1年前からのコロナ禍でインバウンドはすっかり影をひそめている。
いつになれば元のようになるのか?
「コロナ後」の世界では、インバウンドの姿も変わってくるのだろうか。
(まだまだマスク姿は続くのでしょうか。話し声が聞こえてやっと中国、台湾、韓国の人の区別がつく
のでしょうか)
旅ずきなので、昨年も旅をした。
初めのは3月半ばで、まだ「緊急事態宣言」が発出(「発令」でなく「発出」というのだと
初めて知りました。長く生きていても「緊急事態」には遇うことがなかった)されていなかった。
次は解除された後。結果的に「GO TO…」の対象となり、旅費等の一部が還って
得した気分になったが、批判していた「GO TO…」を使っている矛盾を抱え、
旅のあいだ、ときどき思いだしては複雑な気分にもなった。
(けれど、旅先の小さな土産店で「「GO TO…」のおかげで…」という店の人の声を聞くことがあり、
いっそう複雑になった)
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3月半ばの旅は、初めての土地だったので現地の定期観光バスに乗ることにした。
(グーグル画像より)
宣言はまだ出されていなかったので、コロナ禍の恐ろしさを身近では感じておらず
早春の風の寒さを感じながら観光バスを待つあいだ、
「ひょっとしてバスに乗る観光客は自分たちだけだったりして…まさか!…」と
少し気になってきた。その気分はだんだん膨らんだ。
しかしまだ「杞憂に終わる。大丈夫!」の方が勝っていた。
が、バスがやって来て、まさかは当たった。
(「当たり」の驚きは運転手さんガイドさんの方が私たちに勝っていた。
客の私たちに失礼にあたるので声にこそ出されなかったが)「エッ?! ふたり…」と
思われたに違いない。
乗客二人ではあっても、損とはわかっていても、バス会社の規則も職業倫理もあり
大型バスは出発した。
「すみません…」という言葉が乗った途端に出た。謝ることではないにしても、
自分たちが貧乏神になった気がした。
向こうは逆に恐縮され、全然気になさらず観光をお楽しみくださいと言われ、
私たちだけでも、ガイドさんは手を抜かすことなく(と信じた)案内してくださった
ところでガイドさんによると「ついこの前までは、インバウンド、中国からの
お客さんがすごく多くてバスはいつもいっぱいだったんですよ」とのことだった。
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一昨年までの数年間、「インバウンド」という、それまで知らなかった言葉を
よく聞くようになった。
うるさいほど耳にするようになった。
だがこっちは、マスコミが話題にする以前から、旅先によっては中国など東アジア
からの観光客を日本人よりずっと多く見かけていた。
「日本も国際化した、観光地化したものだ」と(初めのうちは)新鮮に驚いていた。
(そのうち)中国の人のしゃべり声が大きいのを感じるようになり(台湾の人と言葉は
同じでも、何となく違いが感じられる)「にぎやかだなぁ」、もっと経ってからは
ちょっとうるさく感じるときもあった。
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「爆買い」。
その言葉は、おもしろおかしい言動、ギャグのような「ウケ」を目ざしたお笑いと
同レベルのマスコミの造語だと思うけれど、日本の経済向上にもつながるので、
マスコミはそろって、豪華大型客船で、あるいは格安航空の直行便での中国からの
お客さんの来日(「買いもの」だけを目的にした場合もあるのだろうか)を好意的になんども
くり返し報じていた。
(「爆買い」の言葉はちょっと揶揄するような響きも感じるので私はイヤだ。
流行りの言い方をするなら「上から目線」の感じがする)
それはともかく、ずっと気になっていた言葉だったので、
『爆買い中国人はなぜうっとうしいのか?』 陽陽
(グーグル画像より)
という本を見つけたとき、すぐに読みたくなった。
著者陽陽さんは、長年日本で中国語の教師をされている中国人の女性だ。
私は中国の人がしゃべるとき(日本人と比べて)声が大きかったり、自己主張が強い
のは、大陸は広大なので(大声を出さないと、強く自分を表現しないと)相手によく伝わら
ないのでは…と子どもが思いそうなことを思っていた。
それは述べられていなかったけれど、両国の文化の違い(ということは歴史の違い)が
背景としてとても大きく存在していることが、わかりやすく親切に述べられていて
たいへんおもしろかった。
次から本に触れます。