カメキチの目
寝る前に晩酌をしている。
それはいいが、嚥下障害もあるので、よくむせる。
むせてもやめるつもりはない。
ともかく、ゴクンゴクンは禁物。チビチビでいく。
(さかづき一杯なので、そうしないとすぐになくなります)
ゆっくり、酒を堪能し、人生を想ってのむ。ちょっとだけ中国唐代の大詩人李白や杜甫になった気分だ。
晩酌をいつから始めたかといえば退院後で、最初は『養命酒』だった。
あの薬用酒である。
「ひよっとして…」
淡い期待くらいはもたなかったと言えばウソになる。
「病気もち」「障害もち」は、治癒のためにはなんでもする。
完治はムリでもマシになる可能性を信じ、私はのみ続けた。もっと続けていたらひょっとして…
しかし…
退院してからの療養生活にはテレビが加わった。
ある日、平日に再放送されるドラマに魅了された。
それは、『はぐれ刑事純情派』という。
そこでは…
事件の解決に手間どったり、解決して気分よくなったとき。主人公の安浦刑事は「さくら」という飲み屋(いやバーというのでしょうか?)で好きなママさんとの会話をさかなにちょいと一杯。それは番組の定番シーンだった。また(ときにはグチながらですが)ホントにうまそうにのむのであった。
私は思った。「これはいい」
『養命酒』は高かった。
高いのに、効果はわからない。ハズレのないクジではない。
わからないことに、カネを費やすのは資産家でないウチに似あわない。
漢方たっぷりから、ただの酒にかえた。
でも、全国各地の酒類を堪能できて楽しい。