本には考えるところが多くあったのですが、絞りました。
絞っても八つあり、きょうは四つです。
【引用】
「人間は一人でも生きてゆける」という思想を流行らせている。
この大災害は、それが本当ではないことを確証した」
…
②「あらゆる存在者を存在させている根拠は「愛」である、というのは信仰である。
哲学的には無根拠、深遠、無、空としか言えない。
その無根拠を、信仰者は認識するのではなくて、愛として体験する…」
…
③「見知らぬ人でありながら、偶然、苦しむ他者に出遭う時、
われわれの心の底から吹き上がる「共苦、同情」の息吹は、
時間を超えた存在の彼方での関りを暗示している」
…
④「強者による弱者への保全を、慈善行為と考えてはならない。
なぜなら、能力は各人に偶然与えられたものだからである。…
能力を私する理由はないのである。
能力は個人のものではなく、社会の共有財産であると考えられるべき」
…
(注:「」、太字太字はこちらでしました。なお次回最後の⑤~⑧も同じ)
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①
「人間は一人でも生きてゆける」ことはぜったいできないことを、
東日本大震災は平手を頬に浴びせるようにわからせてくれた。
科学技術の進歩は、「一人でも生きてゆける」幻想、錯覚を与え、酔わす。
麻薬のような効果があるかもしれない。
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②
「愛」は、生まれたときは母性愛という母の愛に始まり、
性愛とか同胞愛とか人類愛などを経て、
(現代は「孤独死」もあるけれど)死ぬときも人の愛に包まれる。
しかし、愛というのは心のことだから信じなければならない。
「信心」とか「信仰」(呼びかたの言葉はどうでもいいけれども)によって成りたつ。
(哲学ではなくて宗教の問題なのだ。哲学では「愛」の「存在根拠」は無いのであり、空であり、
深遠であるとしかいえないらしい)
↓
「愛」の「無根拠」を、「信仰者は認識するのではなくて、愛として体験する」
のであった。
岩田さんは、哲学者である前にひとりの人間、一キリスト教信者としての
自分の「愛」を、東日本大震災の名状しがたい惨劇に遭遇するという経験をとおし
感じ、体験された。
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③
私は身体に障害があり、その障害は他人にはわかりにくいので(杖はついていても
老人なので「転ばぬ先の杖」と想われている、と思う)ヘルプマークをつけているが、
気づいた人に親切を受けることがある。だから、
「見知らぬ人でありながら、偶然、苦しむ他者に出遭う時、…
「共苦、同情」の息吹は、時間を超えた存在の彼方での関りを…」ということが
「共苦、同情」を受ける側として、とても強く実感できる。
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④
ボランティアの神髄というか、根本的なあり方について深く考えさせられた。
(ロールズは現代の哲学者のひとり。著者はその人の思想も研究対象のようです)
「能力を私する理由はない」。
「悪賢い」「悪知恵がはたらく」という言葉を想った。
それから、ほどなく大嫌いな人物、H・竹、S・安、T・麻の三人がうかんだ。
(吐きそうになった)