カメキチの目
身近な植物について「あれっ?」と思っても、
「知ろうと思えばいつでも知れる」「そのうち…」
で終わることが多い。
植物についてに限らず、身ぢかなことはそうなりがち。
それでも、しばらく前に読んだ新書『植物の秘密』
(田中修・著)の中の二つの話はホント、おもしろかった。
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① タンポポの茎はなぜ中が空っぽなのか?
若いころ、タンポポの茎をプープー鳴らせば
子どもたちが喜ぶので、同じ雑草のスズメノテッポウ
とともに(エンドウ豆のような鞘を、中の実《豆》を出しカラにして)
よく吹いた。
「プープー」を聞く子どもたちは、つぶらな瞳を
輝かせた。
「すごい!」と心で叫んでいるのがわかる。
そのいい顔を見たくて吹いていたので、
タンポポの茎の中がどうしてカラなのか?と
思いもしなかった。
【引用】
なぜ、タンポポの“花茎”の中は空洞なのか?
タンポポで茎のように見える柄は、花を支えている茎です。…これには葉っぱがついていません。本来、茎には葉っぱがあるものです。…花を支えている茎は、「花茎」とよばれます。
タンポポの花茎は、ストローのように空洞です。「なぜ、空洞なのか」…
タンポポでは花が咲いたあと、しおれた花をつけて花茎はいったん倒れます。それから日が経過して、しおれた花が乾燥してくると、花茎が立ち上がり背丈を高く伸ばして、その先端に球状の綿毛が展開します。広がった綿毛をつけた花茎は、花を咲かせている花茎よりもひときわ背丈が高くなります。
そのとき、まわりの空気は乾燥していなければなりません。綿毛が球状に広がるためには、乾燥していることが条件だからです。…
ふつう、地面には湿り気があるので、しおれた花が乾燥した状態になったら、花茎は、土壌の湿り気を逃れるように、敏速に高く伸びます。このとき、「大気が乾燥している」というチャンスをとらえて、綿毛も乾燥して開きはじめます。…
(できるだけタネを遠くへ飛ばすため、花茎が)速く高く伸びるためには、栄養分を使って中身の詰まった茎をつくっていては、時間がかかりすぎます。一方、花茎が空洞だと、伸びるために栄養分をあまり必要としません。そのため、敏速に高く伸長することができます。
しかも、綿毛が風に乗って飛んで行ってしまったあとは、花茎には、何の役割もありません。…
タンポポの花が咲いたあと、花はしおれ、
何日かすると、しおれた花が乾いて立ちあがり、
綿毛をつけるという。
知らなかった。
自然番組のテレビ動画で、映像の早送りをみることが
あるけれど、自然は「早送り」はできない。早送りすれば、植物も動いているようにみえるのだろう。
タンポポのしおれた花が乾いて立ちあがり綿毛をつける
姿を見たい。
「タンポポでは花が咲いたあと、しおれた花をつけて花茎はいったん倒れます。それから日が経過して、しおれた花が乾燥してくると、花茎が立ち上がり背丈を高く伸ばして、その先端に球状の綿毛が展開します」
そして、
タネを遠くへ飛ばすために、
「(できるだけタネを遠くへ飛ばすため、花茎が)速く高く伸びるためには、…花茎が空洞だと、…」
そういう花茎の本来の役割、働きを果たしたあとには
潔く朽ちる、死んでゆく。
(この部分を読んで、「あっぱれ、タンポポ!」と、タンポポを撫でたくなりました)
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② 白い菊はなんで「白い」のか?
赤は赤、黄色は黄色…と思っているので、その流れで
白は白、あたり前。「白い菊」の白色を疑ってみたことはなかった。
だから、ここを読んで「なるほどなぁ」と深く思い、
繰り返しうなずいた。
【引用】
白色のキクの花の色素は?
キクの花の色は、多くの場合、黄色です。この黄色はカロテノイドという色素によるものです。…
白い色の花を咲かせるキクは、「カロテノイドをつくる遺伝子をもっていない」、あるいは、「…カロテノイドをつくる遺伝子がはたらいていない」という可能性が考えられます。ところが、研究によって、それらの可能性は否定されました。…
白い花にもカロテノイドをつくる遺伝子が存在し、…はたらいていることがわかったのです。…
黄色い色素であるはカロテノイドをつくる遺伝子がはたらくと同時に、この黄色い色素を分解する遺伝子もはたらいていることがわかりました。…
白色の花びらには、どんな色素が含まれているか…フラボンやフラボノールという色素で、これらは無色透明かうすいクリーム色に見える…
(なのに、どうして白く見えるのか?)花びらの中に、空気の小さな泡が多く含まれることです。空気の小さな泡が多くあると、光が当たったときに、その光が泡に反射して、白く見えるのです。…
(白く見えるものとしてほかにこういうものがあると例があげられる)滝、波打ちぎわに寄せる海水、ビールの泡…
波の白いこと、滝の白いこと、ビールの泡だちが白く
見える現象までもが、白菊の「白」の原理と同じとは…
ただただ、ビックリ!
(「写真は光の芸術」といわれますが、写真撮影が好きな私は、半分ジョーダンで「きょうは芸術性をねらう」と言うことあるけれど、まんざら冗談でもない。光の当たりぐあいでその写真の印象が大きく変わるのです。
それにしても、科学・技術はすごい。科学は「白菊のなぜ白いか?」を明かしてくれるし、パソコンの技術は、絵を描いたとき、微妙な色あいを表現してくれる)