カメキチの目

2006年7月10日が運命の分かれ道、障害者に、同時に胃ガンで胃全摘出、なおかつしぶとく生きています

2020.10.23 誠実

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誠実」ということについて強く考えさせることが

あった。

 

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春には「新作はしばらくはムリか…」と、テレビドラマが気になったが、

「もう大丈夫!コロナ恐れるに足りず」とばかり新作が続き安心した。

(それは嬉しいけれど、ホントに大丈夫なのだろうか?)

 

心配だったころ録画しておいた『正義のセ』というドラマを先日みた。

正義感に燃えるのはいいのだけど、燃えすぎて少しおっちょこちょいの

愛すべき女性検事《主人公》の物語。1回1話の連続もの)

                      

                 (グーグル画像より 秋霜烈日バッジ

                      

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〈ある回の物語〉

バイクで勤途中の青年が、杖をついて横断歩道を渡っていたお爺さんをはね、

事故死させた(お爺さんはいつもの散歩でお婆さんといっしょだった)。

 

お婆さんは意地悪ではないが、最愛のお爺さんを亡くして意気消沈。

お爺さんをはねて死なせた青年が憎くてたまらない)

青年にはできるだけ重い罪を受けてほしいので、主人公による取り調べのときは

事故当時、横断歩道は青信号、車道は赤だったのに止まらなかったとウソをついた

(ドラマのおしまいの方で、目撃者が見つかりお婆さんのウソが判明)

 

物語はいろいろ展開し、最後にはお婆さんは元気を取り戻し、青年を孫のように

慕う関係になる。それを笑顔いっぱいに見つめる主人公。ハッピーエンド場面で

閉じられる。

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私はこの物語の趣旨は「誠実」だと思った。

(誠実であるということが人間にとっていかにだいじか)

 

事故を起こしお爺さんの命を奪ったことを心の底から悔い悩み、これで人生が

終わったかのような加害者、青年の姿に誠実な人間性を強く感じた。

(彼は事故を起こしたとき、あわてふためき茫然となりながらも咄嗟に自分の服を

脱いでお爺さんにかけ、救急車を呼ぶ)

事故後、毎日欠かさず現場に花を手向け、手を合わせている。

そんな彼は、職場でも真面目な仕事ぶり誠実な人柄で、みなからの信頼がとても

篤い。

(彼を知る多くの人が減刑を求める嘆願書に署名し、検察庁に提出したほど)

 

事故後すぐに検察に送られ、主人公が取り調べをしているとき、青年はひどく

肩を落とし、まるで死んでいる人みたいだった。

主人公の質問にわかることはボソボソと答えるが、わからないことには黙るだけ

(なるべく黙秘してその場を切り抜けようとしているのかと、人の好い主人公でも

疑いたくなった)

その態度の真相は、彼にはいっさい自分を守ろう弁護しようという気は毛頭なく、

実際に答えられず、のらりくらりボソボソ…クラゲのようになるしかなかった。

(このときには主人公はまだ気づいていなかったが、青年は、交通法規に自分が

違反していたか否かの問題ではなく、自分の不注意がお爺さんを死なせてしまった

という事実の重み、深さをどうしようもなく感じていたのだ)

 

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そのテレビドラマをみてから数日後、(シンクロニシティであるかのように)

以下のニュースを聞き、心を揺さぶられた。

 

10月4日の読売新聞オンラインより 

【引用】

「責任を痛感」家族意向で  

高校生2人を乗用車ではねて死傷させたとして…(過失運転致死傷)に問われ、

1審・前橋地裁判決で無罪とされた被告が、…控訴審では一転、有罪を主張する

方針だ。

「被害者に申し訳ない」と訴える家族の意向に被告が同意し、罪を認めるという。

異例の展開に、高裁の判断が注目される。

 

前橋市の無職川端清勝被告(88)は2018年1月9日、同市内の県道で、

自転車で登校中の女子高校生2人を乗用車ではね、1年生の太田さくらさん

(当時16歳)を死亡させ、もう1人にも重傷を負わせた。  

今年3月の地裁判決は、被告が持病の薬の副作用で意識障害を起こしていた可能性

があり、事故は予見できず、運転を控える義務はなかったとして、被告側の主張を

認めて無罪(求刑・禁錮4年6月)とした。検察は控訴した。

 

以前にも物損事故を起こした被告に、運転をやめるよう再三説得していたという

被告の家族は取材に対し、「家族として責任を痛感し、無罪を受け止められない」

と述べた。

 

1審では無罪だったけれど、2審(控訴審)では被告自らが有罪を主張すると

言う。

 

そう主張しようと思った背後には、1審判決や被告を批判するインターネット上の

中傷がつらかったという被告家族が語った思いも被告の88歳という高齢も

あったようだが、被告は残りの人生を精いっぱい罪を償い、家族も家族として…

 

この件は、高齢者ドライバーの身体(病気もちなど)の状態と運転能力、判決内容

被告と家族、…いろいろな観点や立場からの思い、考えがあるに違いないが、

誠実」ということで、私は先のドラマと似たような感慨をもった。

 

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 誰もが誠実ならば、法などいらないのだろうが、

そうではないからこそ、社会には法がいるのだろう。

 

しかし逆に、法があるからこそ①が起きるし、

②のように、法令の元締め、憲法に違反している

と思われることでも容認される。

 

① 「法に触れなければ(何をしても)いい

 

テレビ界にはこのごろ本格的な弁護士(つまり主人公)ドラマが出てきた。

「契約社会」といわれ、司法訴訟までもが「取り引き」(「契約」)の対象となる

アメリカでは(私が知らないだけだったか)弁護士が活躍する場が広いことがよく

わかった。

それに、弁護士は「弁論」の専門家。頭の回転が速く、弁が立てば立つほど

評価されることも。

(「詭弁」を弄しても、言葉のやり取り次元で相手を言いくるめれば勝ちとなる

 

② 解釈のしかた次第で法はどうにでもなる

 

憲法違反の訴訟での裁判は、たいてい(というかほとんど)以下のような理屈で

片づけられる。ときには裁判にもかけてもらえない(門前払い)。

「公共の福祉に反しない限り…」とか

公序良俗に…」とか

「(そういう)努力を規定したもの…」とか

「高度に政治的な判断を要する…」

 

 

〈オマケ〉

上のニュース記事とは正反対のような池袋暴走車両事故の件。

罰を軽くしようとしてか、事故原因に運転していた自動車の欠陥を持ちだしたり、

被告は言いわけに終始している。その姿に、

しみついた高級官僚根性を感じてしまい、反吐が出る。

 

 

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                             ちりとてちん

 

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