カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

本を読んで

2024.9.6 「愛する」ことと「傷つけないこと」 「思い上がりを叱る」という仕掛け

今日は残りの二つの話です。 「〈「愛する」ことと「傷つけないこと」〉 「どうやって子どもを愛そうか」を工夫するより、「どうやって子どもを傷つけないようにするか」を 工夫するほうが大切 … 私は子どもに対して「敬意を持つ」ことに決めた。 この子の中…

2024.9.3 人生は「問題解決のため」にあるわけではない

今日は一つ〈人生は「問題解決のため」にあるわけではない〉です。 ③ 〈人生は「問題解決のため」にあるわけではない〉 「解決できない問題を抱え込んでいても、人は生きていける。 生きていけるどころか、その問題を足場にして人間的成熟を遂げることができ…

2024.8.30「貧乏」と「貧乏くささ」

『だからあれほど言ったのに』 内田 樹・著 という本を読んだ。 (グーグル画像より) ものごとの肝心かなめを見極めようとされる内田樹さん。 著者の視点を強く感じ、考えさせることが多かった。 (本にはいろいろな話があったが、強く印象に残った五つだけ…

2024.8.16 『生きなおすのにもってこいの日』(後)

今日は残り二つの話です。 (ちょっとおどろおどろしい感じ) 「〈死体をバラす理由〉 現代人は精神的ストレスが過剰に大きい…石器時代の人々と…質は違うがどちらもストレスであり、… ストレスによって肉体、あるいは精神に起こる変化は共通している。 … 獣…

2024.8.13 『生きなおすのにもってこいの日』(中)

今日も二つの話です。 「〈同じ穴のムジナ〉 支援を目的にした支援は、ほんとうに被支援者を食い物にしていく。 そういう構造が出来てしまうのであって、誰が悪いということではない。 すべての人間が善意であっても構造が悪を生みだす。 … 就労を支援するこ…

2024.8.9 『生きなおすのにもってこいの日』(前)

お名前だけは聞いたことのある田口ランディさんの本を読んでみた。 『生きなおすのにもってこいの日』 という。 私は「生きなおす」にはあまりに歳をとり過ぎているので、自分のことを思うと 「死ぬのにもってこい」のほうがいい。 書かれていることは(死が…

2024.8.6 なにも願わない手を合わせる

『なにも願わない手を合わせる』 藤原新也・著 を読んだ。 藤原新也さんは人々が暮らし、生活する場所なら何でも題材にされる写真家。 何かを自分の心が感じれば、シャッターを押す。 本は、著者が家族(とくにお兄さん)の死を弔って四国八十八寺巡礼の旅を…

2024.8.2 南木佳士(後)

前回の最後で書いた「人権」思想。 「人間は全能だから、人間が人間を自己統治することもできるという考え方も 含まれています」ということ。 唸るだけではなく、後から何度もため息をついた。 ーーーーー 検査と治療の「アンバランス」を、「星のアレンジを…

2024.7.30 南木佳士(前)

佐野洋子さんの生まれ育った家と真反対で、わが家には本はなかった。 (学校の図書室にはあったはずだが、遊びしか頭になく目に入らなかった。 読み物といえば教科書とたまに買ってもらった少年雑誌) 長じて、社会の不合理、矛盾が目についてならず、そうい…

2024.7.23 階級というものは… 年寄りは…

佐野洋子さんの『問題があります』の続き(終り)です。 ーーーーーーーーーー 「(中学生のとき佐野さんが『アンナ・カレーニナ』を読んでいて思ったこと) 階級というものは、国籍の違いよりももっと大きい。 「年寄りは年寄りでいい」 (「アンチエイジン…

2024.7.16 あれは見るもの

『問題があります』 佐野洋子・著 を読んだ。 あれとは月。 佐野洋子さんといえば(私は読んだことないが題名は聞いたことがある)有名な絵本 『100万回生きたねこ』の作者だ。 エッセイをたくさん書かれている。たまたま『問題があります』に出あった。 そ…

2024.7.12「差別」を考える(後)

今日は終わりの方(後)です。 ④ 「〈人間に序列はつけられるのだろうか〉 「特別な」人間なんているのだろうか 「穢れている」人間っているのだろうか (「血」に対する「穢れ」意識は、農耕が生業の中心の日本文化だけの固有の因習、 伝統的な意識のあらわ…

2024.7.9 「差別」を考える(前)

ほとんどの人は、「差別していない」思っている。 しかし、差別的な行為そのものはしていなくても、 差別的なまなざし、心で他人の仕草を見ていることがある。 (私はある。そういう自分はイヤなので、これは「差別」ではなく「区別」と弁解するけど、 実の…

2024.7.5 『断片的なものの社会学』③

今日は最後。 再度、初めに引用した、本の最初の言葉を書いておきます。 「人生は、断片的なものが集まってできている 私の手のひらに乗っていたあの小石は、それぞれかけがえのない、 世界にひとつしかないものだった。 そして世界にひとつしかないものが、…

2024.7.2 『断片的なものの社会学』②

今日は①で述べた、 「辛いときの反社的な笑いも、当事者によってネタにされた自虐的な笑いも、 どちらも私は、人間の自由というもの、そのものだと思う。 人間の自由は、無限の可能性や、かけげのない自己実現などといったお題目とは 関係がない。…勇ましい…

2024.6.28 『断片的なものの社会学』①

(先の記事にも書いた)「人間の無限の可能性」ということ。 漠然としているが、人生への勇気を与える言葉であることはあっちこっちで聞くし 間違いない(と思う)。 (しかし、この言葉に勇気をもらったということは《そもそも自分の可能性を確かめる試み、…

2024.6.25 『AI倫理-人工知能は「責任」をとれるのか』④

今日は最後、「第三章 情報圏とAI」と「第四章 AI倫理のラフスケッチ」です。 (大切と思われることがたくさんあったのですが、深く感じたことだけ羅列します。 あとで、自分の感想を書くつもりなので便宜的に番号をふりました) 「第三章 情報圏とAI ① 擬似…

2024.6.21 『AI倫理-人工知能は「責任」をとれるのか』③

著者は「AI倫理」とは書いても「AI道徳」とは書かれていません。 (「倫理」と「道徳」の違いをネットで調べたら 倫理が「人間として社会的に守るべき規範」であるのに対し、 道徳は「社会または個人の正義に基づく行為範囲」と認識されていますとありました。 …

2024.6.18 『AI倫理-人工知能は「責任」をとれるのか』②

今日から本題。 (引用は「まえがき」からです) ーーーーーーーーーー 「〈周囲環境の安定が前提 予測不能 事故が起きたときの「責任」の問題〉 (何よりいちばんに)倫理的かつ法的な問題を解決しなくてなならない。 (しかるに現状は)とかく経済効果やビ…

2024.6.14 『AI倫理-人工知能は「責任」をとれるのか』①

これからの世界、未来のことは、もはや「AI」抜きには(「先進文明社会」では) 考えられない。 科学・技術文明はただただ前に進むほかない。後戻りできない。 そういう在り方は、「人類の(非科学的な表現だけど)宿命」みたいなもの。 科学・技術はあらゆ…

2024.5.31 『痴呆を生きるということ』(後)

今日で終わりです。 (⑯から⑱まで) ーーーーーーーーーー 「⑯〈痴呆を抱えて暮らす困難〉 「わたし」が壊れる →単にこれまでできていたことができなくなったと感じるだけではなく、 「わたし」が壊れていく、と感じられる →(「わたし」が指揮者なのに「奏…

2024.5.28 『痴呆を生きるということ』(中)

(前回は⑫〈徘徊の出現〉まで。 今日はその続き ⑬から) ーーーーーーーーーー ⑬〈時を駆けることができない〉 彼ら(認知症者、痴呆者)は「今・ここ」で暮らしていることを何となく居住まいが悪いと感じ… かつてこころ安らかに過ごし、プライドをもって生…

2024.5.24 『痴呆を生きるということ』(前)

認知症。 私が若いときはいまほどいわれていなかった。 (昔は長生きする人が多くはなかった。 その昔は「痴呆」と呼ばれていた。そっちの方が私には馴染みぶかくピッタリくる。 どう呼ぼうと、頭、脳が「痴呆」状態になったから、結果として「認識」「認知…

2024.5.21 『人類学者…が森に入って考えたこと』⑤

今日で終わりです。 「〈「贈与」ということ〉 ムラブリ…の間では「ある(持っている)人」がない(持っていない)にあげることは普通のこと 見返りを求めない… (たとえば「お米」の話)→ お米が太陽からの贈り物であるという視座、太陽の視座とでも言いま…

2024.5.17 『人類学者…が森に入って考えたこと』④

人間、自分、生きるということ、世の中のことについて、子どもから大人へ 成長するなかで、誰でもそれなりに思い、考える。 そういうときだけ「哲学者」になる。 私もそうだったけど、それは自分の知っている世界の中だけの「井の中の蛙」 だったことを、仕…

2024.5.14 『人類学者…が森に入って考えたこと』③

前回は本の順番に沿って「パースペクティヴィズム」ということについて書いた けれど、ページの離れたところでまた言及されていた。 (とても大切なことがいわれていると感じ付箋でチェックしていたが、すっかり忘れていた。 あらためて何度か読み返し、また…

2024.5.10 『人類学者…が森に入って考えたこと』②

本は次に「パースペクティヴィズム」ということについて述べられる。 ここもとても考えさせられた。 (あるネットで検索するとこの言葉の出どころはニーチェとのこと。 「ニーチェのパースペクティヴィズムとは、見られるものからの視点や視座から、 見 てい…

2024.5.7 『人類学者…が森に入って考えたこと』①

8回にわたって「ブルトシップ・ジョブ」の本を紹介し、思ったことを述べてきた けれど、少しほど前に 『人類学者と言語学者が森に入って考えたこと』 奥野克己 伊藤雄馬 ・著 というのを読んでいた。 奥野さん(人類学)伊東さん(言語学)というお二人が、…

2024.5.3 ブルトシップ・ジョブ⑧

今日は最終の第8講 ブルトシップ・ジョブとベーシック・インカム です。 ーーーーーーーーーー 第8講 ブルトシップ・ジョブとベーシック・インカム 〈エッセンシャル・ワークとジェンダー〉 労働が主要にモノの生産にかかわるものとみなされ、女性はその生産…

2024.4.30 ブルトシップ・ジョブ⑦

今日は第6講と第7講。 (最終第8講は次。 今日も述べられていることのうち、とても強く刺激されたことだけに触れます) ーーーーーーーー 「第6講 ブルトシップ・ジョブが増殖する構造 (「マネー資本主義」といわれているように現代の資本主義は) 金融…

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