カメキチの目
先月の末、また旅に出た。
大きいのは(国内です)1年に2回だけ。2回のあい間に適当に小さいのをする。
退職しても、隠居の身分でも、人に頼られあてにされている方は忙しくたいへんだろうけれど、私はそういうこともなく、そのうえ平衡障害、付随して視界が揺れるほかいろいろな不快症状があるので、(ということを言いわけにして)まったく行動的でない。
活動的ではないが、ヒマでも退屈でもない。
かといって、「障害にもめげず…」ではちっともないです。障害を克服しようという意志はなく、甘んじている。が、歩けなくなっては困るのでそれなりに(気分におうじてコロコロ変わるけど)運動は少しばかりしています。
終日、家にてパソコンとにらめっこというのが圧倒的に多い日々(パソコンといいましたが、正確には「はてなブログ」)を過ごしている。
しかし、ずっと腰かけているのは身体によくないので、春とか秋は散歩する。
旅というのは「規模の大きな散歩」だ。
長野県北部、新潟県と境の「黒姫」。
山や高原がすばらしい。温泉もいい。
けれど、こんどは「ナウマンゾウ」。ナウマンと名づけられた象の一種。牙が大きく、どちらかというと現在のインド象やアフリカ象よりマンモスに似ている。
2万年前には絶滅した象なのだ。
1948年に初めて「野尻湖」で発見され、1962年からずっと、50年以上も発掘されてきた。
湖のそばに「ナウマンゾウ博物館」というのが建っている。
ナウマンゾウについてはウィキペディアとかを見てください。博物館には、本物ではありませんが実物大のナウマンゾウがおり、圧倒されます。奥歯は本物がありさわれます。「湯たんぽ」のようなそれに私もさわり、ゾクッっとした。
野尻湖のナウマンゾウ発掘の話は若いときから聞いていた。それなりにスゴイなとは思っていたが、行ってみたいとまで強くは思わなかった。
それが、これほど見たいと思うようになったのは何故だろう?
11年前に死にかけたこと、助かったが障害者になったこと。それに、「人間」とか「人生」について、それまでも人なみには考えてきたけれど、仕事があまりできない身体になり、仕事ができないぶん自由な時間は増え、まして退職、隠居してからは大幅に増えて読書もそれなりにできて思い考えたので、多少は深まったと自己満足した。
その結論(まだ出てはいません。現在のところ)は、だいぶん「人間」とか「人類」に絶望的なものである。
遠いとおい未来。「ニンゲン博物館」というのが建つかもしれない。
ところで、「どこに?ある。だれが?みる」
宿は黒姫山の裾野、黒姫高原にあった。JA、つまり農協がやっている。JAホテル宿泊は初めての体験。ちょっとは注文もあったけど、おおむねよかった。
湯はとてもよかった。冷泉のわかし湯だけど、硫黄くさいとかツルツルとかの感じもないけれど、天然の香たっぷり。贅沢いえば私はのぼせやすいので、外気にあたれる露天風呂がほしかった。
ところで、
朝はやく湯に入ろうと起きたら、ななんと、携帯電話のベルが鳴るではないか。「地震か?」
ここら辺はよく地震があるのでその予告と思ったら、
ななんと
れいのJアラートなるものの「ミサイル発射」知らせ(「予告」か「結果」か、どっちだったのだろ?まあどっちでもよい)だった。まだ睡眠の最中だったら…と想うと途端に腹がたってきた(ホントにミサイルが飛んできたら「睡眠」どころではないけれど。しかし「ミサイルが飛んでくる」ということは戦争です。かつて日本が真珠湾でしかけた「奇襲」と同じか)。
金正恩とその一味というほんの一握りの「挑発」。対するトランプの「反応」もきわめて子どもっぽく(それでもこちらはティラーソン国務長官ら彼をなだめる大人たちがいるから開戦は防げていますが)、火星人とかETがいたら地球は笑いものになっているにちがいない。金たちは、どれほど「人間」という地球生物種を貶めていることだろう。
私は「人間」「人類」という抽象的なものが存在するのではないと思う。
ごくごく一握りであっても、彼らも確かな「人間」であり、「人類」なのだ。
ところで日本。
「アメリカは日本を守ってくれる」という人がいる。
が、私はそうは思わない。
「いざ(「いざ」が起きないよう最大限の努力が行わなければならないのは国家のいちばんの義務)となれば誰だってわが身がかわいい」
アメリカは、日本を捨て石にするとまでは言わないでも、いざとなればそうすると思う。そうするのが「国家」というものにちがいない。政治とは冷徹なものにちがいない。
「同盟国だから…」とアメリカに対してお人好しであって、「信頼」していいのでしょうか(私は、「国家」「政治」というものは冷たいと思うので疑ってかかります。「お人好し」、「ノー天気」ではありません。「個人」との関係ではまったく別であっても)。
アメリカ軍は東日本大震災のとき、原発事故が起きたら放射能が危ない、日本からなるべく離れようとした。本国という離れる、逃げる場所があったから。危なくないとわかると「トモダチ作戦」と称して津波や地震の被災者救助にあたった。おおかたのアメリカ兵はフレンドリーな好い人だろうが、そのことと組織としての軍の一員であることは本質的にちがう問題だと思う。
(私の話は、詳細な資料を調べ研究したうえで述べる専門家の議論のような慎重で正確なものではありません。極端な話ではあると自分でも思っています)
そもそも独裁者は言っている。「われわれの敵はアメリカだ。なのに、日本はアメリカとくっついている。アメリカといっしょになって北朝鮮を敵視している」
日米軍事同盟の廃止の声がなぜ強く起きあがらないのだろうか。なぜ、マスコミは素朴な私のような疑問にこたえてくれないのだろか。
「日米安全保障条約」は、「日本国憲法」を超えたようだ。「憲法改正」はやかましいのに、「日米安保廃棄」はシ~ン…
それに、北方領土の返還だって、ほんとうに政府にやる気があるのだったら、日米軍事同盟がある限り、ロシアは、プーチンは返還しないと思います。
ポーズだけとって国民の切なる願いをごまかす(もちろん、意図的に国民を欺いているとは思いません。しかし、日本をとりまく東アジア、アメリカ、ロシアの関係をみれば私のような政治のシロウトだってわかります)日本政府の姿は、拉致被害者家族と拉致という人道上ゆるされないことをした北朝鮮政府への態度、沖縄のたび重なる米軍基地があるゆえの被害に対するアメリカへの態度とまったくいっしょ。
北朝鮮のことでは、このままでは、日本国民の悲願、拉致被害者の救出は夢物語に終わってしまう。
私は政治で死ぬのはイヤだ。
このままでは、あのとき死んでおけばよかった…と思いそう…
この前うまれ変わりができれば「虫」と書いたが、ナウマンゾウもいい。
いや、ナウマンゾウは死に絶えたからムリか…