カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.8.29 「重力」という発想

人間をテーマに、誰もが興味をもちやすくなるよう、映像をふんだんに使い、

わかりやすく話す『ヒューマニエンス』というテレビの学情報番組があります。

凄まじい科学・技術の進歩を知って驚くことが多い。

まだわかっていない、明らかになっていないことはレギュラー出演の織田裕二

ゲストのテーマごとの)専門家(だいたい科学者)と、回ごとの招待者の3人が「妄想」

自説を述べる。

 

              

                  (グーグル画像より)


初めのころは身体の構造と機能・働き、
運動、感覚などでしたが、

なんせ人間がテーマだから、話題は尽きない。

 

ついに先日は「宇宙」だった。

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ゲストの専門家は宇宙飛行士の野口聡一さんだった

野口さんのお話は衝撃的だった。

これまでの「宇宙体験」の話、感想は、最初の日本人宇宙飛行士の毛利さんをはじめ、

ほとんど同じようなものだったけれど、野口さんのこれはまったく初めて聞く話でした)

 

その話は(これまでインタビューで聞かれることもなく)語ることもなかったとのことだが

番組にご登場の野口さんは話したくてしかたないという感じだった。

 

それは、長い宇宙飛行体験での個人的な思い、感想だ。

(「衝撃的」と書いたが、野口さんの話にゲストのいとうせいこうさんも感動されていました)

 

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野口さんは、長期の宇宙船滞在という重力空間を体験するなかで、

重力」というものについて強く意識するようになったとのこと。

 

重力のない宇宙船で長く生活していると、ないのがあたり前で、逆に重力のある

地球という世界での生活、暮らしというものが異常、ヘンに感じられてくると

(というような意味のことを)話しておられた。

 

重力自体はまったく物理的な力であるけれど、地球上では上下、縦に働く。

その「重力感」が上下」の感覚につながって人間世界へ反映したかのように

上下」が(Aはエラいから、BはAと比べるとというふうに)私たちを支配している

のじゃないかというもの。

 

番組映像は、野口さんの話を受けて、上下」関係の象徴として、

イギリス王室とエリザベス女王に熱狂する多くの国民を映し出す。

上下」関係に、いかに強く人間は縛られているかを。

(人間も物質であり、重力のように上下」、頭と足がある。

確かにそこだけ見れば科学的に間違ってはいない。

人間を生物的な個人としての身体だけを見れば間違ってはいない。

なのに、社会を作ると「上下」が生まれた。

《作らねば生きてはいけなかった》

 

ここで、私の「妄想」→

生産力が低く、まだ剰余の物を生み出す力のなかった古代、原始社会の生存原理は「お互いさま」。

そこでは集団のみんなが食っていくだけ、自分の肉体を維持していくだけで精いっぱいだったから

上下」関係はなく人々は平等だった。

ところが原始社会とは比較にならないほど生産力が発展した現代は、「上下」のない、真に平等な

《ということは、原始社会のそうであるより「仕方のなかった」平等ではなく》社会にしようと思う

ならできる。「」と「」の凹凸、歪を埋めれば、均せばいいだけ。

《もちろん個人の「上下」は別。野口さんとを足して2で割るというわけにはいかない。

私は宇宙飛行士にはなれない。残念ながら個人に属する能力などの問題は平等ではない

 

         

               (グーグル画像より)

ーーーーー

野口さんは言われる。

-無重力体験はいまは極めて特殊で、誰もが体験できることではないからこそ

宇宙世界への進出が人類の新たな希望になろうとするいまの時代、

その貴重な体験の当事者として感じたことを深め、社会に伝えていきたい-

 

(番組は、重力の話以外にもさまざまな興味ぶかい、おもしろい話題があった。

けれど、私には重力の話が最高でした。

いつか不合理で悲惨な縦、上下関係がなくなりますように。

 

重力のことでは、私は平衡障害を負ってからは「壊れたロボット」のような体感がある。

同時に足裏で体重を支えているという感覚、地球に引っ張られている感じがあり、

重力を絶えず感じている。

横たわると身体全体に均等に重力が働くので、寝る姿勢がこんなに安楽だとは

障害を負う以前には感じたことなかった)

 

 

 

 

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                              ちりとてちん

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