病気になったとき、ケガをしたとき、歯が痛いとき
私たち日本人は(自己負担は気になっても)あたり前のように
医者に診てもらう。
あまりにも身近なので、あえて「国民皆保険」
(制度)のありがたさを意識することはない。
アメリカは「自由」のもとに(病気にかかるのも事故に遭うのも、それで苦しむ
のも死ぬのも自由)「これが先進国か?」というほど劣悪な医療保険制度で、
オバマさんが大統領になったとき、最優先で国民の医療制度を改革し、アメリカ版
けれども実質が不十分なので、こんどのアメリカ大統領選挙でその充実をバイデン
候補が大きくとり上げています。
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最近、『沈みゆく大国アメリカ』 堤 未果 という新書を読んだ。
(グーグル画像より)
「大国アメリカ」で長く暮らす著者は、これまで『貧困大国アメリカ』を
著しているが、この本では医療・保険制度にしぼり、具体的な実態を述べ、
問題点を明らかにする。
(アメリカのとんでもなく貧しい医療・保険制度の実態の叙述は、逆に日本の
「国民皆保険」のすばらしさを浮きあがらせてくれている)
初めにこんな言葉が述べられている。
【引用】
亡くなった(堤さんの)父の病床での言葉
「国民皆保険制度がある日本に生まれて本当に良かった。
これがない国だったら最後は悲惨だっただろう」
ある 医療破産者の言葉
(幸いにも、日本では医者にかかって自己破産したという話は聞かない)
「僕の破産手続きを担当した弁護士によると、リーマンショック以降増え続ける
個人の破産の半数以上が、僕と同じ医療破産だそうです。
巨大化しすぎて政治に力を持ちすぎたウォール街は、
オバマ大統領でも規制できないでしょう。…」
(注:黒字はこちらでしました)
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アメリカの「自由」の実質とは何なのか?
よく見なければならない。
(日本で暮らしているから自分には「関係ない」という問題ではないと思う)
生き物にとって「生命」がいちばんだいじなことは
いうまでもない。
(「自由」がないのなら死んだ方がマシだといわれることもあるが、それは比喩で
いっているだけのこと。「生命」か「自由」という選択の問題ではないと思う)
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アメリカは典型的な資本主義社会だ。
アメリカの「自由」の実質とは、何でもかんでも
すべて(生命までも)が「商品」、取り引き(交渉・契約)の
対象となる「自由」なのだ。
医療にかかれず、お金を払えば助かる命さえ、
払えないので「死ぬ自由」しかない。
・弁護士がこの国ほど活躍するところがあるだろうか。
犯罪を明らかにし、罰を決める「司法」でさえ「取り引き」されている。
・人そのものに関わる「生命」「健康」は超巨大な市場なのだ。
人の命もモノと同じ「商品」として扱われ、生命・事故などの保険商品となって、
取り引き、売り買いされる。
取り引き、売り買いされる市場が、真の自由市場、競争に参加する企業がフェアに
争い、お互いが切磋琢磨するならばよいけれど、資本主義が行き着くところまで
行き着いた現代のアメリカ(だけではない)は独占市場。
自由な競争は過去の夢。
熱烈に歓迎された。
しかし、その実態がわかるにつれ、そのザル法
(共和党の熾烈な反対と、業界(製薬や保険)のあざとい反撃にあって骨抜きに
なった)ぶりに国民はどん底に落とされた。
という事実を、私はこの本で初めて知った。
「巨大化しすぎて政治に力を持ちすぎたウォール街」
オバマさんでも歯がたたなかった。
(グーグル画像より)
「「1パーセントの超・富裕層」たち」が、
国家を超え(国の規制を受けることなく)好き勝手に振るまう
ことが可能なこともアメリカの「自由」なのだ。
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最後にまた【引用】
「オバマケアと日本の皆保険制度はまったく違う!
なぜ同じ「皆保険制度」でも、日本とアメリカではこんなにも違うのか?
日本の医療は憲法第25条(生存権)に基づく社会保障の一環として行われ、
その根底には「公平平等」という基本理念が横たわっている。
一方アメリカでは、医療は「ビジネス」という位置づけだ。…
国民の「いのち」が、憲法によって守られるべきものだという日本と、
市場に並ぶ「商品」の一つだというアメリカ…
国家戦略特区を知っていますか?
〈国家戦略特区法〉(2013年成立)は、ひとことで言うと「特定の地区で、
通常できないダイナミックな規制緩和を行い、企業が商売をしやすい環境を作る
ことで国内外の投資家を呼びこむ」という内容だ。…
(医療特区)特区と同じレベルの新薬や治療は、公費だけでは支えられないため、
結局は規制緩和して公費部分を縮小し、自由診療部分を広げざるを得なくなる。
たとえ国民健康保険が制度として残っても、使える範囲がどんどん狭くなり
形骸化すれば、患者負担は重くなってゆくだろう。…
「国民健康保険の公費負担部分が小さくなればなるほど、それ以外の医療や薬を
カバーするために、日本人は民間保険を買うようになるでしょう。…
リーマンショック以降、アメリカ政府が野放しにしたことでますます巨大化し、
国家解体ゲームをさらにすすめるウォール街の存在は、ここ日本にとっても
他人事ではない。
農業に食糧、小売りに教育、自治体、そして医療など、彼らが自国アメリカで
手をつけた分野は、その後日本にもひとつずつ名を変えて上陸してきている…
外国人投資家たちは、…日本政府の「成長戦略」に熱い視線を寄せている。…
私たちの将来を左右する年金基金もその一つだ。
次なるゲームのステージは日本…」
(注:黒字、下線、赤字はこちらでしました)