1回目は水です。初めに長いですが、引用します。
【引用】
「第1章 日本人の資産が売られる
1 水が売られる
国土交通省が発表している水道水が飲める地域は、
(日本以外のアジアでは)アラブ首長国連邦
(他の地域では)ドイツ、オーストリア、アイルランド、スウェーデン
(ストックホルムのみ)、アイスランド、フィンランド、ニュージーランド、
オーストラリア(シドニーのみ)、クロアチア、スロベニア、南アフリカ、
…
〈水は21世紀の超優良投資商品〉
世界銀行やアジア開発銀行(ADB)、アフリカ開発銀行などの多国間開発銀行と
IMFは、財政危機の途上国を「救済する」融資の条件に、必ず水道、電気、ガス
などの公共インフラ民営化を要求する。
…
〈水がタダの時代は終わった〉
なにせ水ビジネスは世銀元副総裁の言うように、石油よりも巨大な金脈、
21世紀の超優良投資商品なのだ。
多くの国際協定もまた、国境を越えた水ビジネスを精力的に推進している。
…
〈「もう嫌だ、再公営化する!」すると莫大な請求書〉
巨額の賠償金を支払ってでも、水道を公営に戻したいという国は後を絶たず、
1990年代から本格化した(水道事業民営化は)、…2000年代半ばをピークに
減り始める。そんな中、世界の流れと逆行し、
今になって水道民営化を高らかに叫び出した国が日本だった。
…
〈世界が水道再公営化に向かう中、日本は民営化をスタート〉
実は日本の水道は、全国に「民営化」「規制緩和」というキーワーを流行らせた
小泉政権下で、当時経済産業大臣だった竹中平蔵氏の主導により、すでに業務の
大半を民間に委託できるよう、法律が変えられている。
だが(日本の水道事業の民間委託に)外国人投資家たちには大きな不満があった…
全国で老朽化した水道管が破れ、莫大な復旧費用がかかるのだ。…
2011年3月11日、東日本大震災の当日に、民主党政権は公共施設の運営権を
民間に渡し、民間企業が水道料金を決められて徴収もできるよう、PFI法
(「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律」)
改正案を閣議決定する。
自治体が水道を所有したまま、運営だけ民間に委託できるという
「コンセッション方式」の導入だ。
災害時に破損した水道管の修理などは自治体と企業で折半し、
利益は企業のものになる。
結果が出たのは、それから1年後の2012年3月、
ついに外国企業が単独で日本の水道事業を運営する初のケースが現れた。
仏ヴェオリア社の日本法人が、松山市の浄水場運営権を手に入れたのだ。
…
〈大阪市では「水を企業に委ねてええの?」〉
橋下市長は水道民営化のメリットを繰り返し強調し、2014年4月に水道事業の
運営権(30年)を、市が全額出資する民間企業に2300億円で売る方針を
発表する。2300億円?
「大阪が水道民営化の実験場にされる」と警戒した平松邦夫前大阪市長は、
「大災害が起きた時、ライフラインの復旧が公営でなく民営だと、国の支援を
受けられる保障がない。水道は民営化すべきではない」と強く反対…
竹中…麻生…の主導で法改正がどんどん進められ、その間マスコミは行儀よく
沈黙していた。
…
〈民営化を渋る自治体の鼻先にニンジンをぶらさげよ〉
日本の水道料金が電気と同じ「原価総括方式」であることは…知られていない。
水道設備の更新費用のみならず、株主や役員への報酬、法人税や内部留保なども
全て「水道料金」に上乗せできる。…
料金については、自治体が「上限を設置できる」ことになっているが、
これについは企業側が心配する必要はないだろう。
水道はその地域を1社が独占できるため、値上げ交渉では企業が圧倒的に有利に
なるからだ。…
何よりも素晴らしいのは、災害時に水道管が壊れた場合の修復も、
国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業ではなく、自治体が責任を負う
ことになったことだ。
日本の法律では、電機やガスは、「電気事業法」「ガス事業法」という法律の
おかげで、民間であってもガスや電気の安定供給の責任は、しっかり事業者に
課せられている。
だが水道だけは「水道事業法」が存在しないのだ。
それをいいことに今回の法改正では、その責任は事業者から自治体に
つけ替えられた。…
国政が水道民営化を後押しする。…
2018年6月、大阪市は…市内全域の水道メーター検針・計量審査と水道料金徴収…
を仏ヴェオリア社の日本法人に委託した。
宮城県も2020年から、県内の上下水道運営権を民間企業に渡す方針だ。
静岡県浜松市は、2017年に、国内で初めて下水道の長期運営権を仏ヴェオリア社
に売却し、20年の契約を結んでいる。…
今後、この動きは、全国でスピーディに広がってゆくだろう。
…
〈オウム真理教の死刑でかき消された「水道民営化法案」〉
2018年7月5日。水道民営化を含む「水道民営化法案」は、…可決された。
だが大半の国民は、(マスコミがつくったオウム真理教の死刑報道騒ぎで)
この重大な法律に全く気づかなかった」
(注:黒字の()〈〉、下線、太字はこっちでしました)
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私が子どものころの田舎はまだ「日本昔ばなし」の世界だった。
各地に水の神さまがおわし、雨乞いの儀式が残っていたりするので、もっと昔は
日照りで苦労したのだろうが、言葉どおりの「天の恵み」であって一滴だって平等
誰かのもの(所有物)になろうはずはなかった。
しかし、タダだった水が売り買いされるようになった。
子どものころは、とくに水を意識することはなかった。空気みたいなものだった。
在って「あたり前」という感じ。
だからか、いつ頃からか店頭に水のペットボトルが見られるようになって初めは
違和感をもった(というか驚いた)。
(グーグル画像:林野庁より)
人間の体重の60%は水分、水がなければ作物(植物)は育たない、水の自然循環、
水惑星など「ありがたさ」を知り、今冬の大雪も正体は水、東北大震災の津波も
西日本豪雨などの水害の「おそろしさ」を感じた。
人の力、思いでどうにもならぬ水。「感謝」も「恐れ」もこめて畏れるほかない。
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オギャアーと誕生したときには「産湯」、死ぬときは「死に水」のお世話になる。
生きている間もお世話のなり続け。水はいのちそのものなのだ。
それが【引用】のようなことになっているなんて、そういう具体的な事実を知り、
(大げさな言い方かもしれないけれど)息がとまりかけた。
おどろき三つ
① 手ですくってか蛇口に口をつけてか、無味無臭かカルキ臭いかは別にして、
直接なま水を飲める国がこれほど少ないとは。
② 【引用】の最後のところに
〈オウム真理教の死刑でかき消された「水道民営化法案」〉…とある。
オウム真理教の死刑はセンセーショナルな話題だったので、多くの国民の目を
ひきつけた。
NHKをはじめ民放各社も「国民のほとんどが欲する報道だからこれを伝えるのは
当然」とばかりに足並みをそろえた。
(死刑報道の陰でこういう政治の動きがあったとは! オウムのことも死刑もたいせつだが、
「水道民営化法案」が通った事実も一般国民が気づくように報道してほしかった。
せめて、数あるテレビ局のどこかの局でも)
ふつうの国民の誰がこんなとき、「水道民営化法案」が通ったことに気づく!?
「法案」の成立は、着々とすすめられてきた水道の営化の最後の仕上げで、成立と
いう事実があった後では悔やむほかないが
(〈世界が水道再公営化に向かう中…〉ともあるように、いったん成立した法を廃案にしたり、
法はそのままでも実質は変える《お金はかかっても「再公営化」》道があります)
ここまで至るまでにマスコミ、報道は何をしていたのだろう?
これに限らないけれど、ふつうの国民ではなかなかわからない問題、事実を、
私たちになりかわって調査し、その結果を報せてくれるのもマスコミの責務だと
断じて思う(そのさい判断はこちらに任せてほしいが、それが難しく「これは放っておけない
重大な問題」ならば、きちんと啓蒙してください)。
③ 世界銀行やIMFは、私はいままでずっと国連、ユニセフ、WHOなどの
ように、(力は弱くとも)「正義(でなくとも中立)の味方」と思っていたが、
大いなる間違いをおかしていたことに気づいた。
本には 2 土が売られる があるのですが略します。
次回は 3 タネが売られる からです。