カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.7.11 『世界を肯定する哲学』

『世界を肯定する哲学』  保坂和志・著

 

(グーグル画像より)


書名にコロリと惹かれて読んだが、
哲学者の本ではなかった。

保坂さんは小説家だった

 

「世界は…人生は…」という話が哲学的にでなく文学的にされている感じだった。

書名のとおり、それらを「肯定する」方向で書かれていた。

 

文学的な感性が足りない私には、内容がちょっと難しかったけれど、

読んでほんとうによかった。

しかし、何がよかったのか言ってみ!と言われたら、しどろもどろになって

うまく言えそうにはない。

(すごく大事なことが述べられていたと思うので、ブログ記事として書くことによって反芻、

吟味してみたい。著者の意をきちんとくみ取っているのか自信がないけれど、

たぶんに自分流の解釈をしながら、それに自分の思いや考えを込めて紹介します。

《本に興味を持たれた方は是非とも、直接お読みください》

 

いつもに増してまとまりがないですが、自分が刺激されたところを引用し、

思ったり考えたりしたことを、三回に分けて書きます)

 

遺伝子」という概念によって、想像力を体系化する意欲が失われた。…

想像力の入り込む余地が奪われた…

占星術に代表される思考法は、運命という概念によって世界と人間を有機的に結びつけていたけれど

遺伝子は世界と人間を有機的な関係を断ち、運命さえからも見放されてしまった

無機的なものに還元してしまった

 

世界にイメージを上塗りすることに馴れすぎてしまった人間が宇宙や遺伝子や脳などについて

次々に引っ張り出してくる科学からの無機的な世界像や人間像の方にきちんと身を投げ出すことが、

これまでと全然別の想像力を作り出すことにつながっていくのではないかと思う

 

       


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想像力の入り込む余地が奪われた

占星術に代表される思考法は、運命という概念によって世界と人間を有機的に

結びつけていたけれど、遺伝子は世界と人間を有機的な関係を断ち、

運命さえからも見放されてしまった

 

遺伝子」は、現在のようにDNAが解明されてからは、単なる物質ではなく

「生きた物」を構成する大元とはいっても、ますます「分子」や「原子」の

イメージが強くなってきた。

物の構造、現象が「分子」「原子」で説明がつくように、生物の構造、現象も

遺伝子」「DNA」で語られる。

 

引用では、まるで「悪魔」かのようにボロクソにいわれている。

(ちなみにネットによれば、「遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて

機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。

染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。

遺伝子は染色体内にあり、染色体は細胞の核にあります。

1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています」)

 

もちろん科学技術の進歩が「遺伝子」「DNA」の「事実」を完璧に近いほど

明るみに出しただけのことであって、運命」のように「いい」とか「悪い」、

「幸」「不幸」という)「価値」観、価値判断の問題ではない。

 

でも想像力」は、遺伝子」という科学的・客観的な事実(真実)が明らかになる

前からのもの、人間にとって本質的・普遍的なので、(明らかにされてからも)

運命」への価値づけ、価値判断は何ら変わらない。

(その運命」を吉と受けとめるか、凶と受けとめるかは、その人の想像力」による)

 

想像力駆使した文学や芸術、占星術遺伝子」の影響をこうむることが

あれば、所詮、それらは人間にとってそれだけのものだったのかもしれない。

(それが人類の「運命」だったのかも。

しかし、人間が人間であるかぎり「あり得ない」と思う)

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テレビの科学番組で、精細な映像が流れて」がさまざまな部分に分けられ、

各部分、箇所の働き、機能をわかりやすく説明してくれるのを見るとうなずく。

同時に思う。「(これも遺伝子」のように)元々から決まっているのかな」と。

(だけに限らないが)のその部分、箇所だけを見ると、ロボットやAIのような

コンピュータ、電子技術を用いれば置き換えることも可能だろうと、

科学技術のずぶの素人でも感じる。

(パソコンしていれば私のような者でも「コピーアンドペースト」をやる。

コピーアンドペースト」は極めれば《それは「すでに存在するもの」「自然にあるもの」ならば

何でも無限に近いほど細かく真似ることが可能なので、悪意さえあれば》簡単に人をダマせる)

 

でも「想像力(「創造力」)が、ロボットやAIのようなコンピュータ電子技術に

可能だろうか?

想像力(「創造力」)が、無限に近い多彩で膨大な量の素材、データの蓄積・

集積をもとにして、本体・中枢ともいうべき優秀なアルゴリズムによる計算で

生まれる、つくられるのだろうか?

(それですばらしい「想像力」が生まれ、《地球規模の自然災害・天変地異が起きない限り

いつまでたっても戦争をやめられず、そのうち科学技術を殺人に使って自滅する人間のバカを

防いでくれたらいい)

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世界にイメージを上塗りすることに馴れすぎてしまった人間…

どういうことだろう?

 

科学上の新しい知見のたびにコロコロ、世界観を更新、変えてきた人間、人類。

 

いまの「宇宙や遺伝子や脳など」、コンピュータ、電子技術ロボットやAIだけでなく

スマホなど個人に身近な技術)の驚くような科学技術の進歩、それがたらした

(「地球環境」、「資源・エネルギー」、「生物絶滅」、「SDGs」など)負の問題を含めて、

ありのままを見つめる。

それが「科学からの無機的な世界像や人間像の方にきちんと身を投げ出す」こと。

 

そうすることによって、「これまでと全然別の想像力を作り出すことにつながって

いくのではないか」と。

 

 

 

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                            ちりとてちん

                           

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