カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2011.10.22 『大地の五億年…』②

          カメキチの目

 

 

水耕栽培」で育てた野菜を知ったのはいつごろから

だったのだろうか?

 

(水だけで育てる植物といえば、《「水耕」とは言わなかったけれど》子どもの

ときのヒヤシンスしか知らない)

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水耕栽培」をはじめて聞いたとき、驚いた。

野菜が育つのに、土がなくてもいいという。

光合成」のための太陽光は欠かせないが

土はなくてもいいという。

 まるで魔法、マジシャンの技を想わせる。 

 

 水耕栽培は、土と格闘しなくてすむ。

 従って、汚れないしラク姿勢で化学実験している

かのような軽い(それまでのふつうの農業は肉体仕事なので)感覚の

労働ですむ。

 

 しかし、必要な栄養素を肥料として含んだ水を

効率よく吸収するだけで、魔法のようにいくのかな?

(と、ねじれた根性の私は疑った)

 

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土壌という植物工場]という項目を読み、水耕と

土で育てるという従来の農業との違いがよくわかった

 水耕栽培が可能な農作物もあれば、穀物のような

主食となる農作物は適さない(というより「不可能」)

ということが。

 

【引用】 

土壌という植物工場

(土を必要としない)植物工場に対して土に根差した農業の魅力とは何だろうか?

この違いは、エコノミー(経済学)とエコロジー(生態学)から説明できる。

農業とは、最小限の資源投資によって最大限の収穫を持続的に得るヒトの営み…

 

植物工場で植物に光を照らすにはエネルギーコストが必要となるが、露地栽培の

太陽光にはお金がかからない。植物工場の水耕栽培に必要となる肥料成分の購入

にはお金がかかるが、土壌の微生物による養分リサイクルの仕組みには、お金が

かからない。このおかげで、私たち消費者は安いコメにありつける。

 

植物工場はボランティアではない。経済的コストに見合わなければ稼働しない。

経営規模にもよるが大きな植物工場をつくるための初期投資には数億円かかるし、

エネルギーや肥料のためのランニングコストも高い。植物工場でつくることが

できるのは、蔬菜類、花など単価の高い品目に限られるだろう。しかも、

露地栽培の旬の季節を外す必要がある。「世界の穀倉」黒土地帯や、

アジアの穀倉」水田地帯が果たす小麦やコメ生産の役割を植物工場に求める

場合、工場やエネルギーがいくらあっても足りない。仮につくったとしても、

ずいぶん高価なパンやコメになるだろう。… 

 

森林土壌の酸性化には、樹木が栄養分を必要なだけ獲得する仕掛けがあるし、

ヒトが発達させてきたフン尿のリサイクル、焼畑農業、水田耕作には、自然資源

(森林や灌漑水)を有効利用しながら酸性土壌を克服する知恵がある。

 

エネルギーと窒素肥料をダブつかせた結果、温暖化や土壌劣化を騒ぎはじめた

私たち現代人の生活にないものだ。便利さと環境問題を同時にもたらす、

諸刃の剣ともいえるエネルギーと窒素肥料の効率的な利用を目指すなら、タダの

太陽エネルギーと土の微生物の働きを最大限に活かせる、土壌という「植物工場

の価値を再評価してもいいはずだ。

 

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 この引用文は、本のいちばん最後の部分であり、

著者がもっとも主張したかったことがわかりやすく

述べられている。

 

 はじめのところは、地球がはじまって46億年、

5億年前に初めて植物(当初はシダ類。これが石炭になる。だから

このごろの地質を「石炭紀」というのだそうだ)が生まれ、「鶏と卵」

(土が先か植物が先か)の話ではないけれど、地球の表面を

覆っていた岩石が植物によって壊され、そこに

もともとの岩石が持っていたさまざまな無機質成分に

あとからのいろいろな生きものの有機物成分が混入、

また混じり合うことで変化し、別な成分が生成、

それらがすべてが詰まったのが土壌なのだ。

 

 土は、はじめから「土」ではなかった。

 

(オマケの話)

もとは岩石だったものが途方もない長い年月をかけて土になったとは想像していた

けれど、本にはそのことが詳しく書かれていた。

最後の「タダの太陽エネルギーと土の微生物の働きを最大限に活かせる、

土壌という「植物工場の価値を再評価してもいいはずだ。」という言葉が

とても胸に響いた。

 

 

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                         ちりとてちん

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