カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2020.9.18 お金とは?(エンデ)〈前〉

     

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エンデの遺言 根源からお金を問うこと』  河邑厚法徳+グループ現代 

という新書を読んだ。

 

お金」。

 社会に必要とされる限り、つき合わされるモノ。

「モノ」だけど、神さまのようだ。

多く持つほど、「金持ち」になるほど幸せになる

気がする。

(そうだとしても 私も金持ちになりたい。でも「大金持ち」でなくていい)。

 

 お金の持つ「物神性」にダマされないためには、

お金の本質を考え、根源的にとらえるほかない。

そうしないと人間らしい豊かな生き方はできない、

とエンデは、深く考えていたと知りおどろいた。

エンデは、子どもに「お金、流通のような抽象的なむずかしいことがわかる

わけがない」大人の言いそうなことに反し、理屈はまだわからなくても、

彼らが『モモ』の世界、おもしろさを感じることを通し、自分の思いは直感的に

伝わる信じていたのではなかろうか。

 

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それにこんなことも思った。

ずっと前の記事に、河合隼雄さんの「神話」のことを(先日は北ビルマカチンの

人びとの大昔からの云い伝えのことも)書いたことがあるが、「神話」「昔話」

「民話」などと同じく、『モモ』のような児童文学も子どもを主な相手に物語の

形式でわかりやすく語り、(人間の本来的というか)素朴で自然な感覚に働きかけ

深い共感を引きだすのだろう。

 

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この本は講談社からの出版で、初めに「講談社BOOK倶楽部」というサイトの

本書のPR・紹介を引用します。

                  ↓

【引用】

暴走する「お金」の正体
『モモ』の作者が遺した、お金の常識を破る思想。リーマンショックを予言した奇跡の書

『モモ』『はてしない物語』などで知られるファンタジー作家ミヒャエル・エンデ

日本人への遺言として残した一本のテープ。

これをもとに制作されたドキュメンタリー番組(1999年放送/NHK)から生まれた

ベストセラー書籍がついに文庫化。…

●人間がつくったお金は、変えることができるはず
●どうすれば「お金の支配」から自由になれるのか
●「老化するお金」「時とともに減価するお金」とは
●「地域通貨」を生み出す「共生の思想」
●ベストセラー『モモ』には、お金への問題意識が込められていた

 

強く印象に残った部分(引用)に番号をつけ、3回に分けて紹し、感想を述べます

きょうは①~③まで。

 

【引用】 

エンデが本当に考えていたのは“お金の正体”でした。

そこで見えたことは、お金が常に成長を強制する存在であることです。

科学とお金は共通点があります。現状に満足することがなく“科学は進歩”を、

“お金(資本)は成長”を追い求める点です。それが誰も疑わない現代の神話です。

 

お金が持つ成長への強制には理由があります。時間とともに加算される利子です。

時間がたてばたつほど利子は増えるので、投資されるお金はそれに見合う見返りを

求めます。… 

もう一つ成長を強制する力は“人間の欲望”だと思います。

 

(エンデの言葉)重要なポイントは、パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と

株式取引所で扱われる資本としてのお金は、2つの異なる種類のお金であるという

認識です」…

 

(注:太字・字はこちらでしました)

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■ ①②

 現状に満足せず「前進」「成長」を続けること。

 これが人間・人類と他の生き物との決定的な違い

なのだろうか?

だから「成長」「成長」…と、高度経済成長の時代は明らかに終わったと

誰もが認識していても、「成長」…と言わないと不安になってくるのだろう。

人間が生みだす欲望」は「科学・技術の発展」を

生みだし、それ自体が「お金」になる

お金」は新たな欲望」を生み、それがまた新たな

科学・技術」を生む。

 

「欲望=科学=お金」ではないが、前進・成長という観点にたてばまさしくそう

・科学がお金になるのは具体的には「技術」としてあらわれ、正確にいうなら

「技術=お金」だ。

(お金になる、儲かる技術には国さえお金を注ぎこむ《お金=資本 出どころは

国民からの年金など豊富に存在》。その技術を有する会社の株を買う《という形の

賭け事》。外れて大損しても隠せばいい。バレても「すみません」「国がやった

ことだから許してチョ!」でご破算)

・お金はお金を生むので投資にも国は目がない

 

技術もお金も「速さ」が命。他より速く進歩、成長しなければならない。 

 「速さ」は価値だが、遅いとの比較があっていえること。つまり「競争」が命。

 「競争」が大前提のうえでの「進歩」あり「成長」なのだ

 

 この社会は「資本主義」。

 あらためて、「競争」という資本主義の論理が

貫いていることを痛感した。

 

「競争」の反対は「共存」

今日では「競争」自体が成りたたなくなるほど地球は人間の手によって汚され、

(皮肉なことに)汚染を救う、エコの分野での商品開発などが「競争」目的に

なってきた。

一方では同じく「競争」は無意味になるほど、巨大化・グローバル化した

ごく一部のアメリカなどの企業・資本(国民国家凌駕)の存在。

残された道は「共存」しかない。

妖怪・化け物のような巨大なグローバル企業・資本だって多くの人々からの

支持を得ようとすれば、環境にやさしい取り組みをしようとするし、誰もが便利・

快適と感じるモノを開発し拡げようとする《逆に言えば、そんな姿勢が成功して

大きな企業へと成長したのだろう

ーーーーー

■ ③

パン屋でパンを買う購入代金としてのお金と

 株式取引所で扱われる資本としてのお金は、

 2つの異なる種類のお金であるという認識  

 

 生きるのに必要なものを手に入れるための

便利な交換手段として、人間はお金を発明し、

利用している。

 

 他の生き物はお金が存在しないので(いわゆる)

「弱肉強食」という自然の論理に従うほかない。

 

動物はみな、自分の体を死ぬまで維持し、自分が親から生まれてきたように

子どもを生み育てる(→個体の生命維持と種の存続維持)。

人間以外の生き物は、一日の大半をそれに費やしている(次の日もそうしなければ

ならないので、それに備えて《あとは》休む、寝るだけ)。

人間には、お金がある。一日の大半をそれに費やさなくていい。

 

〈オマケ〉

半世紀近い昔に観た映画『ライムライト』の、人生には勇気と想像力と、そして

ちょっとのお金があればいい、という主人公道化師チャップリンの言葉をいまも

よく覚えている。

 

 

 

 

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                           ちりとてちん

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