今回からは「第2章 日本人の未来が売られる」です。
第1章が日本の自然という資産であったのに、日本人の生活そのものです。
1 労働者、2 仕事、3 ブラック企業対策、4 ギャンブル、5 学校、6 医療
7 老後、8 個人情報とあり、きょうは1~4。
(5学校からは次回。なお6医療は前に「国民皆保険」のことを書いたので省きます)
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政府(行政)は、よほど重要なことでない限り(重要か否かの判断は自分たちでする)
「〇〇法案」という形で国民に問うて(国会審議を経て)成立させるのではなく、
そっちのほうが手続きが面倒くさくなく+「スピードを持って」迅速に行える
ということで、「▢▢審議会(委員会)」や「△△諮問会議」やらで専門家から
意見を聞いたということで「政令」「省令」というものを出す。
実はこれらが何という曲者であることか!
(どんないい法律ができたとしても、実際の細かな手続き、運用は「政令」「省令」にまかされ、
官僚にゆだねられ、「骨抜き」にされる恐れがある)
【引用】
「1 労働者が売られる
(「高度プロフェショナル制度」を盛り込んだ、2018年5月31日に可決された
「過労死」とはみなされないので、統計上の「過労死」が減るという、
まさに雇う側と政府にとっては一石二鳥の法律だろう。…
(竹中平蔵の言葉)「時間内に仕事を終えられない生産性の低い人に、
残業代という補助金を出すのは、一般論としておかしい」…
代わりに「時間でなく成果で評価する」高プロを入れれば、
そういう社員の生産性が上がるだろうというわけだ。…
(「高プロ」は、野党の追及に当時の安倍首相がいみじくも答えたように、
「労働者のニーズではなく、経済界から制度創設の意見があったので作りました」
とのこと。労働者のニーズで作ったという「働き方改革法案」は実は
雇う側の要望で作った「働かせ改革法案」だった。高プロの)対象職種はこれから
決められる…
職種は金融関係者や専門家だけでなく、厚労省がこれからいくらでも広げられる。
ちなみにこれは国会を通す必要がない「省令」…
86年に導入された労働者派遣法の対象が、いつのまにかどんどん拡大され、
99年には全職種派遣OKになっていたように。…
派遣社員の働き方は労働基準法で守られるが、高プロ社員は労働基準法の適用外
…
2 日本人の仕事が売られる
〈老後は誰に介護してもらいますか?〉
2016年11月18日。
竹中平蔵氏が毎回出席する国家戦略特区諮問会議の提案で、外国人労働者の
受け入れ分野に、「介護」を加える法改正が成立した。…
外国人技能実習生なら最低賃金で雇うこともでき、それによってさらに
日本人介護士の給与も引き下げられてゆく。…
2017年2月。
国家戦略特区諮問会議は、サービス業で働く外国人労働者が在留資格を
取りやすくするよう、取得条件を緩めることを決定した。…
いつものように、最初は特区内でスタートするのが良いだろう。
未だに「国家戦略特区」はよく知られていない…
〈いよいよ本命「移民50万人」解禁だ!〉
2018年6月15日。
政府は「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)で、ついに2025年までに
50万人の外国人労働者を受け入れる方針を発表した。
…
3 ブラック企業対策が売られる
〈ブラック企業を取り締まる、労基署を民営化せよ〉
この命づな(労基署)が危機に瀕していることを、国民は知っているだろうか?
現在全国に勤務する労働基準監督官の数は、3241人だ。その半数の約1500人で、
5000万の労働者のために、全国400万軒の事業所をチェックする。
どう見てもマンパワーが追いついていない。
「人出不足?では民営化しましょう」また、これだ。猫も杓子も民営化…
労基署の機能を民営化する手法そのものが、国際法違反なのだ。…
公的機関の人員を、大至急増やすことが先決だろう。
高プロと移民50万人計画だけが先に導入され、過労死チェックが追いつかない
まま一部の人々の民営化万能論みよって、日本人と外国人、両労働者の安全が
危機にさらされている。
…
4 ギャンブルが売られる
「自分はパチンコもカジノもやらないから関係ない。
ギャンブルで人生を棒に振る人は自己責任でしょう」
「それより巨大リゾートができるのが楽しみです」
テレビが紹介する町の人々の声に、危機感はない。
だが国内にギャンブル場が増え、依存人口が増えるとどうなるか?
その地域は治安が悪くなり、犯罪率も上昇する。
本人や家族が貧困になれば、生活保護や医療費などの社会保障費がかさみ、
そのしわ寄せは普通に働いている、ギャンブルをしない人々の肩に
のしかかってくる。…
客が外国人だろうが日本人だろうが、カジノ設立で笑いが止まらないのは、
運営業務を引き受ける、外資を中心とした大手エンターテイメント業界の面々と
ウォール街の投資家たちだ。…
〈(2025年に開催予定の)「万博」と「カジノ」〉
セットにすれば、(カジノ建設の)資金の問題は解決するではないか。
万博ついでにカジノを建設
大阪府は、カジノ用地の埋め立てや橋や鉄道の整備を、万博用の公費770億円で
肩代わりさせる構図に違いない…
大阪がマネーロンダリング天国になる!?」
(注:黒字の()〈〉、下線はこっちでしました)
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・私の周囲には今は「過労死」しそうな者や「高プロ」のような専門的な仕事に
たずさわる者はいないが、先はわからないし、自分に直接関係なくても気になる。
人を相手にする福祉の仕事を退職して何年にもなるが、専門的ではあっても福祉は
「時間内に仕事を終えられない生産性の低い人に、残業代という補助金を出すのは
一般論としておかしい」代わりに「時間でなく成果で評価する」高プロを入れれば
そういう社員の生産性が上がるだろう」と言っているし、福祉の現場(医療はもっと
そうだろうが)は生きた人間を相手にするのだから残業は常態になっている。
「生産性」とは無縁の職場にも、国会を通す必要がない「省令」によって、
(介護や看護も専門職なので)遅かれ早かれ高プロ職になるかもしれない。
(古いせいか私は、「平蔵」という名前を聞くと「平次」、昔はやった『銭形平次』という十手捕り物
時代劇を思いだす《大川橋蔵という役者のはまり役だったので、「平次」+「橋蔵」と頭のなかで勝手
に変換されたのかもしれない》。悪者に銭を投げつける平次親分の得意技。銭で「銭がすべての平蔵」
をやっつけてくだせ!)
・しばらく前からよく聞くようになった「外国人留学生」「外国人実習生」
(もっと前からは「日系ブラジル人」など)の実態についてのルポルタージュを
つい先日読み、唸ることが多かった。
↓
「留学生」も「実習生」も言葉の聞こえがよく、前者は勉学、後者は日本の先進的な技術を身につけ
母国に持ち帰って発展に寄与するという、建て前としてとても崇高な目的をもった法制度がつくられ、
外国人受け入れが始まったが、その実態は、受け入れの日本側としては体のいい人手不足対策であり、
発展途上国側には「出稼ぎ」なのだ。
「留学生」のほとんどは「偽装留学生」(勉学でなく就労が目的。とくにベトナムの若者が多い)で、
「留学」である限り「日本語学校」への入学は必須だが、留学生たちは先ずここで搾り取られる。
(悪質な日本語学校が非常に多い。その前に彼らは母国を旅だつ前、現地ブローカーに、渡航や
「日本語学校」への入学するための全費用としての150万円くらいを工面するために、親たち家族が
家屋土地を担保に借金しており、搾取は母国ですでに始まっていたといえる)
次にさまざまなアルバイト先で搾り取られる。
夢は早々に破られ、犯罪に走る留学生が後をたたない。
最近のニュースで「豚が盗まれ食べられた」「その犯人はベトナム人の留学生だった」というのが
あったけれど、もっと前にも同じようなニュースがあり、このときはヤギだった。
私にとって生の外国(人)体験といったら、外国へは行ったことがないので
5個くらいしかない。
①生まれ育った地方にも、子どものころは近所に朝鮮の人がおられ、親しくして
いたけれど(後に知ったが、北朝鮮の帰還運動で)帰国された。
②同じく子どものころ。夏休み、子ども会で近くの川で泳いでいたとき、近所の
ブラジルに移住したという一家が里帰りで、そこの息子が泳ぎにきていた。
③若いころ、職場の同僚の女性が好きな男性が朝鮮人で、親に反対され結婚を
諦めた話を聞いた。
④勤め先は児童福祉の職場であった。90年代半ばごろから中国人やフィリピン人
の親子に関わるようになった。
⑤2、3年前までは旅さきで中国人や韓国人をとてもよく見かけた。観光客ばかり
でなく働いている方も。
先のルポルタージュ本の最後のあとがきに、
「政治に無関心ではいられるけれど、無関係ではいられない」
と書かれてあったのがいつまでも心に残った。
・「労基署を民営化」。
こういう話があること自体を初めて知った。恐ろしいことだ。
・「万博ついでにカジノを建設 」。
なるほど、大阪(正確には「大阪維新の会」などの政党や大企業経営幹部たちか)に万博を誘致
おまけにカジノか。
なるほど、万博が先になければならないわけか。
(オリンピック関係者は、東京オリンピック・パラリンピックを開催し、その場で高らかに
「人類はコロナに勝った」と宣言したいのだろうが、情勢はきびしいようだ)