カメキチの目
まずはこれを見てください。
地底からグツグツ…
聞いてはいたが、まさに「地獄」。
落ちたことはまだないのでわからないが、こんなものなのか。
ずっと前から、平成新山をみたかった。
こんど、雲仙側からと島原側の両方向からみられ、長年の願いが実現した。
「みた」からどうこうなったというものでもない。
が、みることがなかったら、必ず後悔したにちがいない。
行けて、みれて、よかった。ほんとうによかった。
暦が平成(1989)になった年、普賢岳が噴火し、平成新山はつくられた。
(雲仙は、狭義には普賢岳・妙見岳・国見岳の三つの峰をさすとのこと)
2年後の平成3年(1991)6月3日。大規模な火砕流が起き、多くの人が被害に遭われた。
そのときのテレビ映像をみた。衝撃だった。映像は忘れられなくなった。火が固形化し流れる姿はまるで大蛇(オロチ)。それを「火砕流」と呼ぶことをはじめて知った。
被害は主に島原側に発生した。島原から見上げる平成新山は、できたてホカホカの山という感じがした。
(その前にみえる立派な山体は「眉山(まゆやま)」という。地元の人々にとっては平成新山以上の存在である。それは江戸時代に大崩落を起こした)
樹木におおわれたふつうの山の風情はいっさいない。
現在は木々がまったくなくても、未来は緑がいっぱいになってくれるのだろうか。
旅の終わり。
島原鉄道のディーゼルカーに揺られながら、周りの山々・大地・海…みんな、いまの姿になる前が存在したのだ。混沌とした長い長い時代に想いをはせた。
自分というものの存在が、限りなく頼りないものに思えてきた。
そういえば、普賢岳の最高地点展望所からはるか眼下にあの有明海(諫早湾)の長大な堤防が見わたせた。
107 キャンディボックス
面倒くさがりやの私は、飴などあってもわざわざ器に入れようとはしませんが、きれいな入れものは、それを通すだけでひと味増しそうです。