(きょうは「生物多様性」についてですが、便宜的に四つに分けます)
■ 生物多様性
①「〈生物多様性があるから人間社会はここまで発展できた〉
遺伝子の多様性 種の多様性 生態系の多様性 景観の多様性…
生物としてありえない能力が化石燃料によってもたらされた人間による自然環境への影響は、
これまでの生物進化の歴史の中では起こりえないほど大きいものとなってしまったのです」
…
②「ひとかたまりの大きな集団でいるよりも、…地方分散型の連結集団構造の方が、
環境変化によってどれかひとつの集団が滅んでも、ほかの集団によって補填・再生されるという形で
集団全体の絶滅リスクが低くなることが観察されています」
…
③「〈なぜ「温暖化に比べると生物多様性の対策は数段遅れている」のか?〉
人間社会や地球環境に及ぼす影響やリスクが定量的には示されていないため、
温暖化ほど、一般の人たちにその危機感は通じてはいません。…
先進国の企業による遺伝子資源の開発と利益の独占は植民地時代からの歴史…
生物資源を利用した製品の市場規模は45兆円とも70兆円ともいわれています。
(ABS「遺伝子資源の取得の機会とその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」)
上記のABSこそが生物多様性条約の本当の目的だった…
しかし、アメリカを含む先進国はグローバリズムという名のもとに、遺伝子資源を医薬品などに利用し
経済的に利したいわけですから、ABSに躊躇する国も多く、各国の足並みはまだ十分そろっていません
議定書を作った議長国の日本ですら批准したのは2017年」
…
④「〈生物学と未来〉
77億人に膨れ上がった人類をウィルスは淘汰しようとしている…
根本原因は、人間による環境破壊がもたらす生物進化の歴史の崩壊にあります。…
そもそもこうしたウィルスたちも、人間が地球に登場するはるか昔から、野性生物の世界に存在し、
進化を繰り返してきました。
彼らも生物多様性の一員として生物進化の中で重要な役割を果たしてきたのです。…
ほかの生物たちの個体数を「調整」し、抵抗性をもつより強い系統へとその集団を進化させる
「天敵」の役割(を果たしている→)地球環境によくなければウィルスは人間を淘汰…
インフルエンザウィルスはもう4000年以上も人間世界との「戦い」を続けている」
(グーグル画像より)
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① 地球の生物の種類は、(ネットによれば)知られているものだけで約175万種!
↓
「全世界の既知の総種数は約175万種で、このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、
昆虫は約95万種、維管束植物は約27万種…
まだ知られていない生物も含めた地球上の総種数は大体500万~3,000万種の間…」
約175万分の1が人類ということ。
全部ではなくとも、残り1749999種類とのさまざまなつながりを通し、
ここまで進化してきた人間。
よく、「人間に生まれてよかった」といわれるけれど、ひょっとして私は
プランクトン、雑草、ウィルスの一種、ほんとにカメだったかもしれない。
(よく考えれば、人間以外の生きものだったら「○○に生まれてよかった」とは想わないか)
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「景観の多様性」
初めて聞いた言葉、言い方。
この言葉の前に「遺伝子の多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」とあった。
それら有機物と、有機物同士のつながりの中に、土、岩、水(川や海)、空気(空)
など無機物もつがって、生きものの「生」の場を提供してくれている。
有機と無機の物が渾然一体となった自然、加えていろいろな人造物。
それらがさまざまな風景、景色を成し、私たち人間を楽しませ、幸せにしてくれる
(あらためて目の前の景観を見た)
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人間の、「生物としてありえない能力」。
(「生物としてありえない能力」ということを、ここを読むまでこれほど強く感じたことなかった)
人間にそういう力を与えたのは化石燃料。
その化石燃料は、燃料、すなわちエネルギーとしてだけではなく、
自然界には存在しないプラスチック類など、便利・快適な生活を支える
人工物の原料ともなる。
そして、
「人間による自然環境への影響は、…生物進化の歴史の中では起こりえないほど」
ということも痛感した。
それにまた、
人間は「進化の歴史」の中で、「自然環境への影響」どころか、
自分自身が生物の一種にすぎないヒトであることをやめ、
「神」(「ホモデウス」)になろうとしているという。
(『サピエンス全史』で有名なユヴァル・ハラリの説がすごくよくわかる)
(グーグル画像より)
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② 「ひとかたまりの大きな集団でいるよりも、…
地方分散型の連結集団構造の方が環境変化によって
どれかひとつの集団が滅んでも、…」
(東日本大震災のとき、岩手県の三陸地方の古老からの言い伝え「いのちてんでこ」を想った)
「最悪のシナリオは『全滅』」
なれば、「人類全滅」といわれる。
しかし実際は、「全滅」という単純な結果になることはむずかしく、
人類のごくごく…一部、ほかの生物では放射能に抵抗力のある種類が生き残る。
そして、これまでの地球の歴史がそうであったように、「大絶滅」も何のその!
地球そのものが滅びない限り、生物たちは逞しく生きのびそう。
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③ 「温暖化に比べると生物多様性の対策は数段遅れている」
「温暖化対策」が、結果的には「生物多様性対策」になっているとしても、
「生物多様性対策」自体の
「人間社会や地球環境に及ぼす影響やリスクが定量的には示されていない」
たいせつなことは、「生物はどうして多様でなくてはならないか?」と
考えてみることだろう。
(著者はそう述べ、「外来生物」といわれるものが、そこの人間の価値観によって都合よく
取り扱われることの問題を詳しく述べておられた)
多様な生物のうちのどれかに、新たな薬、ワクチンの源になる成分が含まれる
ことがある。
新薬の開発はたいへんらしい。(「いたちごっこ」ではあっても)、菌やウィルスと
人間は闘う。たいへんでも、製薬会社は大儲け。
「ABSこそが生物多様性条約の本当の目的だった」
(新型コロナワクチンで、ファイザーなど製薬会社はどれだけ利益をあげたのだろうか。そんな
ゲスなこと想像していたら、「儲け?そんなの度外視ですよ。ひとえに人類のため」と返されそう)
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④ 人間を生物の一種、生きものレベルで見れば、ほんとうによくできている。
「(ウィルスたちも)生物多様性の一員として生物進化の中で
重要な役割を果たしてきた」わけだ。
「地球環境によくなければウィルスは人間を淘汰…」
もし第三次世界大戦が起きて人類の多くが死滅したら、それはウィルスによって
淘汰されたわけではないけれど、
兵器という「科学技術文明」がウィルスと同じような機能を果たしたといえる。
兵器はウィルスなのだ。
(新型コロナウィルスに人類は、科学技術文明は打ち克ったといういい方もできようが、
世界中でどれだけ多くの人々が亡くなったことだろう)