カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2022.7.15 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』-前-

コロナは感染が急激にふえてきて「第7波」に入ったようだ。

ニュースで東京や大阪では1万人をこえたと報じられても、以前のような緊迫感は

感じられない。

(その正体がよくわからず、感染力におびえていたころとは違う。

不明なことはたくさんあっても、いずれはインフルエンザのように落ちつくだろうと楽観している)

 

『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』  内田樹  編著 

     

を読んだ。

 

たくさんの方が書かれており、みんなよかったのですが、

とくに5人の方からは胸に響くような言葉を聞いた気がしているので

それだけを紹介し、感想を述べます。

(2回に分けて書きます)

 

ーーーーーーーーーーー

内田樹

―まえがき―

【引用】

中高生を対象に書くと、話が根源的にならざるを得ないからです。

大人同士だと、いろいろな専門用語について、「わかったつもり」になって話が進みますが、

中高生相手だと、その手が使えない。…

だから、僕たちから想定読者である中高生に向かって言うべき言葉はまず「ごめんなさいです

もう少し「まとも」な社会を手渡しかったんだけれど、うまくゆかなかった

 

(注:「」〈〉(黒字)、太字太字はこちらでしました。なお、この後の【引用】も同じです)

 

この本は中高生に向けて書かれたもので、内容はとてもわかりやすい。

内田樹さん自身が取りまとめ役となり、親しい人に原稿を依頼された。

まえがきの中で、本は中高生を対象にしているから

話が根源的にならざるを得ない」と述べてある。

 

話が根源的」であるということは、その物事(いまの場合はコロナ)の本質を

突いていること。

(さまざまな専門用語がつかわれ、言葉の過度な修飾により、本によってはダマされている、

ゴマ化されているという気がするものがあることを想った)

 

コロナに限らず大人(とくに老人)子どもや若者にどれだけごめんなさい

と言い、謝らなければならないことか…

 

        

ーーーーー

白井聡

―技術と社会―

【引用】

AIをめぐる狂騒、遺伝子テクノロジーをめぐる狂騒といった、…「外なる自然の征服」と

「内なる自然の征服」のプロジェクトは、新技術によって「より便利で安全で快適な暮らし」が可能に

なることを夢見させつつ、私たちの懐いてきた人間の定義をグラグラと揺るがせるがゆえに、

漠然とした不安の感情を行き渡らせてきたように思われます。…

(そのような)技術の発展は社会の在り方をどんどん変えてゆく、すなわち社会の在り方は

その社会の持つ技術によって決定される、という考え方は「技術決定論」と呼ばれます。…

利用可能な技術のうち、どの技術が用いられ、どの技術が用いられないのかを決めているのは、

その社会の在り方なのです。…

資本主義社会では生産力を絶えず向上させることが至上命令

もう十分」とか「ほどほどにしておこう」といった常識に基づく判断は、

資本主義社会では通用しません

 

(白井さんの話は「資本主義社会」への批判のような内容なので、中高生にはむずかしい気がする。

が、それなりに理解できるだろうか)

 

狂騒」はピッタリきた。

その狂騒が「漠然とした不安の感情」につながっていることも。

 

私たちの懐いてきた人間の定義をグラグラと揺るがせる」。

確かに、AIや遺伝子のテクノロジーの「人間に不可能はない」というくらいの

すさまじい発展、狂騒ぶりを見ていると、人間(という自然物)って何だろう?

生きるってどういうことだろうか?と、根源的な話をせざるを得なくなるほど

人間の定義揺るぐ。

そして、漠然とした不安の感情が押しよせてくる。

 

不安の原因は「技術決定論」。

(前に書いた『生きるってこういうことかしら?』で、「倫理が「後から対処」ではなく、

「歯止め」とならなければならない」との著者中村桂子さんの言葉が思いだされた

より良い、より好ましい《と思える》生活を目指し《放っておいても》技術はどんどん進むが、

どういう社会が望ましいのかと、人々が協力して考え、その理想社会にふさわしい技術を取捨選択

しなければならない)

技術が社会のあり方、姿を決めるのではなく、

社会が技術を決めなくてはならない。

 

といっても、私たちが生活しているのは資本主義社会。

「もう十分」とか「ほどほどにしておこう」といった常識に基づく判断」は

通用しないと白井さんは断言する。

(「社会の話」は個人ではどうしようもないだけど、「もう十分」とか「ほどほどにしておこう」

とはせず、あらゆる自然に手をつける資本主義的欲望がこんどのコロナをまねいたのでは?

人類を脅かすものはコロナだけではない)

 

 

 

 

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                            ちりとてちん

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