前に水飲み鳥のことを書いた。
一般的なガラス製品でずいぶんむかしに流行った。昭和のにおいがする。
別に温泉土産としではなく、おもしろいので買ったが、旅の記念にもなっている。
「水飲み鳥」という一般的な呼び名は味気ないので買ったときから「ピーちゃん」
と名づけている。
ピーちゃんは2年目になるいまも毎日、元気に首を
振っている。
ガラス製なのですが人形みたいに愛着がわき、24時間動きっぱなしでは疲れる
だろうと朝、くちばしを水に浸して動きを開始させた、夕方には水容器をどかす。
水を吸ったくちばしはなかなか乾かず、こっちが寝るころもまだ首を振っている。
見てください。
ところが、たまに振らないことがある。
(水飲み鳥の首振り原理は、赤い液体(ジクロロメタン《塩化メチレン》)の尻と
頭への動き(流れ)による重心の移動)
そういうときは、まるでピーちゃんが(飾り、おもちゃで
あっても)生きており、機嫌が悪くなって自分の意思で
止まったかのように思える。
ピーちゃんの命、ジクロロメタンは温度や湿度などに敏感だから、こっちには
わからないだけで、ちょっとした微妙な空気の変化に化学的に反応しているに
違いない。
首振りという単純な連続運動だけれど、動きが
あるというだけで生きているようだ。
「単純な連続運動」といえば、ピーちゃんより古く、100円ショップで買った
太陽電池で葉や茎が揺れ動くプラスチック製の花もある。太陽電池の受光部分を
ときどき拭いてやるだけで今も動き、動かない本物の植物より生きている感じが
する。
ピーちゃんも花も「わたしゃ生きてるよ」と言っている気がする。