アメリカ大統領選挙の勝敗は気になったけれど(国民の「分断」状態を想像する
だけで吐き気がするのでいつまで続くのか、トランプ政治がたとえ経済を上向きに
していても彼が再選されないことを願っていた)、もし再び当選することになれば
そういう事態をどう受け止めたらいいだろう?ともっともっと気になった。
「分断」「差別」を容認するトランプ支持者。
前回選挙はトランプが選ばれるかどうかは未知(おそらくダメだろうとの予測が
多かった)、初めてのことだったので、「分断が危惧されていても一国の大統領。
無茶や非道理はしないだろう。ともかく彼は有能なビジネスマン!」と期待し、
支持した人々のことがいくらか理解できたけれど、こんどばかりは同じ人間として
(あれこれ考えても)わからない。
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大統領選の前、NHKのルポルタージュで、街の声を取りあげていた。
その番組をみていての感想。
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トランプ支持者の多くは親分(トランプ)の言っていることに少なからずウソや
ハッタリ、誇張がふくまれていることに気づきながらも、彼の歯切れのいい、
断定的な言動(そういえば日本にも同じような政治リーダーがいた)に惹きつけ
られているように見えた。
自分の頭で考えなくとも、みんなトランプが希望を、明るい先ゆきをツイッターを
通じて国民一人ひとりに直接話しかけてくれるのだからついていく、従うだけ。
経済は上向くと信じ、「自由」の盟主アメリカに誇りを持ち、それに一部の人々は
「白人であるということ(アイデンティティ)の優越意識」も加わっている。
なかにはトランプは神の子だと言う人もいた。
バイデン支持者はそのほとんどが「分断」と「差別」のないアメリカにしたいと
いちばんに言い、経済をよくしたいとか自由がどうのとは言っていなかった。
なかにはトランプでなければ誰でもいいと言う人もいた。
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このまえ読んだ酒井順子さんの『下に見る人』というエッセイに、人間はとかく
他人を下に見たがる、(無意識のうちにでもサッと比較し)自分の方がちょっと上
と安心、優越感を味わうところがある、自分(酒井さん)にも確実にあります、と
書かれていた。
【引用】
「雨の日に室内にいるという幸福感は、絶対的なものではありません。
屋外で濡れている人の存在があるからこそ、それは相対的に強められています。
他人が難儀をしているのを見る時に楽しさを、そして時には幸福をも覚える感覚が
私の中には確実にあるのです」
そして「あとがき」にはこうあった。
「人を上とか下に分けずにはいられない病が不治のものであるならば、
その病の存在を自覚し、表には出さないということが必要なのではないかと、
私は思っております。それがせめてものマナーでろう、と」
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この部分を読んだとき、私はトランプのことを想った。
最も強いリーダー、権力者が(それが「不治の病」であるのかどうかは別にして)
人々の覗きたくない心の内、内面の一つに他人を上とか下、右とか左に分け、
上と見るならば嫉妬し、下と見るならバカにしたくなるような弱さ(もちろん
ない人もいる)を引き出し、利用する。
自らの権力欲のために「分断」を謀り、煽る。
個人の内面、心に属することはとてもデリケートだ。
恥ずかしくて人前に晒すことなどできないもの、醜い差別心、傲慢な思い上がり、
私の内にもどろどろとしたトランプと同じような「邪悪」の数々がデパート並みに
揃えられていることを自覚する。
国民がそれを「表には出さない」よう、大統領自身が「せめてものマナー」を手本
として示してこそ、本物のリーダーだと私は信じる。
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私もトランプが負けさえすれば新大統領は誰でもいいと思っていた
(裏がえせばそこまで酷くて下劣なヤツだと思っている)。
別にバイデン候補でなくともよかった(余談→個人的にはサンダースさんが民主党
候補に選ばれることを望んでいたけれど、彼になったらトランプが勝っただろう。
この選挙構図を日本に当てはめたらアメリカの「民主党」は、自公与党に反対の
野党が一体となったようなものだろうからありえないが、辻本清美さんのような
方か日本共産党のどなたかがサンダースさんかな、と連想した)
バイデン新大統領が登場しても、国家より強い独占大資本、彼らとウィンウィンの
しかし、バイデンさんが勝利宣言で力強く述べたようにアメリカが一つになって
ほしい。
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政治の世界はとても醜く、私も大嫌いだ。
しかし、そこから離れて生きてはいけない。
(グーグル画像より)
できれば、宮沢賢治の言うように
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
が、世界中の政治理念になればいいのにと夢のようなことを思った。