カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2022.8.26 中途半端

中途半端

 

ものごとを最後までやろうとせず、イヤになったら投げだす。

いい加減な、私のような者を見るだけなら「中途半端なヤツ」といえばすむけど、

中途半端」は、人生を見るなら一個人の評価をこえて当てはまることが多い。

そこは思うようにならないことがいっぱいで、「妥協」しなければならない場合が

起きる。

(「中途半端」は「妥協」と違うけれど、似たところがある気がする)

 

生きるうえでは「中途半端」は避けられない。

 

玄侑宗久対談集』

         

           (グーグル画像より)

 

玄侑宗久さんは福島県、有名な「三春の滝桜」に近い禅寺の和尚であり小説家。

言葉に宗教者としての深い、したたかな目、世界観や人生観を感じる。

 

この本から中途半端」は人生そのものだと思った。

四つのことを書いておこう。残り三つは次回に)

 

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【引用】

人生も結局はあらゆる外部世界との対談のようなものではないだろうか。…

慣れた習慣と新たな創造との中途半端な混合隊

(注:「」、太字太字はこちらで。以降の文中の「青字」は引用注意書きをしなくても引用

 

木田元というご高齢の哲学者が対談相手。

「人生に回り道はない」という見出しで、木田さんが大学に就職なさるまでの苦労

すさまじい人生体験が語られる。

(戦地からの帰還し、食っていくために焼け跡にできた闇市にかかわらざるを得なかった。

しかたなくはじめた闇市の商売がうまくいき、ひょっとしてそっちが生涯の仕事になっていたかも…

と述懐される)

 

人生は何がまっているか、どんなことが起こるかわからない。

いちばんなりたくないのは病気。起きてほしくないことは不慮の事故。

でも、「なり」「起き」る。

そういう身体のことだけでなく、「ああしたい」「こうなりたい」と夢にむかい

努力しても叶わないことが多い。

 

人生とは、クネクネと曲がった自分の歩いてきた道、過去の全部。

「―」「障害」「回り道」をふくめた全体。

 

老齢の、いまの木田さんは言う。

クネクネに見えても、「結局自分にとっては真っ直ぐだった

個々のできごとはクネクネ、凸凹でも、ならせば自分にとっては真っ直ぐ

ーーーーー

中途半端」は人生のキーワード。

 

人生は、短くみるならば中途半端」で終わったことでも、長くみるならば

木田さんの言われるように結局自分にとっては真っ直ぐだった」わけだ。

(自分の過去をふり返ってもいろいろあったので、すごく感じる)

 

           


〈オマケ
の話

コロナが増えだした7月下旬、久しぶりに電車に乗った。

電車はJR西の「湖西線」という(古くさいが味のある緑一色の「カエル電車」がいまも走っている)

そのとき乗った電車の次の駅・到着時刻など報せるいつもの案内放送に、突然、ツレが「とっても

聞きとりやすいね」と言った。

こっちも深くうなずいた。こんなことだけど感動さえした。

 

スピーカーの設定がきちんとなされているのか、声の大きさは適度でクリア。

車掌さんのしゃべり方は、テンポ適切(言葉の前後の間がちょうどよい)、スピードゆっくり、

乗客をイメージして語りかけておられるようだった。

とても聞きとりやすい。

アナウンス話法の技術、決まりなどいろいろあるのだろうけれど、それをきちんと守り、利用者、

乗客の立場になって仕事をされている車掌さんを想像した。

 

そのときの放送では、いつもの到着ホーム番号や時刻、到着駅からの乗り継ぎ案内などだけではなく、

ちょうどコロナが増加に転じはじめていたころだったので、手洗い・マスク着用の呼びかけなど

どこでも聞く決まりきった表現ではなく、その車掌さんが独自に考えたらしい注意喚起の言葉がけも

あり、一乗客のこっちの感動はいっそう高まった。

(車内は混んでいたけれど、多くがスマホに見いっていた。イヤホンしている人も。

「どれだけの人が、そのアナウンスのいつものとの違いに気づいただろう?」と思ったけれど、

自分たちはごくたまにしか電車に乗らないのだった)

 

中途半端」のことを考えていたら、上に書いたことを思った。

人生全体をみれば中途半端」でも、部分部分、いま自分がしていることに最善をつくすこと、

それがだいじだなんだと、その日の車掌さんのことを思いだした

 

 

 

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                            ちりとてちん

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