『小熊英二時評集 私たちはどこへ行こうとしているのか』
という本のなかでのひと言が強く胸に響いた。
(グーグル画像より)
「いちばん大切なものがわからなくなると、
人間は不安定になる」
本は2016年の出版で、とくに東北大震災以後の日本社会の時々のさまざまな問題
への著者の思い、考えが述べられたもの。
その中にあった上のひと言に、強いインパクトを受けた。
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社会のなかで生きている、生活している人間。
生きていれば、いろいろとある。
時代・場所はさまざまでも、その中身は人によって違うけれど、どうすべきか悩み
迷うこと自体は普遍的な事実。
そして、「いちばん大切なものがわからなくなると、人間は不安定になる」
ということも普遍的な事実だと思った。
本はうなずくことがいっぱいあったけれど、この言葉に出あうために読んできた
ような気がした。
(4日前の散歩で出あった桜。これに出あうために歩いたような気がした)
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著者の小熊英二さんは歴史社会学者ということで、本は現代の日本社会の状況を
戦後から今日までをふり返りながら、書名のとおり「私たちはどこへ行こうと
しているのか」を折々の社会問題を論じたもの。
あるときの話に、
「いちばん大切なものがわからなくなると、人間は不安定になる」とあったのだ。
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人が生きてゆく、生活してゆくうえでいちばん大切なものは何なのか?
たとえば「家族と自分をだいじにする」。
「そんなこと、わかってらー」あたり前、だと誰でも感覚的にはわかっている。
(と信じている)
わかってはいても、目の前の現実、生活の忙しさの波にもまれていると、
知らないうちに波に呑みこまれ、溺れそうになっている。
(ときどき真剣に思う。「もうじき15年になるけれど、あの事故で障害者にならなかったとしたら
私は別な事故で死んでいたかもしれない、と)
わかってはいても、人は忘れるということから逃れられないので、
ときどき自分の胸の奥底に問うてみなければならないと思う。
不安定にならないために、
自分にとって「いちばん大切なもの」は何か?