カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2017.1.27  寿命…④好き好き至上主義

                                                  カメキチの目

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 本川さんは、現代人は「好き好き至上主義」(ご本人が名づけた)におちいっていると、その弊害をいろいろ述べられている。これもすごく考えさせられた。                       

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「好き」とか「嫌い」というのは 個性の表現として、「個人の尊厳」という近代の理念としてもたいせつなモノゴトである。

たとえば食い物。食べ物の豊富な現代日本。だれでも好物を食べたい。私の好きなモノ。「グルメ」とはいわずとも、美味といわれるもの(「話」のタネにもなるし)死ぬまでには食べてみたい。

たとえば結婚相手。できれば受け身的な見合でなく主体的・積極的な(ようするに、個性的な)恋愛で胸がときめく異性を見つけ、結ばれたい。

 

でも、国(「会社」だっていいです)に「命をかけてくれ!」「捨ててくれ!」と言われたぶんには「個人の尊厳」を持ちだそう。

「わたしゃ妻子(縁があって結ばれた夫婦に、きっかけとなった「見合い」も「恋愛」も関係ない)、親がいちばんだいじだ。名誉なんていらねー」

SMAPの歌「世界にたった一つの花」。「NO1」でなくとも「ONLY1」というのは「負け犬」みたいな感じがあるけど、それも(正真正銘の負け犬の)私は大好き。もちろん勝つほうがいいけれど負けるのも悪くない(「負けるが勝ち」ともいいます)。

 

 しかし、何でもそうであるように、ほどほどでなくてはならない。適当、バランスがだいじなのだ。

 どこまでもこだわってはいけない。執着してはならないのだ。

 食べたいもんでも、好きな人でも、諦めねばならぬときがある

じつは、その見極めがむずかしいのではありますが…。高価すぎるとか、片思いとか。「初志貫徹」はどうか?と思う。

 

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 話を戻して「生物多様性」。

 現代人も生物多様性を口にはするけれど(私も)、それは自分の好きなモノだけ、つごうのよいコトだけの中で選択しているに過ぎない。と、著者は言う。

「選択肢の多様性」に価値をおいているだけで、真の「生物多様性」ということではない。と、著者は言う。

「選択肢の多様性」ということは、要するに「好きずき」の枠内でのこと。

 

 人生で、何度でもなんどでも自覚しなければならないことに一つに、「生き方や世の中は、けっして自分の望むようにはならない」ということがある。

年寄りの域に達した私は、それを痛感します。

「諦めがだいじ」「努力が無意味」ということではけっしてありません。

 諦めず、目いっぱいの努力をしてもかなえられないことがある。

(さっき述べたように「初志貫徹」を疑ったり、初めから努力を厭い、「棚からボタ餅」を期待する生き方をしてきた私が言うことではないことではないですが)

 

「好きだろうと嫌いだろうと、老いや死は免れない」。

 

 続けて著者は、こんな意味のことを述べる。

 生物は気の遠くなる時間をかけて、個体としての「私」「自分」はあるていどのところで諦めて死ぬことにし(限られた生)

私・自分とは違うもの(つまり、異性)と生殖活動をして、私・自分とはちょっと違う子どもというものをつくって生き延びようとする。

 

 ところで、

 伴侶、パートナーがいくら大恋愛のすえに結ばれたという相手でも、恋愛中はだれしも目が曇っているから相手の嫌なところは見えない。いや、見ない。見ようとはしない。

しかし、結果的にはそれがいい、と著者は言う。

だって、相手の嫌な面がわかっていたら、結婚にいたらず、その恋愛は破たんしたに違いありません。

 結婚は生活。生活は恋愛ではない。

 生活を長く重ねていくなかで、ともに歩んでいこうと決めた相手の嫌いなところが目についてくる。ときにはガマンならないことも起きる。辛いこと、困難も起きる。

私のように障害を負うこともあります。これはまったくの「想定外」でした。

 その「嫌い」「困難」を自分に取りこみ、折りあいをつけ、「妥協」する…。

 

 それが私、自分という人間を太く育てる、成長させる。

 嫌い、辛いが私を成長させる。「抵抗」があっての人生こそ。

 

 本川さんは言う。

「好き好き至上主義は私を薄っぺらにする」

 

 

                  ちりとてちん

 

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