カメキチの目
NHK BS1スペシャル『個人情報が世界を変える』(4月27日)にとても考えさせられた。
(番組HPは下をクリックされるとあらわれます)
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/3115653/index.html
■ ネットで欲しい物、商品を一度でも調べたら、自分のブログに「買え、買え…」と広告がしつように付きまとい、辟易する。
(しかし、もともと欲しい商品だからチェックしたのであって、広告を見て「買おうか、買おうか…」と悩む)
(広告に敗け)買う気になり、「アマゾン」などにアクセス。すると、(購入希望商品のとなりに)「これを買われた人はこれも買いました」と(頼みもしないのに)別な広告画面が現れ、新たな欲望をかきたてる。
(そこには「よけいなお節介すんな!」といちおう怒りながらも、「どれどれ…」と敵《いや、販売者》の思うつぼにはまっている自分がいる)
■ いまでは、パソコン、スマホを持つだけで、その個人の情報が「グーグル」など巨大なIT企業にだだ漏れ。
ネットを使えば、使う分だけより多くの個人情報(データ)が蓄積されるので、個人像(プロフィール)の精度が増す。
彼ら巨大企業は、その個人情報を「ビッグ情報」として、さまざまな企業に売りわたし、莫大な収益を得る。
「ビッグ情報」を手にした企業は「社会のために」活用する。
もちろん企業なので「社会のために」より「企業利益」が優先。そのデータの使い途の一つに先の商品購入サポート、「お手伝い」があるわけだ。
■ 番組の中で、アメリカのある大学の専門家は、個人情報がたくさん集積され、より正確にされることは、「プライバシーが侵される」と悪くとらえるのではなく、その積極面を評価し、悪用されることを防げばいいといわれる。
「これを買われた人はこれも買いました」と言われても誘惑に負けず無視し、買わなければすむ。
たしかに、それはいえよう。
(「科学・技術はそれじたい悪いものではなく、使う、利用する人間の側の問題」といわれるのと似ています。
しかし、人間は弱い。誘惑に負けやすい)
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ところが、番組をみて恐ろしくなった。
個人情報(データ)の集積が、商品などへの個人的嗜好、すなわち好き嫌いを知るだけ、購入のサポートサービスくらいまでにとどまればいいが(よくはないか)、その個人が何を検索したか(ということは、「ウィキペディア」などで何を知ろうとしたのか、どんなことに興味・関心を持っているのか、などなど)という情報(データ)を膨大に集積、分析することによって個人像を明らかにし、巧みな心理操作(その個人への政治的宣伝・広告など)を加え、政治的に利用することが可能になること。
番組は、大きなニュースにもなった「フェースブック」で8千500万人という一国の人口並の「個人情報」の流出漏えいが、トランプ政権の誕生に大きく関わっているといわれている問題を、(政権誕生からこれほどたってもまだ解明はされないが)疑いは決して消えておらず、未だにアメリカでは真相が究明され続けていると伝えていた。
(日本の「モリカケ」はどうなった?)
まさしくこの番組が作られた意図、目的、『個人情報が世界を変える』。
コトは単に「個人」の嗜好の範囲ですまず、「政治」「経済」「社会」に及ぶわけだ。
(人間の便利・快適を求める世界は、これからも否応なくその方向を目ざしていくのでしょうが、それはそれとして《科学・技術の進歩は止まらない》、
番組は、「グーグル」や「アマゾン」などの多くのグローバルIT企業が集中するアメリカの流れに対して、
「個人情報の流出」に歯止めをかけなければならないというヨーロッパ、EUの主張や動きも紹介していました。→「GDPR」《EU一般データ保護規則》
番組の終わりで、とてもたいせつなことが警告されていました。
誰でもが自由に無料で使える検索サービス。「検索」することで、検索している人物《個人》がどういう者かが《検索するほどより詳細に》グーグルなどの「検索エンジン」側に知られる。つまり、検索自体は無料でも、個人は自分の情報、プライバシーをデータとして検索ごとにグーグルなどに提供していることになる。
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「ただほど(後で)高くつくものはない」
それは非常に危険なことであると、EUは「GDPR」を制定《2016》。最近はアメリカでもカリフォルニア州議会が制定したとのこと)
番組は、なんども警告していた。
「スマホを使うこと自体が、ネット検索すること自体が、自分という人間の『個人情報』を社会に流しているということを意識してほしい」と。