カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.9.1 コミュニケーション

私は長い間、社会福祉の仕事をしてきたけれど「障害者福祉」ではなかった。

障害福祉」とりわけ重度障害」は、同じ福祉でも「福祉」という言葉では

一括りできないのじゃないのじゃないかとずっと気になっていた。

重度の障害のなかには「コミュニケーション」障害がある。

 

コミュニケーションは、あまりに日常的、あたり前にしているので、

もしコミュニケーションがとれなくなったらと、想像すると………わからない。

 

前に『なぜ人と人は支え合うのか』渡辺一史・著)という本の感想を書いたけど

その本で紹介されていた天畠大輔さんという、14歳のとき病気入院した病院の

医療ミスによって重度障害者になった方の自叙伝のような本を読み、

強く感じることがあった。

 

『〈弱さ〉を〈強み〉に-突然複数の障害をもった僕ができること』  

天畠大輔 ・著

 

 

天畠さんは、身体が硬直したり麻痺もあって思うように動かせないので

24時間介助してもらわなければならない。

そのうえ発話できず、コミュニケーション困難。

天畠大輔」とネット検索すると詳しい情報が出ます)

 

本は、ご自分の体験、経験が時間に沿って述べられた自叙伝のような感じで

とても読みやすかった。

(それに、福祉や介助の法制度的なものもわかりやすく説明されています)

 

大事なことがたくさんあるけれど、二つのことだけ書きます。

(今日は初めの一つ)

 

       


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 障がい者のコミュニケーション保障

 

けっして感情や認知の能力が失われているわけではないのに、

情報の受信や発信に大きな困難を伴う僕のような人々のためのコミュニケーション保障

最近では人権の保障として注目されるようになってきました。

 

障がい者のコミュニケーション保障は、「はらへった」「あつい、さむい」「痛い、くるしい」

「外出したい」というような身体的ニーズ(生存欲求)に限定されてはなりません。

「悲しい、つらい」「笑う、怒る」「他者に認められたい」といった、社会的存在であることのニーズ

(関係欲求)を満たすコミュニケーション保障だけでもなく、「成長を続けたい」という

人間本来の高次な欲求(成長欲求)を満たすためのコミュニケーション保障も絶対に必要です

 

初めに述べたように、著者天畠大輔さんは14歳のとき病気入院した病院で

生きるか死ぬかの状態だったときの医療ミスにより重度の障害者になった。

 

本には詳しく書かれているが、大輔さんはいわゆる「植物状態」ではないのに

感情や認知の能力が失われているわけではないのに」、

外見がそうであるがために主治医や看護師など担当医療スタッフにも気付かれず、

自分では何もできない、表わせない絶望的な状態の日々を過ごしていた。

 

が、ある日のこと、いつもそばにいて何かと世話をしてくれるお母さんは

「あかさたな話法」を発見・発明し、大輔さんは生き返る。

大好きなお母さんに自分の気持ち、意志を伝える喜び、嬉しさにどれだけ震え、

泣いたことか!

(「あかさたな話法」のことはネットに詳しく紹介されていますが、そのうちの一つを引用します。

「あかさたな話法」は介助者とのサインを介したコミュニケーションです。

まず介助者が「あ・か・さ・た・な…」と行を並べ、目的の行で手を引くなどサインをします。

次に「あ・い・う・え・お…」と列を並べ、同様にサインを送り一文字伝えるという具合です。

ずっと一文字ずつでは時間がかかりすぎるので、実際のコミュニケーションでは

介助者の判断力やアドリブが求められます。

例えば、「こ」「ん」だけ分かった時に介助者が「『こんにちは』ですね?」と確認し、

違っていれば「では『こんばんは』ですか?」と別の候補を挙げたり、

もう一文字出してもらったりして、言いたいことを引き出します。

いわば「予測変換」のような役割をします

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まずは生存するために、「はらへった」「あつい、さむい」「痛い、くるしい」

「外出したい」…とコミュニケーションとれなければならない。

 

それだけでなく、「成長を続けたい」という、人間本来の高次な…

コミュニケーション

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そういうことで、あらためてコミュニケーションというものの大切さを感じた。

 

ところで、(天畠大輔さんの話からは外れるけれど)そもそもコミュニケーション

成立させているのは相手への信頼、信頼関係であることを思うと、

それを逆手にとった「オレオレ詐欺」類の罪深さは、

単なるカネの強奪を目的の犯罪の比ではないと思った。

(それにまた、ちゃんと私たちのために働いてくれるだろうと信じて、その政治家を選んだのに、

信頼を裏ぎるのもまったく同じ。

その罪深さは、単なるカネの強奪を目的の犯罪の比ではないと思う)

 

 

 

 

 

 

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                             ちりとてちん

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