カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2016.5.31 パリコレ歩き

 

                                                  カメキチの目

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 窓の外の山を見て、

 ツレが言った。「ああ、緑が美しい!なんときれいなんだろう」

 彼女はたった今、イギリスからご帰還だ(もちろん、小説から)。かの地には、ピーター・ラビッドが住んでいるそうだ。えっ、ピーター・ラビッド。なんじゃそりゃー?

私もよくは知らない。たぶん、娘が子どものころのおもちゃ、シルバニアンファミリーと関係があるのかないのかわからないけれど、そこ、湖水地方はたいへん美しいらしいです。けれど、この季節の日本の山も負けてはいないのだろう。

 そういう自然の美しさとは正反対の話(かくも人間はおぞましい)。

 小説にはKGBが出てくるらしい。KGBは崩壊前のソ連の、アメリカのCIAと並ぶ有名なスパイ(諜報員)組織である。

 ちょっと血なまぐさいストーリーなのか。それでよけいに、山の緑が目にしみたのか。

ちなみに「KGB]で間違いないかネット検索していたら、現在ロシア大統領のプーチン氏は元KGBの諜報員であったばかりか、FSBという現ロシア諜報機関のトップだったと知りました。

知ってよかったのか、知らないほうがよかったのか…なんか複雑です。

 

「緑の美」「KGB」から急展開。どちらとも無縁なわが身。不自由なる身体の話をしよう。

 不自由なのでしょっちゅう意識する。

「自由」は「あたり前」と、ふだんは空気みたいなものに感じているけれど、それが危うくなりそうなとき、なったとき、すごく意識されます。

 不自由な身体というものは、なにもしなければヘナァ~となる。へたり込むのだ。 

「不自由」ということは、別名、「へたり込む」ことである。

 ヘナァ~とならないためには、ちょっとマシになろう、なりたいという意志を持ち、実行可能な具体的な活動(行動)を見つけることがたいせつだ、と障害者になって私は思った。

 できれば、おもしろく楽しく容易なことがいい。でないと持続しない。

 世に「イメージ療法」なるものがあるが、これなんかいい。目標、理想とするものを頭に想い描くだけだ。

 想うだけでもいいらしいが、実践がともなえばもっといいに違いない。

 

 たとえば歩き。

 私は立っているだけでグラグラ地面がゆれているような、気分が悪くなる感覚がある。そのことを気にしていれば(つまり、受け身にばかりになっていれば)歩くのもイヤになってくる。

 で、さっそうと歩いている自分を想像する。

旅が好きなのは、これまで書いたとおり旅すること自体のすばらしさがありますが、もうひとつ、立っているときや歩行中の気もち悪さを、新鮮な風景への興味・関心で忘れ去ることもあります。

 ある日のこと。ブレずに歩いてやろうと思った。

 前にテレビでみたモデルさんのように、華麗に歩きたい。バカなことを!

 しかし、試した。これを「パリコレ歩き」と名づけた。 

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「パリコレ…」。

 忘れており、平気でトコトコ…アヒル歩きをしていたほうが圧倒的に多かった。

 何年かたった現在。

 モデルさんは、はるか遠い。

 

「パリコレ歩き」とは関係ないですが、先日、焦ったことがありました。そんなことは初めてでした。

植物園に行ったとき、トイレで小便するため手洗い場の壁に杖を立てかけていました(トイレが広々としていたり人が少ないときは便器のところまで持って行かないことがよくあります)。用をすませて手を洗い、杖をとろうとしたら、ギョ!ない。

パニックになりそうでした。「盗られたか?」「まてよ。こんなモノを盗る人がいるだろうか?」

ツレに言うと、彼女はすぐに警察官みたいになり、「犯人探し」に奔走してくれた。私はといえば、「あっ!そうだそうだ。そばに案内所があった。届けよう」

しどろもどろの私に、このジジイ(むこうも立派なジイサンでしたが)なにを言ってるんだ?というようないぶかった顔されていましたが、「ああ、コレかね」と、さし出しされるではありませんか。それは杖。しかも私のヤツ。

どうやら親切な方が“落とし物”(忘れモノ)として届けられたようでした。

杖を使わねばならない人がそれを忘れるということはふつうはないのですが、その親切な方は、登山用の杖と思われたのかもしれませんね。

それでも、園内に登山するところはないはずですが…

 

                   ちりとてちん

 

 

 

 

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