今日は
第1講「ブルトシップ・ジョブの宇宙」
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この本の元は、世界的に注目され広く読まれたデヴィッド・グレーバーの
『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』という。
訳者でもある酒井さんは「すばらしい!」と感激したが、
原著はちょっと分かりにくいにくい。
そこで、新たに日本の一般の人たち向けに、より読みやすく書かれたのが本著
『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』
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第1講「ブルトシップ・ジョブの宇宙」では、「世界中から集まったBSJ
(ブルトシップ・ジョブ)の「証言」ということで、取りあえず五つに分けて
BSJが紹介される。
(あくまでも「取りあえず」。現実にはまだまだいっぱい存在する)
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「① 取り巻き(フランキー)
(あまり必要性のない《飾りというわけでもないが、箔をつけるためというか、あってもなくても
いいような》仕事)
…
② 脅し屋
(やくざ、ならず者、ごろつき 軍隊の人員、企業弁護士、ロビイスト、広報専門家など)
(CMも「脅し屋」の一種)「商品を売るためには、なによりもまず、人をあざむき、その商品を
必要としていると錯覚させなければならない」(欲望をかきたてねばならず、「脅し」といえる)
…
③ 尻ぬぐい
失敗が予見できる計画を、専門家をふくむさまざまな批判にもかかわらず、無視して突っ走って、
しわよせが現場の下請けに押しつけられるなどということ
(役所仕事が典型的。「面子」とか「権威」「威信」が最優先される)
…
④ 書類穴埋め人
書類のチェック欄にレ点を入れる(などして「官僚主義的手続き」「お役所仕事」
すなわち「改善」のフリ、見栄 文書の体裁をいい感じにする)
…
⑤ タスクマスター
(「不要な上司」また「不要な仕事をつくりだす上司」)
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第1講は「ブルトシップ・ジョブの宇宙」。
宇宙に漂っているような感覚で「ブルトシップ・ジョブ」をつかもうとしている
から、正確さにはこだわってはいない。
あくまでも人が生きていく上でなくてもいいと思われる仕事、働き、
あってもいいけれどなくてもすむようなものを挙げている。
(その感じ方、思いは人によっていろいろであり、上の具体例はあくまでも「世界中から集まったBSJ
の『証言』」をグレーバーが分類してみたに過ぎない)
前の記事で私は個人的な体験に少し触れたけれど、自分の職業、仕事の全体は
ブルトシップとはいえなくとも、部分的にはブルトシップ的な仕事があったと思う
(施設改築のための補助金をもらうため、権限をもっている役人たちの「ご機嫌取り」「根回し」
以外に、補助金獲得のための申請書類作成があった。
いくども申請書を書き直し、「④書類穴埋め人」にあるような「文書の体裁をいい感じに」した)
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ここでは上記引用の他に「(BSJをつくりだすのは)資本主義それ自体ではありません」
と述べられていた。
「それ自体では」ないけれども、資本主義は「お金がすべて」「マネーが中心」。
で、ブルトシップ・ジョブは欠かせないという幻想を私たちに与え、蔓延る。
(ああー、そうかと思った)
みどりごの てのひらさくら じめりかな 野中亮介