カメキチの目
(日本でも東京圏など7都道府県だけだが、「緊急事態宣言」が出ることになった
新型コロナ。私も自分の身近なところでも聞くようになった。
外出が制限され、そのストレスが酷い場合は弱い立場の人に暴力や差別的な言動に
なって現れやすい《朝のテレビニュースでは、オーストリアでDVが急増している
と伝えていた。もちろん、オーストリアだけの問題ではない》。
とても気になるが、読んだ本のことを書きます)
「アイデンティティ」という言葉をよく聞くように
なったのはいつ頃からだろう。それほど古くはない
気がする。
「実用日本語表現辞典」によれば
【引用】
アイデンティティとは、同一性、すなわち「《他ならぬ》それそのものであって他のものではない」という状態や性質のこと、あるいは、そのような同一性の確立の拠り所となる要素のことである。
「アイデンティティ」は人種、民族、性別、宗教、言葉、文化など、生れ育った
土地や時代の「集団」の属性から成りたっているけれど、そんなもろもろの性質が
組み合わさり、決して二人と存在しない「自分という個人」になっているのだから
「個性」を人間としての属性からあらわしたものなのだろう。
そう考えると、思春期のころ「自分とは…?」と悩んだのは「アイデンティティ」
探しだったといえる。
私が若かったころは周りの人たちは右も左も日本人。同じような人間ばかり。
人種とか民族とか文化や宗教の違いというものを意識することはなかったので、
「アイデンティティ」という観念はまったくなかった。
の人たち《民族の違いはあまり問題になりませんが「琉球民族」の人たちも》が
いますが)身のまわりに外国からの人をよく見かける
ようになり、人間どうしのつき合いが複雑になった
現代になってよく意識されるようになったのだろうか
それにグローバル企業の登場、インターネットの発達、労働や観光での外国人が
多く往き来するようになり、世界が近くなったからでしょうか。
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「アイデンティティ」が問われてくるときは、
たいてい何かのイザコザ、争いが起きている。
「アイデンティティ」が人間独自の《他ならぬ》それそのものであって
他のものではない」という状態や性質のこと…でありながら、同時に
あらゆる生きものと同じく人間も自己保存本能を
もっているので、単なる生きもの(動物)としての
次元では、自分と同類につきたがるのだろう。
異なる「アイデンティティ」のよそ者を受けいれ
難くなるのかもしれない。
極度の不安状態に陥ったとき(一種のパニック状態)、なにかの争いが起きたときは
冷静な判断力は期待できなくなり、誰かリーダー的存在が煽れば、大部分の人は
自分のアイデンティティが多い方につき、リーダーに引っ張られやすくなる。
(現代では別にリーダーではなくとも、SNSとかで「誰でも気軽に」煽動できる。
「事実」であろうと、「ウソやフェイク」であろうが…)
「民族」というアイデンティティの違いから、悲惨きわまる大虐殺という悲劇の
ルワンダ内戦やユーゴスラビア紛争からまだ30年くらいしか経たない。
バカみたいな風評、デマがあっという間に「拡散」し、マスクなどの買い占めが
起こった。その程度ですんでいるならいいけれど(よくはない)、「戦争」とまで
表現されるに至ったコロナウィルス災禍が、人間同士の殺しあいにまで「発展」
しないとは言い切れない(アメリカではアジア系の人々が差別され、被害を受ける
恐れ、不安から銃の購入者が急増しているとテレビが報じていた)。
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人間は、面倒くさい生きものだとつくづく思う。
いまの場合は、「面倒くさい」というのは好ましい表現ではないので「複雑」と
言い換えます。すみません。
複雑きわまりない。
それは「多様」ということでもあり、自然な姿で、
本来はすばらしいこと。
そんなことを
『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』 橘 玲
という新書本を読んで感じた。
愛読している爽風上々さんのブログに紹介があったもの。とてもおもしろかった。
(本のわかりやすい内容は、こちらをご覧ください)↓
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本を読んで、「ポピュリズム」「右傾化」という
世界で起きている今の政治現象、流れを理解する
ヒントが「アイデンティティ」という視点にある
ということが私にはいちばん印象深かった。
【引用】
三位一体(知識社会化=グローバル化=リベラル化)の巨大な潮流
社員を平等に扱う会社は「リベラル」と呼ばれる。このようにして、知識化と
リベラル化も一体となって進行する。グローバル市場でビジネスをする以上、
社員を差別する会社は取引先や消費者の信頼も得られないだろう。…
「知識社会化=グローバル化=リベラル化」が三位一体で進むにつれて
そこから脱落するひとが増えるのは避けられない。
これが「中流の崩壊」と呼ばれる現象で、
欧米では彼らの怒りが社会の保守化=右傾化を招いている。…
「反知性主義・グローバリズム批判・保守化」というのは、愛煙家による
「嫌煙ファシズム」批判と同じで、行き過ぎた「知識社会化・グローバル化・
リベラル化」に対するバックラッシュ(反動)なのだ。…
(右傾化の正体について)
ネトウヨが在日韓国・朝鮮人を「朝鮮半島に叩き出」さなくてはならないのは、
日本国籍を取得して「日本人」になってしまうかもしれないからだ。
彼らにとっての最大の脅威は、日本に続々と移民がやってきて
「日本人」になることだ。
なぜなら、彼らがたったひとつしかもっていない「誇るもの」の価値が失われてしまうのだから…。
「正義依存症」のひとびと
道徳に反した者(社会から与えられる「特権」《優遇措置など》を受ける社会的に
弱い立場の人たち)を罰すると、それを見ただけで脳からドーパミンが放出される
こうした傾向は男性にとくに顕著で、ネトウヨがアルコール依存症やギャンブル
依存症、ドラッグ中毒と同じ、インターネット社会が生み出した病理現象
=正義依存症であることを示している。…
(ポピュリズムについて)
ポピュリズムにはなんらかの「主義(イズム)」があるわけではなく、
有権者の不安を煽り怒りを掻き立て、集団への帰属意識(アイデンティティ)を
確認するために投票所に足を運ばせる政治手法だ。
かつてはそれが「虐げられた労働者の怒り」だったが、
いまでは「アイデンティティを傷つけられた怒り」に代わった。
そう考えれば、日本でも世界でもネトウヨ的な手法で票を集めようとする政治家が
跋扈することに不思議はない。…
(注:()の太字、太字、赤色はこちらでしたものです)
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現代の人間は、世界は、新型コロナの感染から
何を学ぶのだろう?