで次のようなことも

述べられていた。

 

【引用】

「どう生かされているのか」は「どう生きるのか」と)同じではない

近代の人間は、「どう生きるのか」一生懸命考えています。…

 

感性的世界と霊性的世界 

霊性というのは、宗派を超えて人間の中に内在する、超越を求める衝動です。

 

彼方からの声を聞くことです。沈黙の中に無音の声を感じとること。

 

宗教における沈黙、それは「祈り」にほかなりません。祈りと願いは違います。

願いは人間が自らの声を神仏に届けようとすること、祈りは、神仏の声ならぬ

「声」を受け止めることです。

 

「彼方での対話」(→「沈黙」)

沈黙の働きと、宗教の問題は不可分です。言語を超えていく、理性を超えていく

のが宗教的世界観ですから、われわれが沈黙とどういう関係を切り結ぶのかは、

宗教を考える際に根源的で本質的な問題であると思います。

 

( 注:赤字の強調、()の黒字はこっちでしたものです)

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①「人は表層では無神論者たり得ていても、

深層意識においては無神論者たり得ない

のかもしれません

 

「私は神、仏など信じていない」と人の中にいるとき

集団の中では言えても、

ひとりになったとき、孤独だと思っているとき、

愛してやまない人が消えたときも、

そう言っておられるのだろうか。

 

 そういう人がいるとは思うけれど、その人が

「強い」とも、自分がそうなりたいとも思わない。

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②「「どう生かされているのか」は「どう生きるのか」と)同じではない

 

 とても重い言葉だと思った。

私は考えたこともなかった。

「どう生きるのか」ではなく、

「どう生かされているのか」 

 

自分の力ではどうしようもないところに、自分の力ではどうしようもないしかた

でしか「誕生」できず、

生れてから生きるなかで、努力だけではどうしようもないことがいっぱいある。

「無限の可能性」というけれど、すべてが運(ウン)と言うことができるし、

言ってしまえばそれまで。

 

科学技術の力によって、気の遠くなるような未来に、人間が神仏(自然超越者)に

なれば別だけど、

「生かされている」という感覚がある限り、感謝ができるうちは、

人間は大丈夫! 

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彼方からの声を聞くことです。

沈黙の中に無音の声を感じとること

 

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宗教における沈黙、それは「祈り」に

ほかなりません。祈りと願いは違います

言語を超えていく、理性を超えていくのが

宗教的世界観ですから、われわれが沈黙と

どういう関係を切り結ぶのかは、宗教を考える際に

根源的で本質的な問題であると思います

 

「祈り」という宗教の根本をなす行為。

それは自分ひとりが神、仏に対すということ、

個人によってなされるという原点的な事実を、

今いちど心に強く感じた。

 もちろん、それはみんなで祈ることと矛盾しない。

集団で祈っても、祈るという行為は一人ひとりが行っている。

それに、祈る場としての寺や教会には僧や牧師の導きがあり、信仰しやすい。

それに、みんなの祈りが感じられるのじゃなかろうか。

 

 ただ、彼方からの声を聞くためには、自分ひとりの

沈黙=「祈り」を持たなくてはならない。

 また、その「祈り」は「願い」であってはならない

と若松さんは言う。

深くうなずいた。

いままでは私は「祈り」と「願い」を区別して思い、考えたことはなかった。

言われてみれば、たしかに二つは違う気がする。

が、合掌しているときの心の現実は、混じり合っているようで、分け方が

よくわからない(たぶん私の信仰は真剣さ、深さが足りないのだろう)。

 

ともかく「沈黙」のだいじさが強く伝わってきた。

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④ 宗教は人間を超えた絶対者(ふつうは神仏)

「信仰」すること。

 

 しかし…。

 ある特定の宗教を選べば(つまりその宗教の信者となれば)

絶対者は「神仏」なのだが、

いまの世の中では人の心だけに住む神仏より、

目の前にあるおカネなど「物神」に惹かれる。

 近年の目覚ましい科学・技術の力で、それまでは

神仏に祈ることでしか「解決」されなかった多くの

「不思議」がわかり、解決されつつある。

「心の不思議」さえ、フロイト精神分析の対象から、「物」としての脳の機能の

一つに還元されてきた感がある 

 神仏にかわる絶対者には事欠かない。

 

 もはや、宗教は廃れるほかないのだろうか?

 

【引用】

お金という神さま

これはつまり、みな実は拝金教という宗教を信じている、ということになります。

出世教、学歴教…、周囲は「宗教的なもの」ばかり…

 

例えばお金のために殺人を犯し、その結果人生を破滅させることもあることを

考えるなら、お金にだって何か超越性がある、ということもできるわけです。

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⑤  マインドフルネス

碧海寿広さんがわかりやすく述べておられるので引用文だけを。

 

【引用】

「マインドフルネス」の世界的流行

瞑想をなぜ行う必要があるのか。その意義がこれまでのように宗教的に説かれる

のではなく、科学的に説明されており、これが「科学信仰」の強い現代人には

とても説得的なわけです。

禅・瞑想の軍事利用

マインドフルネスというのは、もともと仏教の瞑想をアレンジするかたちで

設計されています。それが、仏教の本来的な目的から外れたところで、

手段としてのみ、テクニックしてのみ使われてしまっている。

しかも、目的としては企業につとめる個人の成功や、会社の業績アップといった、

現代の資本主義的なものにのみ奉仕するかたちとなっている。…

企業を中心としたマインドフルネス・ブームにおいては、こうした仏教の本来的な

目的とは、おおよそ逆行するような事態が進んでしまっているのではないか。…

 

仏様の名前を唱え、その姿を心に念じる念仏という行為も、

もともとは瞑想の一種です。

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⑥ AI時代の宗教

 

④と関連してくるが、ますます神仏に祈るという宗教

から私たちは遠くなっていくのだろうか。

若松さんだったか碧海さんが述べておられるように、

 

【引用】

黙って、その人の気持ちを写し取ることは、宗教的に最も大事な次元だと思います

苦しんでいる人に解を与えることではなく、共に苦しむ。…

共に苦しむことが、宗教的な最も根源的な地盤にあり、

君の苦しみはこういうことだ、君はこういうふうに生きていったらいいと

解を与えるところに、宗教的な本質があるわけではありません。…

 

 AI時代が、すべての人々の苦しみや悩み(レベルは

さまざま)をなくすことはありえない(あれば、人間が「神仏」に

なったとき)

共に苦しむことが、宗教的な最も根源的な地盤に

あり

 

共に苦しむ」のは、ほんとうにむずかしい。

 私は「共に苦しんだ」とは、死んでも言えそうには

ない。

 だけど、言えるようになりたい。

 

 

最後にまたまた引用

 

【引用】

(読み書きはひとりでしかできないということ)

祈りも同様です。…(祈るとき、その人は個)その人の個の心が超越につながるのが

祈りです。

ところが、本当の意味で「ひとり」になることを、インターネット社会は大きく

阻害しているのではないでしょうか。…

 

今、われわれに難しくなっているのは、本当の意味での孤独な時間を持つことです

孤独な時間は、宗教にとっては、なくてはならない時間です。

                 

                                                                                                 f:id:kame710:20171029114701j:plain

                               ちりとてちん                            

 

 

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