カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.10.17 『ぼくらの戦争なんだぜ』(後) 

今日は肝心の本の中身。

 

強く感じた二つのことを書きます。

① 無理してわかる必要はない

② 「小さなことば」をたいせつに

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  無理してわかる必要はない

 

(これは、著者が本のなかで引用されている古市憲寿さんという若い方の考えです)

想像を絶するような光景を写した映像、…を見るとき、ぼくたちは、「かわいそうに」とか

「無残だ」とか「残酷だ」といった感想を持つよりも、どう感じていいのかわからない

と思ったりするのではないだろうか。

それは、ぼくたちが知っている「日常」のあり方とは、遥かに異なっていて、そのようなあり方を、

どう理解すればいいのか、頭脳では理解していても、おそらく、ぼくたちの感覚が理解することを拒む

からだ

 

頭では理解できても、経験がないことは実感できない。

(人間が人間であることの一つの大事なものは「想像力」だと思うけれど、

どんなに想像はできても実感はできない)

 

肌身で味わったことしかわからないので、実際に経験したことがないことは

どう感じていいのかわからない」。

戦争は「ぼくたちが知っている「日常」のあり方とは、遥かに異なってい」るので

想像力を可能なかぎりいっぱい使って近づくことはできても

「わかった」とは言えない。

 

想像を絶するような光景を写した映像、…見るとき「かわいそうに」とか

といった感想を持つ」のは事実だが、そのときの感じ方に、

経験という事実があるのとないのとでは、質的な違いがあるのだろう。

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私は高橋源一郎さんと同い年で、本物の戦争を知らないが、知らなくても

戦後しばらくして生まれているので、1985年生まれの古市憲寿さんよりも

少しくらいは多く戦争の怖さがわかっている気がするが、未経験ということでは

古市さんとまったく同じ。

 

その古市さんの反戦」は気負わない自然体で、著者は強く支持される。

 

古市さんはいまの日本は「平和ボケ」とかよくいわれるけれど)平和だからこその

自分の生きているいまの日本の現実をしっかり見つめるところから出発している。

「戦争」から「平和」を見るのではなく、「平和」から「戦争」を見る。

(上の引用にはないけれど、古市さんはこうも言っている)

よく知らない「戦争」を根拠にするのではなく、よく知っている「平和」を

根拠にするべきではないか

 

        

(一般市民の「よく知らない「戦争」。しかし一般市民だからこそ「よく知っている「平和」」)

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② 「小さなことば」をたいせつに

 

「大きなことば」と「小さなことば」

「小さなことば」を使うには、「ことば」ではなく、目の前の現実を見なきゃならない。

いつまでもずっと。そうしないと、おかしなことをいうようになる。

がしゃべっているのか、誰が書いているのかわからないようなことばそれは、つまらない。

ぼくらの戦争なんだぜ

大きな経験を個人的な経験に繋げればいいのだ。

個人的な経験の方向から、大きな経験を見てみるのだ。…

いちばん大切なのは、ぼくたちの「日常」そのものを豊かにしてゆくことなのかもしれない

 

小さなことば」を使おうとするなら、「ことば」そのものではなく、具体的な

目の前の現実」をしっかりと、ていねいに見なければならない。

でないと、(つまり「大きなことば」を使えば)誰がしゃべっているのか、

誰が書いているのかわからないような」「つまらないことばになってしまうと、

著者は言う。

(「役所言葉」を想ったけれど、他人事ではない。自戒しなければ…

ニュースになるような政治・経済・社会の「大きな経験」で、自分とは関係ないと

感じて切り捨てるのじゃなく、個人的な経験」になるよう少しだけ考え、自分に

繋げ」てみる。

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目の前の現実個人的な経験をたいせつにし、それを日記のように、自分の

小さなことば」で表わすことは、自分を見失わないための習慣にしたい。

 

そう心がけないと、いつの間にか「空気」「世間」「常識」…が私の心に忍び込み

おかしなことをいうようになる」。

(戦前なら、「万世一系」とか「天皇陛下万歳」とか「神風」とか「大東亜」とか「八紘一宇

とか「玉砕」とか…)

 

 

 

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                          ちりとてちん

                             

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