カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2023.2.14 「孤独」は本当に悪いことなのか?

私は全寮制の学校にいたとき、ある級友に「八方美人」と非難された。

誰とでもつき合うので、その友には「無節操」「要領のよい」ヤツに見えたらしい

 

表は「八方美人」に見えても、その裏にはノイローゼになるほど深刻でなくとも

それなりの相手への気遣い(的外れ?しかも過剰だったか?)もあってか人間関係が

わずわらしくなり、それに進路も迷うようになったことも重なり学校は中退した。

 

社会に出てからは家庭、仕事が精いっぱいで、いわゆる「つき合い」はほとんど

したことがない

家庭、仕事のことを自分が納得のいくようだいじにすれば、それだけで精いっぱい

他の世界に首をつっ込む余裕も器用さ、能力もなく、人間関係を新たに築く、

広げるつき合いもできなかった。したいとも思わなかった。

多くの人とつき合うというのは自分の性質からしてムリだとよくわかっていたから、

これが自分にとっての自然な在りようだった)

 

だからといって、「孤独」を感じたことはない。

感じるべきところでところで感じる感受性が足りない、鈍いのかしれない。

が、

私には「人間はもともと孤独」という信念に近い人間観がある。

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『孤独の価値』  森 博嗣・著という新書をよんだ。

 

(こんな題名の本を見つけるとすぐに読みたくなる)

 

孤独」は誰にもなじみのある言葉、状態だが、主観的であいまい

 

私もそうだが、多くの人は「孤独」感を「さみしい気分」くらい

のことだけで流し、ふだんは気にもとめることなく暮らしている。

 

しかし本を読んで、日常生活のなかでは気にとめることがなくても、

たまには意識してみることの必要を強く感じた。

 

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孤独」はよくない、望ましくない状態と捉えられることが多いので嫌がられ、

ときには怖がられるほど拒否される。

なぜ「望ましくない状態」と思われているのか? ほんとうにそうなのか?

とは考えようとはしない。

嫌なものは嫌なんだからしかたがない」と。

(著者はこうして、考えない、「思考停止」に陥ることをすごく危惧される)

 

孤独」は嫌だから…と切りすて、なぜ嫌なのかと突っこんで考えようとはせず

「嫌」という感情に身をまかせ、流す。

考えないと「孤独」の価値、いいこと、望ましさはわからないのに。

 

(この本を読む少し前、同じ著者の『諦めの価値』を読んだ。

そこでは「諦め」について、

諦めるのは、なにかもっと大事なものを守るための手段」とあり、

普通は「大事なものは何か」ということがしっかりと理解されていない」と続き、

冷静になって諦める」という経験は、抽象的で客観的な思考を育むことにつながる

そのことが「自由のために自分をコントロールする」ということだとあった。

 

孤独」も諦め」のように否定的、望ましからずと受けとられているけれども、

諦めと同じく「自由のために自分をコントロールする」という

もっと大事なものを守るための手段」として受けとめたい)

 

        


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この「思考停止」ということが、

賑やかなところではなにも考えなくても良い

「思考停止」を本能的に望んでいる」とまで述べられており、

現代は、個人の時間の中へ、ネットを通じて他者が割り込んでくる時代であり、

常に「つながっている」というオンライン状態が、この貴重な孤独を遠ざけている

構図が見える」と、続く。

 

人は表面、上っ面だけを見れば「ひとり」なので「孤独」な姿に見えるけれど、

集団でいるときのような「賑やかなところではなにも考えなくても良い

というより「考えられない」ので、トイレ・風呂のようなひとりになるときを

あえて設けなければならない。

 

現在の「常に「つながっている」というオンライン状態」がふつう、あたり前に

なったのは、そんなに昔ではない。

(少なくとも私がパソコンをやり始めたころは電話回線を利用してネットにつなげていた。

「オフライン状態」がふつうの状態だった)

 

なにかもっと大事なものを守るため」に、

大事なものは何か」ということ」を「しっかりと理解」し、

冷静になって孤独になる」という経験は、抽象的で客観的な思考を育むこと

そのことが「自由のために自分をコントロ―ル」につながる。

 

それには「常時接続」をときには切ってみることも必要だと思った。

 

 

 

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                          ちりとてちん

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