カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2025.2.11 『人口減少社会のデザイン』の最後 

『人口減少社会のデザイン』  広井良典・著というこの本は

現代の日本について、本当に(著者名ではないけど)広い視野から書かれています。

 

大切な内容が多くて私にはとても紹介しきれず、最後の今日も

いちばん胸に響いたごくごく一部だけを書きます。

 

① その誕生に見える資本主義の本質(のようなこと)

② 持続可能な福祉社会

③ 「欧米」といういい方をしない

 

    


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(歴史家ブローデルが「「資本主義」イコール「市場経済ではない」と述べていることを挙げ

市場経済「資本主義」より大きな概念だという。

確かに、近代「資本主義」社会が成立する18世紀以前からずっと市場経済は存在していた。

日本でも古代から「○○市」があった。

 

著者は、「資本主義」経済は市場経済に加え、

「限りない拡大・成長への志向」という点を併せもつことがその本質」と述べ、

1600年の東インド会社」設立契機とするヨーロッパ諸国の植民地経営が土台を築いた」と。

さらに「拡大・成長」にいちばん重要なのは人々の価値意識や行動パターンの次元の問題」といい

だから「「私利の追求」、…を”肯定的に”とらえるような思想ないし価値観が、何らかの形で

存在しなければ資本主義というものは機能しない」と述べる。

その精神、思想を表したのがマンデヴィルの『蜂の寓話という話だという。 →

欲望が少ないということは個人の徳としてはいいかもしれないが

社会全体の富にはつながらない。

国民の富や栄誉や世俗的な偉大さを高めるのには、

むしろ強欲や放蕩が社会全体にとってのプラスになる

 

(著者は「人口減少社会と「富の分配」」ということで、

人口減少社会となり、また経済が成熟して「パイ」が従来のように拡大しなくなり、

しかも高齢化の進展の中で年金や医療、介護など社会保障の費用が大きくなるとともに、

格差や貧困をめぐる課題も顕在化してくると、

まさに富の「分配」や、社会保障などの「負担」を人々の間でどう分かち合うかということが、

中心的なテーマとして浮上」するという一般的な理屈を述べ、

日本はいま生きている現役世代の「負担」にせず、の場にいない人々

すなわち将来世代に押し付けてしまうという。

 

しかし、”その場にいない人々”のことを考えるという点が、持続可能性というコンセプトの中心)

 

(著者は「「資本主義の多様性」とアメリカ・ヨーロッパ・日本」ということで、

アメリカ → 強い拡大・成長志向+小さな政府

 ヨーロッパ → →環境志向+総体的に大きな政府

 日本 →  理念の不在と”先送り”」と述べ、

現実にはアメリカとヨーロッパは「あまりに違いすぎるから

「欧米」という表現は使わないという)

 

    


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「資本主義」イコール「市場経済ではない」ということをあらためて

思った。

 

自由市場」、「自由な競争」、「市場主義」という。

(実態は自由はなく独占的なのに)

それをマネて平然と使う自分が恥ずかしくなった。

(もちろん他人に披露して得意がるのじゃなく、頭の中でのこと)

 

いちばん素朴な、それだけに本来的・本質的な自由な市場は、自然発生的な

需給に基づく交換市場。

(お金、貨幣がまだ仲立ち手段として出てこない時代の「物々交換」)

 

それが、人間だけに特有な科学的、合理的な思考の発展がいまではスマホ

生み出したように、昔に貨幣を生み出し、貨幣は「お金がすべて」になり、

無限に欲望を生む。

(歴史の授業で、「○○時代に入ると貨幣が広く流通するようになり、人々の生活はよくなり、

さまざまな文化が生まれた」と習った。

つまり、お金が手に入ると人々の欲望が高まり、生活《モノ》だけではなく文化・芸術的なものへも

向かうということ。

そこまで深く考える子どももいたのだろうが、少なくとも私はそこまで考えることができなかった

で、想った。歴史の先生だったらお金の本質みたいな話をしてみたいと)

 

       


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欲望が少ないということは個人の徳としてはいいかもしれないが

社会全体の富にはつながらない。

国民の富や栄誉や世俗的な偉大さを高めるのには、

むしろ強欲や放蕩が社会全体にとってのプラスになる」という蜂の寓話』

聞いて、もちろんトランプが頭をよぎった。

 

見方をマンデヴィルに合わせれば、この説は正しい。トランプは正しい。

でも見方を変えれば、この説は間違っている。トランプは間違っている。

(もちろんトランプだけのことじゃないけど)

 

何故か?(私でも気づく簡単なこと)

先ず「社会全体の富」というが、「社会全体の富」とは何をいうのだろう?

(たぶんGDPみたいなものをいうのだろうけど)

GDPは、その社会、国に大きな「格差」があろうがなかろうがわからない。

次に「社会全体にとってのプラス」。

何が「社会全体にとってのプラス」なのか?

 

       


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②「”その場にいない人々”のことを考えるという点が持続可能性」がすごく

新鮮に聞こえた。

 

”その場にいない人々”、すなわち「将来世代」の考える、想像することが

持続可能性の中心でなければならないこと。

格差」是正の中に、私は”その場にいない人々”」「将来世代」までは頭になかった)

 

      


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自由主義社会」という言葉、概念で括ろうとしても、自由を第一に重んじる

(食えない「自由」もある)ことでは中国、北朝鮮とは違えど(かといって中国などで

「平等」が尊重されているかといえば、まったく違う)、経済最優先それに伴ういろいろで

アメリカとヨーロッパの違いはあまりに大きい。

(私も強くそれを感じる。

社会の中身だけではなく、人の住んでいる街などの風景も違う。

ちょっと気をつけて見ていると、その違いが強く感じられる)

 

トランプが大統領に就任したからということではなく、アメリカとヨーロッパは

あまりに違いすぎるということ。

 

 

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                           ちりとてちん

よみさしの 小本ふせたる 炬燵哉  永井荷風

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