カメキチの目
それが朝日新聞に、『折々のことば』として載っている。
ずっと前に宮尾節子さんという方のことばを紹介されていた。
「きみが シャッターを押すから 私の悲しみは 全部
笑っている」
どんなに悲しくても、カメラの前に立てば思わずニッとし、ときにはVサインのサービス誰へ向けてしているのかはわからなくてもまでする。
カメラは「だいじょうぶだよ」「元気だよ」
と語りかけてくれているようで、悲しみがあっても溶かしてくれる。溶かすところまでいかなくても和らげてくれる。
写真撮影にはそんなマジックがあるらしい。
花とか月。自然物の写真。
なんでこんなにいいんだろう、と思う。 これもマジックか。
宮尾さんもスゴいが、目をつける鷲田さんもスゴい。
鷲田さんは大阪人だからよく大阪のノリが出る。
続いて彼は新喜劇の「わし、元気か?」を持ってくる。だいたい「あなた、お元気?」と言うことはあっても、自分に向かってはきかないだろう。自分が元気かどうかくらい自分にわかる。
この言葉は、
肩ひじ張って生きるのはやめ、自分に悩むのもやめ、自分を崖っぷちに追い込むような、いじくり回すようなマネもやめ、ちょうどカメラの前に立つときのように相手にゆだねてみようという。
ちなみに宮尾節子さんってどんな人かと気になりネットで調べたら、
明日戦争がはじまる
まいにち
満員電車に乗って
人を人とも
思わなくなった
インターネットの
掲示板のカキコミで
心を心とも
思わなくなった
虐待死や
自殺のひんぱつに
命を命と
思わなくなった
じゅんび
は
ばっちりだ
戦争を戦争と
思わなくなるために
いよいよ
明日戦争がはじまる
(注:この詩は多くのみなさんのツイッター上の拡散とかがなかったらここまで読んで
もらうことなかったと、宮尾さんは著作権を放棄されています)