著者は、有名な魯迅の小説『阿Q正伝』の「阿Q精神」は現代の中国にも
活きているという。
(グーグル画像より)
「阿Q精神」とは、「阿Qの『精神勝利法』」と呼ばれる。
(注:ウィキペディアより『阿Q正伝』を引用させていただきました)
【引用】
「時代が清から中華民国へ変わろうとする辛亥革命の時期、中国のある小さな村に、本名すらはっきり
しない、村の半端仕事をしてはその日暮らしをする日雇いの阿Qという男がいた。
彼は、働き者との評判こそ持ってはいたが、家も金も女もなく、字も読めず容姿も不細工などと
閑人たちに馬鹿にされる、村の最下層の立場にあった。
そして内面では、「精神勝利法」と自称する独自の思考法を頼りに、閑人たちに罵られたり、
日雇い仲間との喧嘩に負けても、結果を心の中で都合よく取り替えて自分の勝利と思い込むことで、
人一倍高いプライドを守る日々を送っていた。…」
阿Qの「精神勝利法」は、他人や社会に不平不満があっても、なんだかんだと
理屈を編みだし(それが「へ理屈」であろうとかまわない)自分を納得させる精神をさし
ふつうは否定的に受けとられる。
(魯迅は欧米列強により植民地化されている中国の現状を憂い、中国人は阿Qであってはいけないと
言いたかったわけですが、そんな精神の状態は阿Qだけの特殊なあり方ではなく、中国の民衆全体に
多く見られた。
もっといえば、当時の中国だけでなく、地域や時代を超えて世界中にあまねくみられる。
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先日の総務省高級官僚の接待は、単なる国家公務員倫理違反という「不祥事」として減給など軽い処分
だけ、とくべつ目立った山田真貴子内閣広報官はいったん「辞めない」と森喜朗オリ…元理事長と同じ
ことを言ったが、雲行きが怪しくなって病院に逃げこみ《コロナで病床ひっ迫というのにどうして入院
できたのだろう?》けっきょく広報官を辞めて一件落着。
最高権力者菅首相としてはバカ息子《親には失礼でもこういう話を聞くとすぐ「バカ息子・娘」を
想う》の軽はずみな行為が自分に及ぶのを恐れ、「トカゲの…」といういつものやり方で幕を引く。
その一連の流れ、「茶番劇」は、これまでもあまりに多く演じられ、国民はすっかり慣らされている。
慣らされている立場にいる点で、私も阿Qと何ら変わらないと思う)
が、否定的だけではなく、著者は「阿Q精神」「阿Qの『精神勝利法』」に
積極的な中身を見る。
曰く、身はいかなるイヤな目、苦難に遭おうとも、心だけはペシャンコにならぬ
よう、あらゆる手だてを駆使し、自信を持つ、自分を信じよう、と。
(阿Qのここは見習いたい)
阿Qの(積極的に言えば)逞しさ、(消極的に言えば)厚かましさ。
著者は、阿Qのなかに生きることに対する積極的な姿勢をみる。
「生きる」ということ、何があっても「生きぬく」ということは、
いちばんだいじなことなのだと思った。