カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2024.4.9 ブルシット・ジョブ①

コロナ騒ぎのとき、「ブルシット・ジョブ」や「エッセンシャル・ワーカー

(ワーク)」という言葉、言い方を初めて知った。

 

それらが具体的にはどういう仕事を指すのか、何となくは分かっていたけれど、

こういう言葉で括って分けてみることは考えたこともないし、知らなかったので、

これらの言葉が意味することに強く惹かれた。

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コロナはパンデミックで、世界中を不安に陥れた。

現代のパンデミックは、人間の生活に不可欠な仕事は何か?不要な(あるいは

「なくてもすむ」)仕事は何か?ということを教えてくれた。考えさせてくれた。

(生きていくのに必要不可欠なモノゴトと、別になくてもいいがあってもいいと思われるモノゴト、

ない方がいいと明らかに断定できるモノゴトの区別が意識されるようになった。

 

けれどもコロナ禍が落ち着いてきたいまは、そのことはもう忘れ去られたかのように聞かれない。

その証拠に「エッセンシャル・ワーカー」の待遇がよくなったとか、「何とかエグゼクティブ」が

廃止されたという話は聞かない)

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『ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか』  酒井隆史 

という本を読んだ。

 

 

 

私はいまはまったく仕事とは無縁の身だけど、かつては働いていた。

仕事をしていた。

いろいろと考えさせられることがとても多かった本だ。

(何回になるか分かりませんが、今日は前置きとして初めに自分のしていた仕事のことを書き、

次から本の内容に移ります)

 

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子どもだったころ、テレビドラマで『記念樹』というのがあり、親がいないか

いても事情があって育ててもらえない子どもがこの世の中にはいることを知った。

彼らが生活しているところで何か手伝えることがあればしたいとひそかに心の隅で

思っていた。

 

それからいろんなことがあったが、20代の終わり頃に児童養護施設に就職した。

初めの10年は児童指導員という仕事で子どもたちの生活現場で彼らの面倒を見る。

後には、施設の改築という思わぬ仕事が持ちあがり、子どもたちから離れることに

なった。

しかしそれはそれで、彼らの生活空間という環境を刷新、真新しい建物の中で

暮らせるようにすることだから(業界用語で入所児童の生活の世話を「直接処遇」というのに

対し)「関節処遇」ということで必要不可欠だからと納得し、意気込んで携わる

ことになった。

(することは、改築事業を理事会、関係行政に認めてもらうこと。地域に了解してもらうこと。

施設建物をどのようにするか計画すること。お金の工面。

小さな施設なのですべてに関わらざるを得なかった)

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最大の課題は、いうまでもなくお金の工面、つまり資金調達だ。

そもそも自前でお金が豊富にあれば、地域の了解(買収すればいい)を含め、すべて

スムーズに進められる。

が、小さな社会福祉法人に自前で改築できるお金はない。

(少しでもあれば無能な私に替えてうまくあちこちから補助金を取ってこられる者でも雇える)

資金調達。すべてはこれにかかっていた。

 

当時、無事改築を成し遂げることだけに私は必至だったので自分がしている、

させられていることに少しはヘン、おかしいと感じることがあったとしても、

ちょっと首をかしげることくらいですませていた。スルーしていたわけだ。

(もちろんこんな大事な仕事のリーダーは施設長。「させられている」のは施設長の命令だからだ。

施設長は物腰は柔らかだったが行政上がりで典型的な行政人、役人の発想、やり方だった。

役所の補助金担当部署の責任者たちへのご機嫌取りみたいな《直接的な賄賂ではないので犯罪には

ならなくて倫理的には問題》接待が行われた。

補助金交付がされるところは国とか県《ということは「税金」という形で国民から徴収されたもの。

つまりす国民のお金》。

さもなくば、ごく一部の国民が競馬・競艇・競輪などギャンブルで遊んだお金のごく一部、おこぼれ

《ギャンブルへの依存が原因で家庭が崩壊し、わが子を施設に預けるケースがあるので、ギャンブル

業界からの「社会貢献」というより児童養護施設職員としての私は「謝罪」ではないかと考えた》

 

ともかく「無事改築を成し遂げること」の前には少々イヤだ、ヘンだ、おかしい、

間違っていると感じても、大義は「子どもたちのため」と無理矢理に自分を納得

させていたのでやって来れたけれど、行政や補助金交付団体への申請書が通過、

承認されるために(ウソを書くわけではないが)ない知恵をしぼり出して文章を装飾し

何度も書き直した。

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この本を読んで、いまは思う。

       

        


自分のしたことは改築にたずさわったことで、それはブルトシップ・ジョブでは

なかったと自信を持つけれど、ブルトシップ・ジョブにつながるものは小さくても

いろいろあったと感じる。

(「役所の補助金担当部署の責任者たちへのご機嫌取り」などまさしくブルトシップ・ジョブ!)

 

 

〈オマケの話〉(「ブルトシップ・ジョブ」とは関係ありません)

テレビのサスペンスドラマがおもしろいのでよく見るけれど、事件の被疑者に児童養護施設出身者が

登場することが多い。

ドラマの話の流れで、刑事がある児童養護施設を訪ねていく場面が出てくる。

こういうドラマの創り自体が《比較すれば一般より施設出身者の犯罪率が高いかもしれないが》

社会的な偏見を増長すると思う。

いつも気分が悪くなる)

 

 

 

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                          ちりとてちん

今日の一句

さくらから 次のさくらへ 行くところ  佐藤和枝

 

 

 

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